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今年の「#文学」
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元々何年も前から段階的に進んできていた被用者保険の拡大の話が、国民民主党の103万円の壁の話となぜか同期連動して106万円の壁がどうとかいう話になり、例によっていつもの3法則氏が法螺貝を吹き鳴らすという事態になっているようですが、もちろん、物事の分かっている人にはちゃんとわかっているように、この問題は、そもそも被用者保険(健康保険と厚生年金)は被用者、すなわち雇われて働いている人のための制度であり、地域保険(国民健康保険と国民年金)は被用者以外、すなわち自営業者やその家族等のための制度であるという制度の根本原則が、様々な経緯や政治的思惑のために捩じ曲げられ、ずれにずれまくってきてしまったことに、その最大の根源があるわけです。 どうかすると、社会保障のかなりの専門家ですら、パートタイマーは昔から適用除外だったと思い込んでいる向きもありますが、それは1980年の3課長内翰という「おてがみ」で導
もうすぐ刊行される『ジュリスト』12月号は、「日本版DBS法」が第2特集で、神吉知郁子さんが「性犯罪歴の確認と労働契約の締結・変更・解消――労働法の視点から」という興味深い論考を寄せていますが、後ろの方の労働判例研究のコーナーでは、わたくしがある裁判例を取り上げています。多分、他の真っ当な労働法学者であれば取り上げることがないであろう一見キワモノ的な裁判例ですが、いやいやこれが面白いネタの宝庫なのです。先日、京都産業大学で行われた日本労働法学会の大シンポジウムの最後っ屁の質問で取り上げた、職業安定法上の「雇用」概念に関する最高裁判決(最一小判昭和29年3月11日刑集8巻3号240頁)も出てきます。 労働判例研究 アダルトビデオ女優の労働者性とアダルトビデオプロダクションの労働者供給事業該当性-アダルトビデオプロダクション労働者供給事件 東京高判令和4年10月12日 (令和3年(う)第931
先日のアメリカの大統領選挙結果についてはすでに山のような論評が溢れていますが、やっぱり真打はこの人でしょう。ダロン・アセモグルの「Why the Democrats Lost Workers – And the Election」(なぜ民主党は労働者を失い、選挙にも負けたのか?)です。 https://www.socialeurope.eu/why-the-democrats-lost-workers-and-the-election The Democrats’ failure to reconnect with American workers cost them the election, leaving the party adrift in a coalition dominated by elites and urban professionals. 民主党がアメリカの労働者と
今回のアメリカ大統領選結果を見て、改めてピケティが語っていた「どの国も右派は低学歴、左派は高学歴に移行してしまいました」という呪いの言葉の意味深さを噛み締めている人も多いのではないでしょうか。なおこの論文の趣旨はその後大著『資本とイデオロギー』に盛り込まれています。 以下、3年前のエントリの再掲です。 バラモン左翼と商売右翼への70年 トマ・ピケティの「バラモン左翼」は、私が紹介したころはあまり人口に膾炙していませんでしたが、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/04/post-83eb.html(バラモン左翼@トマ・ピケティ) 21世紀の資本で日本でも売れっ子になったトマ・ピケティのひと月ほど前の論文のタイトルが「Brahmin Left vs Merchant Right」。「バラモン左翼対商人右翼」ということですが、この「バラ
連合は、本来なら嬉しがっていないといけないところのはずなのに、とても悩ましい状況になってしまっているようです。 本来なら、自分たち労働組合が組織的に応援して票を集めてきた立憲民主党と国民民主党という二つの党が、いずれも議席数を大幅に伸ばし、与党を過半数割れに追い込んだのだから、喜び勇んでいなければいけないはず。 第50回衆議院選挙結果についての談話 2.立憲民主党・国民民主党が幅広い有権者の選択肢になったことを評価 この間の国政選挙では、有権者の不満を既存政党が受け止め切れず新興勢力の伸長を許してきたが、今回、働く者・生活者の立場に立つ立憲民主党と国民民主党がその受け皿となったことには大きな意義がある。 ところが、その後の事態はむしろ、連合が支持基盤であるこの両党が下手をすると与党(ないし準与党)と野党に分かれてしまい、連合の股がびりびりと引き裂かれてしまいかねない状況が進行しているようで
『月刊労委労協』10月号に宮城県労委会長の水野紀子さんの講演録「労働組合について民法学者が思うこと-歴史的視座の中で」が載っています。そもそも「圧縮された近代化」の中で日本社会が抱え込むこととなったさまざまな課題を次々に論じていくのですが、その終わり近くになって、「Ⅲ 労働組合の性格~駆け込み訴え型ユニオンをめぐって」に入っていくと、わたくしのかつて書いた評釈が飛び出してきます。 それは、『中央労働時報』2021年6月号に載せた「労働組合の資格審査-グランティア事件」です。 http://hamachan.on.coocan.jp/roui2106.html 拙評釈の最後には、首都圏青年ユニオン連合会が登場する別の事件(佐田事件)に言及しているのですが、水野さんはこの佐田事件を担当した公益委員だったそうで、「労働者の駆け込み型ユニオンであるXを運営している社労士が、使用者側の顧問として既存
毎月1回の『労働新聞』書評、今回は尾脇秀和『女の氏名誕生』(ちくま新書)です。ちょうど今朝の新聞に、「国連女性差別撤廃委、日本に夫婦別姓の導入を勧告」という記事が出ていたこともあり、ものごとを考える素材としても最適かと。 https://www.rodo.co.jp/column/185998/ 過去数十年にわたって夫婦別姓を巡ってさまざまな議論や訴訟が繰り返されている。今年6月には経団連が、選択的夫婦別姓の導入を要望して注目された。政治問題になってしまったこの問題について、しかしながら熱っぽく論じている人々の多くは、そもそも日本において女性の名前というものがいかなるものであったのかについて、きちんとした知識を有しているのだろうか。 本書は、今日とまったく異なる江戸時代の女性の名前(苗字のない「お○○」型)が、明治維新直後の激動期を経て、近代的な「夫の苗字+○○子」型に移行していく過程を、
なかなかに刺激的なタイトルです。ここ数年来、政府を先頭にしてみな口々に賃上げ、賃上げと叫んでいる姿に、水をぶっかけてやろうと言わんばかりのタイトルですね。 https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/032900009/100100706/ 【賃金の長期停滞は真実ではない】 持続的な賃上げによる経済の好循環が声高に主張されているが、その根拠はどこにあるのだろうか。失われた30年間で日本の賃金は本当に停滞し続けてきたのか。画一的な数値をみていただけでは、賃金の動向を掴めないのではないか。 政策、雇用の安定、雇用慣行、共働き世帯の増加…… 賃金は複雑な要因が絡み合い決定されているのにも関わらず、こうした要因を無視すれば事実認識を誤る。今後、経済構造が大きく変化するなかで、真因を認識せずに賃上げを実行すれば経済に負の効果を与えかねない。 この懸念に対し本書では
自民党総裁選で解雇規制の話がますます迷走しているようですが、たぶんあんまりよくわかっていない人々に噛んで含めるように可能な限りわかりやすく説明した議事録がありますので、これももう11年前のものですが、再掲しておきます。 第2次安倍内閣が発足して1年足らずの平成25年(2013年)の11月に、官邸に設置された産業競争力会議の雇用・人材分科会に有識者として呼ばれてお話したものです。 第1回産業競争力会議雇用・人材分科会有識者ヒアリング議事要旨 私からは若干広く今後の労働法制のあり方について、雇用システムという観点からお話をさせていただく。 ここ半年近くの議論について感じていることを申し上げる。雇用というものが法律で規制されている、その法規制が岩盤であるといった言い方で批判をされているが、どうも根本的にその認識にずれがあるのではないかと感じている。 むしろ私が思うのは、現代の日本では特にこの雇用
元連合会長の高木剛さんが亡くなったというニュースが飛び込んできました。 元連合会長、高木剛さん死去 民主党の09年政権交代を後押し 労働組合の中央組織・連合の会長を務め、2009年の民主党政権誕生を後押しした高木剛(たかぎ・つよし)さんが2日、死去した。80歳だった。葬儀は近親者で営んだ。 三重県出身。東大法学部を卒業後、1967年に旭化成工業(現旭化成)に入社した。69年に労組の専従になり、全旭化成労組連合会書記長やゼンセン同盟(現UAゼンセン)会長を歴任。05年に連合の5代目会長に選ばれ、07年に再選して09年まで務めた。 連合会長として小沢一郎・民主党代表(当時)と深い関係を築いた。一緒に全国行脚するなどして民主党の躍進を支え、政権交代に貢献した。 連合内に非正規労働センターを設け、正社員中心の労働運動の見直しも進めた。 東大では野球部で活躍。労働界では早くから、政界、官界に人脈を持
先週水曜日(9月4日)に、河野太郎氏が解雇規制緩和を語ったということで、今から11年前の文章を古証文よろしく再掲したところですが、 解雇規制緩和論の誤解@『労基旬報』2013年5月25日号(再掲) その後も、今度は小泉進次郎氏が解雇規制緩和を謳ったとかで、ネット上には解雇規制をめぐるあれこれの議論が氾濫していますが、さすがにこの10年間の議論をよく踏まえているのも多い一方で、脳内が20年前から進化していない御仁も結構いるようなので、ほぼ同じころに書いたものですが、少しだけ詳しいのを一部省略して再掲しておきます。 「「労使双方が納得する」解雇規制とは何か──解雇規制緩和論の正しい論じ方」 @『世界』2013年5月号 ・・・・ 日本の解雇規制は厳しいのか? さて、ここまで読まれて読者はいぶかしく感じておられると思う。筆者は日本の解雇規制が「先進国でもっとも厳しい」という日経新聞の論調を批判しな
自民党の総裁選で河野太郎氏が解雇規制の見直しを口走ったとかで、またぞろネット上で解雇規制問題を語る人が増えているようです。20年前、10年前のどいつもこいつも全然わかっちゃいなかった時代に比べると、ジョブ型、メンバーシップ型という用語が政府中枢を含め広く一般化したこともあり、雇用システム論をきちんと踏まえて論じる人が格段に増えたように見えることは、この間正しい解雇に関する議論の在り方を説いてきたわたくしとしては、大変喜ばしいことではありますが、それでもなお脳内が20年前、10年前から一向に進化しておらず、むやみやたらに人をクビにしまくることが唯一の正義だと思い込み続けている人がなおもっともらしく論じて見せたりしているようでもあり、もはや10年以上も昔の古証文ではありますが、脳みその進化していない人にはこれくらいがちょうどよいのではないかと思われることもあり、すぐ読める短文でもあるので、『労
アウグストさんがコメント欄で言及しているようなやりとりがX(旧twitter)上であったようですが、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2024/08/post-a4894b.html#comment-121553497 自分で辞めたいって言えない人向けの退職代行サービスが結構ニーズあるって話を聞くけど、給与交渉代行サービスってあるのかな?やったら流行りそうな。 世界はそれを「労組」と呼ぶんだぜ。 いくつか解きほぐすべきことどもがあります。 まず、前澤友作さんが想定しているであろう「給与交渉」というのは、おそらく上級ホワイトカラー層(いわゆるエグゼンプト)の、個人別に給与が決定されるような人々の成果給的な給与交渉のことであって、ホワイトカラーでもごく普通のクラーク層や、グレーカラー、ブルーカラーといった、典型的なジョブ型雇用で生きている人々
地域最低賃金の最後に、徳島県が一気に34円も目安に上乗せしたことが話題ですが、 最低賃金、衝撃の引き上げ「徳島ショック」 知事介入で算出法を一変 みんな徳島県の隣県というと四国の残り3県ことばっかり考えているみたいだけど、徳島の隣県、それも一番行き来しやすい隣県は兵庫県なんですよ。鳴門の渦潮の上を橋で渡ればそこは淡路島。最低賃金が1001円から1052円に上がった兵庫県です。 そもそも、江戸時代には淡路島は蜂須賀家の徳島藩の領地で、幕末に家老稲田氏の一党が独立を目指して勤皇派になり、これでようやく洲本潘として独立できると思った瞬間に廃藩置県で全部ぱあになり、せめて徳島県から離れたいということで兵庫県に属したといういわく因縁があります。その経緯は船山馨の名作『お登勢』に描かれていますが、そういうわけで、文化的にも共通性の高い(淡路弁は徳島弁に極めて近い)淡路島が兵庫県という大都市を有する県に
満薗勇『消費者と日本経済の歴史』(中公新書)を送りいただきました。ありがとうございます。 消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで SDGs、応援消費、カスハラなど、消費者にまつわる用語に注目が集まっている。背景にはどのような潮流があるのか。本書は、一九六〇年代の消費革命から、平成バブル、長期経済停滞、現在までを、消費者を通して読み解く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清二とセゾングループのビジョン、セブン‐イレブンの衝撃、お客様相談室の誕生などを論じ、日本経済の歩みとともに変貌してきた消費者の姿と社会を描き出す。 近現代史をもっぱら労働者の観点から眺めてきた私にとって、消費者の目線からの歴史叙述はそれだけで結構目を開かされる思いのする体験となりました。なんというのかな、ある事象をもっぱら労働者側からの(というか労働者と使用者という労使関係的な)視点から見てきた
何やらネット界隈でまたぞろ「学歴ロンダリング」がバズっているようです。 そういう議論に加わる気はこれっぽっちもありませんが、政府が鉦や太鼓で「学び直し」だ「リスキリング」だと大騒ぎしてくれていても、肝心の日本人の心性はこれっぽっちも変わっておらず、そういうのは唾棄すべき「学歴ロンダリング」であるというメンバーシップ感覚溢れる強い信念に揺るぎはなさそうです。 いうまでもなく、ジョブ型社会においては学歴、すなわち教育訓練機関の修了証書(ディプロマ)というのは、あるジョブを遂行するだけのスキルを身につけていることを証明しますよ、という資格証明なので、いまそれだけの学歴がないためにそのジョブに応募することができない人が、学び直しをして、れっきとしたディプロマをもらって、そいつを持って揚々と応募し、めでたく採用されてそのジョブに就く、というのは、まさに出世街道の王道です。別にほかの会社に転職するだけ
例の働き方改革の時に「ごはん論法」という名文句を案出し、左派関係者の間でミームとして一気に広がったことで我々労働関係者の間でも記憶されている神谷貴行(紙屋高雪)さんが、日本共産党を除籍・解雇されたとブログで書かれています。 日本共産党を除籍・解雇されました 神谷さんを除籍・解雇した日本共産党の言い分が正しいのか、それとも神谷さんの言い分が正しいのか、といったことについてはここでは一切論じるつもりはありません。気分的には神谷さんに同情的ではありますが、ここで取り上げるのはそういうことではなく、「除籍・解雇」と異なる二つの概念が中ぽつでつなげて書かれていることに興味を惹かれたからです。 神谷さん自身はこう書かれています。 私・神谷貴行は、2024年8月6日付で日本共産党から除籍されました。 また、本日(2024年8月16日)付で日本共産党福岡県委員会から解雇されました。 これらについてはいずれ
今朝の朝日新聞デジタルに、「世界のパワハラ 日本でしか聞かれない質問が象徴する「指導文化」」というわたくしのインタビュー記事が載っています。インタビュワは岩田恵美記者です。 世界のパワハラ 日本でしか聞かれない質問が象徴する「指導文化」 最近では兵庫県や自衛隊で問題になっているパワハラ。自治体、大学、企業……。パワハラにまつわるニュースが絶えません。日本は、世界と比べても問題が深刻なのでしょうか。労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎労働政策研究所長に聞きました。 ――世界でも職場のハラスメントは問題になっているのでしょうか。 この20年ほどで、世界的に問題として捉えられるようになり、2019年に職場の暴力とハラスメントを禁じる条約が国際労働機関(ILO)で採択され、21年に発効しました。「ハラスメント」という言葉は一般に浸透していますが、国によって問題意識の背景が異なり、それぞれ独自の用語、
OECD編著、是川夕・江場日菜子訳『日本の移住労働者 OECD労働移民政策レビュー:日本』(明石書店)をお送りいただきました。 https://www.akashi.co.jp/book/b651114.html 日本特有の状況における労働移民政策の役割はどうあるべきか。高齢化が労働力人口に及ぼす影響に対応するため、ここ数年で海外からの人材採用のガバナンスに大きな政策変更を導入した日本の労働移民政策とその有効性を検証し、今後の方向性を明らかにする。 日本は長い間、OECD加盟国の中で人口に対する移民の流入が最も少ない国のひとつであった。しかし、ここ数年で状況は大きく変化した。高齢化が労働市場に与える影響に対抗するため、日本は海外からの人材採用のガバナンスに大きな政策変更を導入した。 このレビューでは、比較的少ない移民受け入れと急速な高齢化という日本特有の状況における労働移民政策の役割を検証
朝日新聞に「「会社にいつ見限られるか」 追われるリスキリング、ただし米国では」という記事が載っているのですが、 「会社にいつ見限られるか」 追われるリスキリング、ただし米国では 「AI(人工知能)時代に打ち勝つためのリスキリング(学び直し)」「転職にも生かせるスキルを」。そんなかけ声の下、働きながら学ぶ人が目立つようになりました。でも、日本のリスキリング、先行する米国とは違う意味合いになっていませんか。読者イベントを通して考えました。(藤えりか) どう違う意味になっているのかというと、勅使川原真衣さんの言葉として、 「リスキリングは米国では、社員が別の業務をできるようになるため、会社として、業務時間中に新しいスキルを身につけてもらうものです。日本では、会社が提供せず、『価値ある労働者でいるためには頑張り続けないといけない』と個人に強いるものにすり替わっています。深夜や週末にみなさんが頑張っ
ソーシャル・ヨーロッパに「テスラ紛争:新たなフロンティア」(The Tesla dispute: a new frontier?)という記事が載っています。 https://www.socialeurope.eu/the-tesla-dispute-a-new-frontier In the face of a prolonged strike for union recognition, Tesla has turned posted workers into strike-breakers. 組合承認をめぐる長引くストライキにもかかわらず、テスラは海外からの派遣労働者をスト破りに使い出した。 テスラの労使紛争については、今月刊行したばかりの『賃金とは何か』のあとがきで、日本の労働組合ヘの叱咤激励のネタとしてちらりと記述したところですが、 ・・・その気概を示したのが、イーロン・マスク率い
日経新聞にはこれまでもいろいろと苦情を申し上げてきましたが、さすがにこれは・・・ ジョブ型導入にためらい 「配転違法」の最高裁判決響く 一方的な配置転換を「違法」とした4月の最高裁判決の思わぬ余波が出ている。大手小売業がパート社員をジョブ型の正社員に格上げする計画を凍結。労務を専門にする弁護士のもとには、労務対応に悩む企業から相談が相次ぐ。ジョブ型社員の配置転換を進めやすくするための新たな制度が必要だという指摘もある。 いやいや、配置転換したいわけでしょ、職務や配置が限定された硬直的なジョブ型じゃなくって、職務や配置が無限定でいくらでも会社の命令で動かせる柔軟性が欲しいわけでしょ。 硬直性が嫌で柔軟性が欲しいくせに、なんで硬直的だと百万遍繰り返して舌がすり切れそうになっているジョブ型を導入するとかいうんですかね。 悩んでいる企業にしても、この記事を書いている記者にしても、そもそもジョブ型を
河野有理さんのこの呟きに、若干違和感を覚えたのは、 「リベラル」は少数者の権利に関心があるから選挙で負けて当然なんだと言うのは負け惜しみ以前に危険な敗北主義ですね。「政治的多数」がさまざまな少数者の利益のcoalitionによって作為されること、そうした連合を作為することこそ政党と政治家の本業であることがどうも実感としてわかっていない。 日本におけるこの傾向は、むしろ左翼が迷走した挙げ句のマージナル指向のなれの果てなのではないかと感じるからです。 (参考) 「マージナル」とはちょっと違う 金子良事さんの http://ryojikaneko.blog78.fc2.com/blog-entry-56.html(マージナルなものに目を向けることの強みと限界) >現代では、労働問題にせよ、社会福祉にせよ、いわゆる社会的弱者に対する問題関心からスタートしたことによる、思考の縛りがどこかしらにあるの
オベリスク備忘録さんが、続いて『賃金とは何か』の第Ⅱ部以降について書評してくださっています。 https://obelisk2.hatenablog.com/entry/2024/07/17/085622 ・・・終章で、いわゆる「日本が安い」理由、日本の賃金が諸外国に比べ低くなっている理由が指摘されている。つまり、日本では「定期昇給」があるので一見して(個人の)給料が上がるように思えるが、ベースアップがない限り、時間的にスライドしているだけで、トータルでの給料(それは個人からすれば一生のであるし、また国家全体ではその総和)は、世代的に変わらない。それに対し、諸外国の給料は「実質的に」増加しているので、相対的に「日本が安くなる」というからくりだ。確かにそれは「けしからん」ことであり、日本も外国並みにならなければいけない、御尤もである。 しかし、ここがわたしの無知というか、バカな疑問で恥ずかし
先日の都知事選の余波で、いろいろとめんどくさいことになっているようですが、まあそちら方面には立ち入る気は毛頭ありませんが、それに関連して2C1Pacificさんがこう呟いていたのに対しては、かなりの共感を感じたところです。 連合が共産党とは一緒にできないというのはよく分かるのだけど、民主党政権下で連合傘下労働組合員に良いことがあったとはちっとも思えないので、連合が旧民主党勢力を結集させて何したいのかさっぱり分からない。連合草創期・山岸章時代の「反自民・非共産勢力の結集!」なんて力もないでしょ。 連合系の国家公務員の労働組合(連合系が多数派でないところが多いと思うけど)が旧民主党系を支持するのに至ってはマゾヒストなのかと思ってしまう。いや、その人たち、わしらの給料、思いっきり下げたじゃん。 連合はもう政党政治から一歩引いた方がいいんじゃないですかね。総資本対総労働の時代でもないんで。 そもそ
もはやアメリカの英雄と化したかに見えるドナルド・トランプが、副大統領候補に選んだヴァンス上院議員というのは、ラストベルトの虐げられた白人労働者の声をこういう本にした人のようです。 トランプ氏、副大統領候補にバンス上院議員を選出…白人労働者層を描いた回想録がベストセラー オハイオ州出身のバンス氏は、2016年出版の回想録「ヒルビリー・エレジー」で、製造業が衰退した「ラストベルト」の一つである同州の貧困に苦しむ白人労働者層の姿を描いた。同年大統領選で、トランプ氏を白人労働者が熱狂的に支持した現象が理解できるとして、ベストセラーとなった。 ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち ニューヨーク生まれの富豪で、貧困や労働者階級と接点がないトランプが、大統領選で庶民の心を掴んだのを不思議に思う人もいる。だが、彼は、プロの市場調査より自分の直感を信じるマーケティングの天才だ。長年に
この間色々な政治的イベントがあり、あれこれ論ずる人も多いのですが、(かつて拙著をいくつも論評していただいた)堀新さんがこういうことをつぶやいていたのが目に入り、ちょっと考え込んでしまいました。 自民支持層は自分の推す候補が負けても「有権者は馬鹿だ」とは言わないが、野党支持層は負けると「有権者は馬鹿だ」どころか「有権者は反省すべき」と言うことがある というのは野党支持層は選挙=善悪の戦いと考えているので、悪に投票した有権者は当然、反省しなければならないことになるから。 ただ有権者から見ると、赤の他人から「反省しろ」と言われるのはなかなか理解しがたい 反省も何も、人様の内心や価値観に口出しするのは現代では異様に思われる 一方、自民支持層は選挙=政策や利害の調整としか思ってないので、利害で失ったものは利害で取り返すことしか眼中にないから発想が違う 「野党支持者の方が他人(有権者)の内心に踏み込ん
毎週送られてくる『労働新聞』。私の書評の番でないときは、だいたい「ふーん」といいながらめくっていくんですが、今回(7月8日号)には驚愕しました。「今週の視点」の「驚愕のアイデアが優勝飾る」という記事。 https://www.rodo.co.jp/news/179307/ 内閣府が全職員を対象に開いた賃上げに関する政策コンペで、「残業の業務を従業員が個人事業主としてこなし、手取り増を図る」という施策が優勝した。労働者性をめぐるこれまでの議論を完全に無視しており、実現可能性には疑問符がつく。厚生労働省にはぜひ「指揮命令が必要な業務だから労働者を雇う」という基本のキを、内閣府に教授してもらいたい。 あまりのことに、内閣府のサイトに飛んで行ってみたら、確かにありましたぞなもし。 「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」を開催しました 今般、内閣府全職員を対象に、「賃上げを幅広く実現
吉田誠さんが『立命館産業社会論集』に書かれた「戦後初期における先任権移植政策の展開と労使の対応」という論文は、とても面白い論点を提起しています。 https://www.ritsumei.ac.jp/ss/sansharonshu/assets/file/60-1_3-15.pdf 本稿ではまずGHQや労働省が戦後占領期における先任権の日本への移植の奨励をどのように進めてきたのかを時系列的に明らかにする。当初,GHQは黒子役に徹し,米国に通じた学者や労働省を通して先任権を含む米国的な労働協約の奨励を進めてきた。しかし,1948年末に経済九原則が本国より命令として出されたことを受けて,人員整理による労使紛争を避けるためにGHQが直接的に先任権の導入を奨励・指導する立場に転じた。また経営者団体は,二つの枠組みで先任権を受けいれる姿勢を示した。一つは,消極的な解雇基準としてであり,ドッジ・ライン
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