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今年の「#文学」
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1月7日に環境省「次期生物多様性国家戦略研究会」第一回が開催され、「2050年の自然との共生の実現(案)」に関する議論が行われるそうです。 この研究会に先立ち、GFBさんは「里山ナショナリズムの源流を追う 21世紀環境立国戦略特別部会資料から」を公表し、「日本人は昔から自然と共生してきた」という、これまでの政府の環境政策文書に繰り返し書かれてきた見方に疑問を提起されています。 私は、湯本貴和さんを代表とする総合地球環境研究所プロジェクト「日本列島における人間ー自然相互関係の歴史的・文化的検討」(2006-2010年度)に参加し、「日本列島では生物資源の持続的利用も、その破綻もあった」ことを明らかにする研究に貢献しました。湯本プロジェクトの成果として刊行された『シリーズ日本列島の三万五千年史』の第一巻に書いた以下の論考は、次期生物多様性国家戦略研究会の委員の方々にぜひ読んでいただきたいので、
GFBさんの力作「里山ナショナリズムの源流を追う 21世紀環境立国戦略特別部会資料から」がnoteに公表されました。 https://note.com/gfb/n/n480031b828bc この記事を読んでまず気づかされたのは、私が政府の政策にコミットする機会はまったくなかったこと。私は鷲谷さんと共著で「保全生態学入門」を書き、環境省のレッドリスト作成に深く関わり、CBD COP10に向けて環境省に協力してプレ国際会議を開催したり、愛知目標策定に向けての科学外交に関わってきました。渡辺綱男さんとも何度もお目にかかっています。鷲谷さんが委員で加わっているから、分野のバランスを考慮して、私は委員からはずされた、ということかもしれません。鷲谷さんが、政策と関わる「汚れ役」は自分が引き受け、私には研究面で頑張ってもらおうと配慮されたのかもしれません。また、私は鷲谷さんより一回り若いので、年齢的な
22日に書いた記事には、たくさんの訪問があり、このテーマに関心を持つ人が多いことがわかったので、続編を書きます。 情緒的な「里山概念」という表現を見て、そうだそのとおり、と思った方と、やや不愉快な気持ちになられた方がいらっしゃるのではないでしょうか。「里山」という言葉は、里山は良いものだ、というある種の価値観と結びついているので、その言葉に批判的なことを書けば、このようなポジティブ・ネガティブな感情を呼びさましてしまうものと思います。 保全生態学は、価値観を相手にせざるを得ない点で、基礎生態学とは違う困難さをかかえているのです。この点について、「自然再生事業指針」では次のように書きました。 2−5 科学的命題と価値観にもとづく判断 <自然再生に関連する諸問題の中には , 科学的 (客観 的)に真偽が 検証できる命題 と,ある価値観 に基く判断が混在 していることに注意すべきである.生物多様
GFBさんのツイート(https://twitter.com/MC_sashiba/status/918463407363260416)で、トキやコウノトリの野生復帰をめざす事業が行政の後押しも受けてやや前のめりになっていることを知りました。ツイートにリンクされている行政文書を斜め読みして、とりあえず以下のツイートを書いておきました。 「関東でトキやコウノトリの野生復帰を目標にする計画は、「自然再生事業指針」にまとめた原則(下記)に照らして、再検討が必要だと思います。まず、「基本認識の明確化」が不十分。」 この手の野生復帰事業は、植物の移植と一緒で、復帰先(移植先)の環境を整えずに、放鳥(移植)をやろうとしています。復帰先(移植先)の環境を整えて、自然に分布を広げてくれるようにするのが基本です。復帰先(移植先)の環境を整えずに放鳥(移植)しても、うまくいきません。これは生態学的な復元事業の
昨日開催されたシンポジウム参加中に書いたツイートを転載します。 パネルディスカッションを、「学生をおいてきぼりにした大人の議論だなぁ」、と思いながら聞いていましたが、最後に会場の名古屋大院生から「まるで学生が商品のような議論だ」「学生を(特定の人材養成の枠組みに)あてはめるのではなく、未知の可能性に学生を開いていくのが中心」だというまっすぐな発言があり、心が晴れました。 私も、学生と一緒に未来を作っていくという初心を忘れないようにしなければ。 博士課程教育リーディングプログラム オールラウンド型7大学シンポジウム2016はじまる。昨日は実施担当者による非公開の討論。今日は公開。ホスト校の東京工業大学三島学長のあいさつ。志の大事さを強調された。昨日の討論でも、志という言葉を何回か聞いた。志って何だろうね。 #AR7— Tetsukazu Yahara (@TetYahara) 2016, 1
コンビニおにぎりと弁当は危険!原価5円?添加物まみれで健康被害の恐れ と題するBuisiness Journalの記事(書いたのは食品ジャーナリストの郡司和夫さん)が話題になっている。「コンビニおにぎり」+「原価」または「添加物」で検索すると、この記事をシェアしたページがたくさんヒットする。 しかし、一読して私は、この記事は信用できないと判断し、根拠を調べてみた。結論として、コンビニおにぎりで使われているグリシンの健康リスクは無視して良い。また、原価5円という計算も、怪しい。 まず、グリシン問題から検討する。郡司さんは、「人間の体内でつくられるアミノ酸のグリシンと、人工的につくられた添加物のグリシンとは別の物質」と書いているが、これは明らかに間違っている。人間の体内で作られようが、化学合成されようが、グリシンはグリシンだ。この記述を読んだ時点で、この著者に対する私の信頼は、ゼロになった。
ももクロのことを書いたら、早速トラックバックが返ってきましたね。ももクロファンは、生態学会でも確実に増えているようです。ただし、私はももクロファンではありません。やや黄色い声が、いまひとつ私の趣味ではないのです。平原綾香とか、いきものがかりの声の方が好きですね。 ではなぜももクロに注目するかというと、その人材養成法と人心掌握術に惹かれているのです。トラックバックをくださった日々粗忽さんが、 http://d.hatena.ne.jp/sawagani550/20111013/p3 で書かれているように、「ももクロの魅力は,現在進行形の青春映画/成長物語であるところ」にあります。要するに、少年ジャンプの成功方程式=友情+努力+勝利、を現在進行形のドラマとして実演して、その物語をファンと共有するという戦略です。これは、人心掌握術としては見事ですね。このアイドル養成モデルの原型は、AKB48でし
昨日は東大で「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン:文理協働による統域科学のキックオフ」という公開シンポジウムを開きました。96名入りの会場に100名以上の参加者がありました。講演も討論も充実した、とても有意義なシンポジウムでした。その懇親会で、参加者から、「矢原先生は剛力彩芽のファンですか?」と尋ねられました。 http://d.hatena.ne.jp/yahara/20130115 を読んでそう思われたようですが、私は橋本愛のほうが役者が上と書いたつもりでした。剛力彩芽がとくに嫌いというわけではありませんが、とくに好きというほどではありません。 懇親会では何人もの方に名刺をいただきましたが、ここでも「ブログをいつも読んでます」とおっしゃってくださる方があり、久しぶりに書いています。忙しい様子を書いても楽しくないので、気楽な話を書きます。 上京中(たしか3月31日)に、ホテルにもどっ
生態学界のスーパーマリオ、こと東正剛さんが、この3月で北大を退官されるそうだ。この退官記念に、弟子たちが書いた本、そのタイトルはといえば、「パワー・エコロジー」。 http://www.cris.hokudai.ac.jp/koizumi/powerecology.pdf 生態学会書籍売り場で本書を手に取ってみて、やっとその意味を理解した。「ちからわざの生態学」という意味である。本書の執筆者は、「頭はついてさえいれば良い、生態学は体力だ」、という正剛イズムに感化された学生たち。彼ら(+彼女1名)は、北海道はもちろんのこと、パナマ・ボルネオ・オーストラリア・ケニアなど世界各地のフィールドで正剛イズムを実践し、悪戦苦闘しつつもフィールドワークの楽しさにとりつかれ、悔いなき道を歩んだ。本書は彼らの「青春群像」が浮かび上がる「自伝集」。東京から福岡にもどるJALの機内で一気に読んだ。読んでいてうれ
山中さんのノーベル賞受賞はうれしいニュースだ。山中さんがiPS細胞を作る条件を4つの遺伝子にしぼりこんだ論文は、発表された直後に読んだが、アイデアといい、手法といい、これぞ科学とうならされるものだった。山中さんのこの研究は、着想の時点で、とても面白いものだったと思う。言われてみればなるほどそういうアプローチがあったかと納得させられるが、誰も考え付かなかった。幹細胞研究者はみな、うんざりするほど膨大な許可申請書類を書き、胚性幹細胞研究に時間をつぎこんでいた。胚を使わずに、体細胞を初期化することで幹細胞を作る可能性があることを多くの関係者が知識としては知っていたはずだが、きわめて困難な課題として、避けていた。山中さんは遺伝子発現に関するデータベースを駆使して初期化遺伝子候補を24に絞り込み、24個あれば初期化できることを確認したうえで、24個を1個づつ減らすという戦略で、4個にまで絞り込んだ。
ハーバード大学で日本史の講師をつとめる北川智子さんの著書(新潮文庫)。羽田空港12番ゲート前の有隣堂で搭乗前に購入。表紙を見たときは、サンデル先生にあやかった二番煎じ本かと思ったが、とんでもない誤解だった。この人はすごい。ただものではない。教師としての熱意、スキル、オリジナリティの点で、サンデル先生のはるか上をいく人だと感じた。こんな人がハーバード大学で日本史を教えているとは、いろいろな意味で素敵だ。 これまで私は、しっかりと知識を伝える講義と、好奇心を育てる講義と、講義には2種類あると思っていたが、考え方をあらためる必要がある。しっかりと知識を伝えることと、知的エンターテイメントは、両立できるのだ。「アクティブラーニング」なんて、自分は昔からやってるわい、と冷やかしていたが、この本を読んで猛省。私の「アクティブラーニング」ごときは、北川さんの努力と工夫の前では、茶番にすぎない 「Lady
人間ドックのため9時以降は食事がとれないので、空腹しのぎにレイトショーを見てきました。これは、日本アニメ史に残る大傑作。ほとんど、ケチのつけどころがありません。今や、細田監督は、宮崎駿監督とならぶ、国民的アニメ監督の地位を確立したと言えるでしょう。 テーマは、恋愛、子育て、子供たちの成長と自立という普遍的なもの。これまでに多くの人間ドラマで描かれてきたテーマをとりあげるにあたって、細田監督が用意した決め球は、おおかみこども、というユニークな設定。この着想はすばらしい。何しろ、小さなころの、雪と雨の二人のかわいらしいこと。このキャラクターを見ているだけでも、幸せな気持ちになれます。舞台は、北アルプス?の大自然。風景美術もすばらしい。 導入部分の、花の一目惚れから衝撃の告白シーンまでのシークエンスでは、二人の日常が淡々と描かれますが、心理描写が細やかで、まるで小説を読んでいるかのよう。アニメで
今日は明日からのPUP会議参加のために、新しいホテルに移動した。そのあと、オックスフォード大学に出かけて、遺伝子多様性国際観測に関する打ち合わせをした。オックスフォードまでポスターなどを持っていく必要がないので、朝、ホテルNovotel ExCelに立ち寄った。最初はフロントにポスターを預けるだけのつもりだったのだが、チェックイン可能と言われたので、チェックインして部屋に本・衣類とポスターを置き、それからオックスフォードに出かけた。オックスフォードから戻り、PUP会議のレジストレーションを済ませ、ホテルNovotel ExCelの部屋に戻ったところ、衣類もポスターもすっかり消えていた。 フロントにクレームをつけたところ、ルームキーパーが私のチェックイン後に部屋入り、前泊者の荷物と勘違いして、すべて片付けたらしい。しかし、ルームキーパーに連絡がとれず、デポジットルームにも該当する荷物がないと
「発声練習」さんのブログ http://d.hatena.ne.jp/next49/ 「他者が検証しやすい形で情報を提供している人はまともな可能性が高い」と考え、どんなに偉い人、実績のある人でもこの条件を満たしていない人はとりあえず、退けておけば良いと思います。 この意見に強く同意する。「発声練習」さんが指摘されているとおり、人は間違えるし、自分の見たいものしか見ない傾向がある。したがって、間違っていないかどうか、また大事なポイントを見落としていないかどうかについて、第三者による検証がとても大事だ。 科学者は、自分の専門分野について論文を書くときには、自分の主張を自分でも厳しくチェックするし、論文の審査過程で、第三者による厳しいチェックを受ける。しかし、専門外のことについて(あるいは、時として専門のことについてすら)、インタビューなどで間違った見解や偏った見解を語ることがしばしばある。 間
金曜日の日本学術会議緊急集会では、被災地復興のグランドデザインを描くために、日本学術会議の総力を結集すべきだという発言があった。必要な課題だとは思うが、違和感も感じた。その理由はふたつ。ひとつは、何よりも地元の方々の自発的意思や考えを大切にして、ボトムアップで復興のデザインを描く必要があると思うから。もうひとつは、グランドデザインは価値観がからむ課題であり、日本学術会議会員科学者の多くは、価値観の扱いに慣れていないと思うから。 3.11は、日本社会のあり方に大きな課題をなげかけている。同時にまた、科学と科学者のあり方にも、大きな疑問をなげかけている。科学技術が人間を幸せにすると考える人は、福島原発の事故によって、さらに大きく減ってしまったことだろう。現場で事故対策に奔走している東電職員や消防隊員の努力には多くの国民が共感しているが、おそらく「科学者」には、冷やかな目が向けられている。ツイー
※以下は、モノレール車中、九大東京オフィスでの待ち時間に書いた解説です。かなり注意して書いたつもりですが、不適切な記述に気付かれた場合にはコメント欄でご指摘ください。これから、日本学術会議の緊急集会に出ます。 ※3月19日22時追記:コメント欄のとおり、やはり不正確な点がかなりありました。大幅に改訂しました。一度読まれた方は、改訂内容をチェックしてください。さらに改訂が必要な箇所に気付かれたら、ぜひコメントをください。 福島市では20マイクロシーベルト毎時程度の放射線量が測定されています(http://plixi.com/photos/original/84534195 )。他の地域でも通常よりはるかに高い放射線量が一時的に測定されています(http://plixi.com/photos/original/84790521)。これらの地域では、放射線による健康被害について不安にかられている
今日のホットスポットは、つっこみどころ満載だった。 (1)ヒカリコメツキムシが食べているのはシロアリじゃない と思ったら、すでに「アリのブログ」さんがこの点を指摘されていた。 (2)ヒカリコメツキムシは羽アリの出現期以外には何を食べているのだろう 「羽アリを食べて栄養を蓄え、3年かかって成虫になる」というナレーションがあったが、まさか羽アリの出現期以外は休眠しているわけでもあるまい。 (3)1万年前に大型草食獣がほろんだ原因が300万年前の肉食獣の侵入? 1万年前に大型草食獣がほろんだ原因として気候変動をあげたあとで、「さらに追い打ちをかける事態が起きた」と言って、300万年前のパナマ陸橋の成立と肉食獣の侵入を紹介していた。いくらなんでも、1万年前のできごとに、300万年前のできごとが追い打ちをかけることはできないだろう。 (4)ハキリアリの巣内に運び込まれたロベイラの種子は発芽できるのか
昨年6月28日のブログ「自然共生社会を支える伝統知と科学的思考」で紹介した本がついに出版され、今日、研究室に届いた。タイトルは次のように修正された。 シリーズ「日本列島の三万五千年‐人と自然の環境史」1 環境史とは何か 湯本貴和(編) 松田裕之・矢原徹一(責任編集) ISBN:9784829911952 文一総合出版 4000円+税 目次は以下のとおり。 序章:日本列島における「賢明な利用」と重層するガバナンス(湯本貴和) 第1章:日本列島はなぜ生物多様性のホットスポットなのか(湯本貴和) 第2章:日本列島での人と自然のかかわりの歴史(辻野亮) 第1部 生物多様性と「賢明な利用」 第3章:生物文化多様性とは何か(今村彰生・湯本貴和・辻野亮) 第4章:人類五万年の環境利用史と自然共生社会への教訓(矢原徹一) 第5章:世界の自然保護と地域の資源利用の関わり方(池谷和信) コラム1:ワサビ‐ふる
『自然再生ハンドブック』がついに出版された。奥付は昨年のクリスマスイヴ。私にはまたとないクリスマスプレゼントになった。もっと早く紹介記事を書きたかったのだが、年末・年始から今日まで、その時間がとれなかった。 今日は、「自然再生事業指針策定に向けての熱い一夜」からちょうどまる6年後にあたる。この合宿を経て策定した指針原案を、3月の日本生態学会大阪大会での公開討論にかけた。そのときに、どのような意見が出されたかについては、私のウェブサイトに記録を残している。公開討論での意見を取り入れて最終的に完成した「自然再生事業指針」を保全生態学研究に発表した。 あれから6年。ついに完成した『自然再生ハンドブック』には、全国で自然再生事業に関わってきた多くの方々の経験と知恵が集約されている。 自然再生ハンドブック 日本生態学会(編) 矢原徹一。松田裕之・竹門康弘・西廣淳(監修) 地人書館 4000円 ISB
鈴木信彦さんが昨日なくなられた。私より2歳年上だから、働き盛りである。昨日知らせを受けたときは、ただただ驚くだけで、事実を受け止めかねた。その後今日の夕方まで、あわただしく時間が過ぎていった。研究室を出て、大学構内を歩いているときに、悲しみがこみあげてきた。 鈴木さんは九大理学部生態学研究室で大学院時代を過ごされ、ギシギシの葉を食べるハムシ類の資源利用と共存に関する研究で、博士の学位を取得された。私は鈴木さんの出身研究室に教授として着任したことから、鈴木さんと親しくおつきあいさせていただくようになった。私の着任当時は、ウマノスズクサとジャコウアゲハの関係を研究されていた。ウマノスズクサの葉には猛毒(アリストロキア酸と呼ばれるアルカロイド)が含まれているが、ジャコウアゲハの幼虫はアリストロキア酸をある程度解毒でき、自らを天敵から守る防御物質として利用する。しかし、アリストロキア酸を大量に吸収
同じアニメ映画だが、この2作はきわめて異質だ。両者を比べるのは、「スターウォーズ」と「寅さん」を比べるようなものだろう。人気投票をすれば「トイストーリー3」により多くの票が集まるに違いないが、「借りぐらしのアリエッティ」には「トイストーリー3」にはない味わいがある。 「トイストーリー3」は、手に汗を握るスリルを味わい、最後に心から「面白かった!」と思える映画だ。物語は、オモチャたちを長年愛してくれたアンディが大学に進学することになり、オモチャたちと別れるシーンから始まる。屋根裏部屋にしまわれるはずが、手違いでゴミ収集車に放り込まれたオモチャたち。その後は、これでもか、これでもかと、オモチャたちにピンチがおそいかかる。力をあわせてそれらを乗り切るのだが、最後に絶体絶命のピンチが訪れる。このピンチからどうやれば脱出できるのか、まったく想像できなかった。救世主を観客の視野から消しさったマジックは
4月12日のブログで紹介した土松君の研究が、Walter Fitch賞に選ばれたそうだ。おめでとう! 本人のつぶやき→http://togetter.com/li/34315 ・・・一世一代のジョーク、よくやった。 「あなたの研究は実証研究だが,Lande, Schemske, Uyenoyamaなどの過去の理論研究を引用し,それらとの関連性をきちんと議論していた」 ・・・これも大事だけど、 「他の候補者はみんなコンピュータで配列解析。お前が一番ちゃんと生き物を見てbiologyやってた」 ・・・これがベスト8を勝ち抜いた決め玉でしょう。 生き物を見る+理論の実証+ジョーク:進化生物学Jリーグの「王道」(誰がそんなことを決めたんや、というツッコミはなしネ)をいく受賞に拍手!
集団生物学の授業のためにヒトの進化に関する最新の研究をレビューした。その過程で、ネアンデルタールとヒトが交雑したことを支持する新しい証拠が発表されていることを知った。ネアンデルタールのDNA配列から、交雑はなかったという結論が出たと思っていたが、この結論を下すのは時期尚早だったようだ。しかも、交雑がヒトの脳の適応進化に貢献したことを示唆する証拠が出た。この報告は2006年に発表されたのだが、昨年から今年にかけていくつもの総説や論文でとりあげられ、ホットな議論の対象となっている。関連の論文を書きとめておく。 Evans & al. (2005) Microcephalin, a gene regulating brain size, continues to evolve adaptively in humans. Science 309: 1717 - 1720. 発端となったのは、この論
今年は国際生物多様性年。10月には、生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋で開催される。このため、生物多様性に関する社会的関心が高まっている。福岡―東京便のJALの機内でも、生物多様性に関する広報ビデオが流れ、多くの乗客が「地球のいのち つないでいこう」というメッセージに耳を傾けていた。新聞各紙は、生物多様性の問題を大きな紙面を割いてとりあげ、そして、生物多様性に関する良書の出版があいついでいる。私も一冊の本の出版に関わったので、今日はその紹介をしよう。 「なぜ地球の生きものを守るのか?」・・・以下の本では、この問いを正面から取り上げた。まさに直球勝負の一冊である。生物多様性についてこれから学ぼうという人にも、ある程度知識を持っている人にも勧められる『決定版』入門書のつもりで作った。4名の共著者の協力を得てすばらしい入門書に仕上がった。 なぜ地球の生きものを守るのか? 日本生態学会編 エ
Ever since Darwin・・・一度でいいから論文の最初にこう書いてみたいものだ。この書き出しではじまる土松君の論文が、あのNature誌に発表された(現時点では、オンラインで)。 http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature08927.html 題して、「『雄側』特異性遺伝子の単一突然変異によるシロイヌナズナ自家和合性の進化」。花が咲く植物の話だから「花粉側の」と訳すほうが日本語らしいのだが、原文は、in the male specificity geneだ。「the」がついているのは、わかる人にはピンとくる、あのSCR遺伝子を指しているからだ。『雄側』とカッコつきで訳すことで、このニュアンスを表現してみた。 SCRことスモール・システイン・リッチ・プロテイン、知る人ぞ知る、植物の自他認識に関わる花粉
通勤途上で、店先の広告がふと眼にとまり、しばらく立ち尽くしてしまった。「水溶性核酸水DNコラーゲン」・・・発売元はフォーデイズ。ウェブサイトには、「遺伝子の栄養素・驚異の核酸パワー◇病気の予防や治療、健康促進に役立つ核酸」とある。「水溶性核酸水DNコラーゲン」をキーワードに、Googleで検索してみると、なんと1180件もヒットした。「健康食品」を扱っているような、いろいろな店で販売されている。どのサイトでも、類似した紹介が書かれている。たとえば、以下のとおり。 遺伝子栄養学研究所では良質の核酸物質を取り組むことで、ヒトの全ての細胞が修復され、強くなり、正しい設計図のままで細胞分裂が行われ、より健康な身体作りが成されることを確認しています。自然界の中の最強の核酸物質はサケの白子ということも分かりました。 ところで、「遺伝子栄養学研究所」って何だと思い、検索してみた。ホームページには、「遺伝
スパコンは守られても、科研費と特別研究員事業費は減らされるのではないかと心配していたが、22年度予算で増額が決まった。 → http://www.mof.go.jp/seifuan22/yosan009.pdf 特別研究員事業費は4億円の増額。科研費は30億円増額され、ついに2000億円を達成した。 国家財政の現状を考慮して科学技術予算を減らすとしても、この2つだけは減らしてはいけない。この点は、多くの心ある科学者の一致した意見だ。この意見が民主党政府に認められたのは、朗報だ。 関連学会と協力して要望書(http://bsj.or.jp/osirase/osirase_open.php?shu=1&did=278)を提出した甲斐があった。 上は、要望書に添付したグラフ。 このグラフを示したことは、インパクトがあったと思う。11月28日にも掲載したが、今回、科学技術基本計画の期間を加えてみた
週末の研究会で京都に滞在中に、競争的大学院支援事業(グローバルCOE・大学院GP)に関する事業仕分け第3部会の議論をウェブサイト(http://d.hatena.ne.jp/riocampos/20091125/p3)からダウンロードして、聞いた。この議論を聞くまでは、この件に関して要望書を出すべきかどうか迷っていた。何しろ、全専攻の5%程度しか恩恵を受けていない事業である。「たくさんもらっているんだから、1/3縮減でも良いんじゃない」と考える人も少なくないだろう。このような「選択と集中」が好ましいとは私も考えていない。しかし、議論の内容を知って、限られた時間を割いても要望書案を用意したほうが良いと考えるに至った。問われている問題は、博士課程大学院をどうとらえ、どう整備していくか、ということなのだ。 私は、競争的大学院支援事業(グローバルCOE・大学院GP)を将来的に再編成して、科研費拠点
カンボジアで印象深かったのは、子どもや若者が多いことだ。カンボジア林野庁長官に、「子どもが多いですね」と申し上げたところ、「わが国の人口の半数は20才以下なのです」という説明があった。人口構成がそこまで偏っているとは予想していなかった。帰国してWikipediaを調べてみたところ、右図の人口ピラミッドが転載されていた(原典:World Population Prospects: The 2004 Revision)。確かにすさまじい偏りだ。この偏りは、20年前まで続いたポルポト政権下での虐殺がいかにすさまじかったかを物語っている。 カンボジアの歴史 によれば、「1975年〜1979年のポル・ポト時代の4年間は、中国の毛沢東主義を奉じた極端な農本主義政策が採られたものの、非効率的なやり方は大旱魃をもたらし、出生率が異常に低下する一方、飢餓と虐殺で100万人を超えるともいわれる大量の死者を出し
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