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Synodosに関するエントリは317件あります。 社会政治ネット などが関連タグです。 人気エントリには 『「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS』などがあります。
  • 「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS

    1.はじめに 日経新聞に載った「月曜日のたわわ」の広告は波紋を呼んだ。「月曜日のたわわ」は青年漫画誌の連載漫画であり、その漫画のキャラを使った広告が不適切であるとして批判されたのである。批判の趣旨は、広告で描かれた絵は女子高生を性的に扱っており、新聞の広告として不適切という点にある。これに対し、表現の自由で許される範囲であるという反論がなされ、活発な論争が起きている。 これに類似の論争はこれまでに何度も繰り返されてきた。古くは、人工知能学会表紙事件(2014年)、新しくは宇崎ちゃん献血ポスター事件(2019年)、そして直近では温泉むすめの事件(2020年)が記憶に新しい。 これらの論争では、人々がその表現をどう受け取るかが争点の一つである。しかし、騒動の渦中に人々がその表現をどう受け取っているかが調べられた例は多くはない。本稿ではこれを試みる。この広告に対して批判する意見、容認する意見はど

      「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS
    • 「論理的思考」の落とし穴――フランスからみえる「論理」の多様性/『「論理的思考」の社会的構築』著者、渡邉雅子氏インタビュー - SYNODOS

      「論理的思考」の落とし穴――フランスからみえる「論理」の多様性 『「論理的思考」の社会的構築』著者、渡邉雅子氏インタビュー 社会 「ロジカル・シンキングを身につけよう」「これからの教育に必要なのは論理的に話す・聞く・書く能力である」……論理的に考え、書いたりプレゼンテーションしたりする能力はビジネスや教育分野でもてはやされ、現代では欠かせないスキルとして広くうたわれている。 しかし改めて考えると、「論理的」とはなにか? 「論理的」であることは何に立脚しているのか? どこでも共通する普遍的なものなのか? 『「論理的思考」の社会的構築』を著した渡邉雅子氏は、「「論理的」だと感じる思考や論理の型は、実は文化によって異なっており、それぞれの教育の過程で身につけていくものだ」と指摘している。本稿では、「論理」の多様性やその社会的構築過程、小論文教育から見えるフランス独自の論理のあり方、日本におけるア

        「論理的思考」の落とし穴――フランスからみえる「論理」の多様性/『「論理的思考」の社会的構築』著者、渡邉雅子氏インタビュー - SYNODOS
      • ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり/井出草平 - SYNODOS

        ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり 井出草平 社会学 社会 エグゼクティブ・サマリ 久里浜医療センターの樋口進氏らのグループが発表した論文から、ゲーム障害を過剰診断していく方針が読み取れる。この論文は厚労省・文科省の政策にも影響があると考えられ、ゲーム好きの健康な子どもや若者たちが、精神疾患とレッテルを貼られ精神科病棟に入れられる未来も現実味を帯びてきた。 先日、ゲーム障害の有病率調査が久里浜医療センターによって発表された。【注1】英語論文として発表されたため、まだ一般には知られていないが、専門家の間ではかなり話題になっている。というのも、久里浜医療センターはゲーム障害でない人を診断しようとしているのではないか、と、いわゆる過剰診断を懸念する声が湧き上がっているからである。 本稿では、久里浜医療センターの研究を紹介

          ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり/井出草平 - SYNODOS
        • こんな「リベラル」が日本にいてくれたらいいのに/大賀祐樹 - SYNODOS

          「自民党には入れたくないけど、かといって他に入れたい政党は無いなぁ……」 選挙で投票する時、こんな風に感じたことのある人もいるのではないだろうか。自民党の一強状態が続いているとしても、無党派層の数は多い。二〇一九年七月のNHKの世論調査では、自民党の支持率34.9%に対して、「支持なし」の回答は38.3%と上回っている。一方、野党で一番支持を集めた立憲民主党でも5.8%に留まる。安倍内閣を「支持しない」という回答が31%であるのに対して、与党の公明党を除いた野党の支持率の合計は保守寄りとされる日本維新の会を入れても14.1%に過ぎない。 このことから考えられるのは、自民党や安倍内閣を支持する人が多く存在している一方で、自民党や安倍内閣を支持したくないと考えている人も少なからず存在していること、それにも関わらず、自民党や安倍内閣以外に積極的に支持したいと思える政党があると感じる人がかなり少な

            こんな「リベラル」が日本にいてくれたらいいのに/大賀祐樹 - SYNODOS
          • なぜ日本に社会民主主義は根付かないのか?/近藤康史 - SYNODOS

            筆者は以前に、『深まる社会民主主義のジレンマ』というタイトルで、近年のヨーロッパ各国における社会民主主義政党の状況について考える論考を寄稿した(2019年3月26日公開)。今回はそこでの議論も踏まえ、その続編として「日本における社会民主主義」について考えてみたい。 現在において「日本の社会民主主義」を考える場合、まず思いつくのは、かつての日本社会党の系譜を受け継ぐ社会民主党の存在であろう。しかし直近の参議院選挙(2019年7月)で社会民主党は比例区にて得票率2.09%で、かろうじて1議席を獲得するにとどまった。この選挙で話題となったれいわ新撰組と比べても得票数は半分以下である。また、同じく話題となったNHKから国民を守る会を、比例区ではかろうじて上回ったものの、その差は6万票程度、得票率にして0.12%の差であった。 もちろん、社会民主党だけが社会民主主義を体現する政党というわけではないだ

              なぜ日本に社会民主主義は根付かないのか?/近藤康史 - SYNODOS
            • ネットは社会を分断しない――ネット草創期の人々の期待は実現しつつある/田中辰雄 - SYNODOS

              インターネット草創期の人々は、ネットは人々の相互理解を進め、世の中を良くすると期待していた。時間と空間を超えて多くの人が意見交換すれば、無知と偏見が解消され、世界はよくなっていくだろう、と。しかし、今日、ネットで我々が目にするのは、罵倒と中傷ばかりの荒れ果てた世界である。相互理解に資する建設的な会話はほとんど見られない。ネトウヨ、パヨクという侮蔑語が示すように、人々は相反する二つの陣営に分断され、果てしなく攻撃しあっているように見える。 ネットとはそういうものだという、あきらめに似た見解もひろがってきた。人間にはもともと自分と似た考えの人や記事を選ぶ傾向があり、それは「選択的接触」と呼ばれている。ネットでは情報の取捨選択が自由にできるため、この選択的接触が非常に強まる。自分と同じ意見の人をツイッターでフォローし、フェイスブックで友人になり、自分と似た見解のブログを読めば、接する情報は自分の

                ネットは社会を分断しない――ネット草創期の人々の期待は実現しつつある/田中辰雄 - SYNODOS
              • ネット炎上の驚くべき実態――『正義をふりかざす「極端な人」の正体』(光文社新書)/山口真一(著者) - SYNODOS

                2020.09.28 ネット炎上の驚くべき実態――『正義をふりかざす「極端な人」の正体』(光文社新書) 山口真一(著者)計量経済学 #SNS#炎上 あなたは、このように思ったことはないだろうか。 「最近社会が不寛容になった」 「ネットは攻撃的な人が多く、怖いところだ」 確かに、SNSやネットニュースのコメント欄を見ると、実に多くの罵詈雑言に出会う。「コイツ頭おかしいだろ」などの誹謗中傷はもちろん、「死ね」などの、非常に直接的で攻撃的なワードを使う人も少なくない。今年5月には、ネット上の誹謗中傷を苦に、プロレスラーが亡くなってしまうという悲しい事件も起きた。 今月発売された拙著『正義を振りかざす「極端な人」の正体』は、社会にあふれるそのような「極端な人」について、様々なデータ分析結果からその正体を炙り出す本だ。本書では、 ・なぜネット上で極端な意見が溢れているのか? ・「極端な人」はどれくら

                  ネット炎上の驚くべき実態――『正義をふりかざす「極端な人」の正体』(光文社新書)/山口真一(著者) - SYNODOS
                • ロシアによる非合理的な軍事侵攻とプーチンの「世界観」/溝口修平 - SYNODOS

                  はじめに 2022年2月24日に始まったロシア軍のウクライナ侵攻から約2ヶ月が経過し、戦争被害の悲惨さが連日報じられている。この間、さまざまなところで「プーチンの狙いは何か」が議論されてきた。本当の「プーチンの狙い」を知るのはプーチン自身のみであり、どのような議論も結局は推測の域を出ないものになってしまう。しかし、この小論では、次の2つを目標に定めて議論を展開することで、「プーチンの狙い」に接近していきたい。1つ目は、「プーチンの狙い」は合理的には説明できないという点を明らかにすることであり、2つ目は合理性に基づかない決定が今回の悲劇を招いているとすると、何がそのような決定をもたらしていると考えられるかを検討すること、である。 ここでの仮説は「利益」ではなく「価値」の実現こそがプーチンの目指すものではないかということである。これはあくまで仮説に過ぎない。しかし、ロシアの行動を合理的に説明で

                    ロシアによる非合理的な軍事侵攻とプーチンの「世界観」/溝口修平 - SYNODOS
                  • 兵庫県知事選調査――なぜ斎藤氏は勝利したのか/田中辰雄 - SYNODOS

                    兵庫知事選は斎藤元彦氏が返り咲いた。パワハラで県庁職員とマスコミから叩かれつづけ、県の労働組合は辞職要求を出し、兵庫県議会は自民党から共産党まで含めての全会一致で不信任決議を出した。選挙戦中には兵庫県の22人の市長が連名で斎藤氏を再選させるべきではないとの異例の声明を出し、日本ファクトチェックセンターは、パワハラはでっち上げだという斎藤氏の擁護側の主張を根拠なしと断じた。いわば、四面楚歌だったはずで、それを覆しての勝利である。全国レベルでの知見と兵庫県内での知見に大きな差があったと言っても良い。 本稿の目的はその落差を多少なりとも埋め、起こった事態を理解することである。そのために兵庫県民へのアンケート調査を投票直前に行った。結論は以下のとおりである。 (1)斎藤支持者の7割は、斎藤氏のパワハラはマスコミの捏造と考えており、また、8割は今回の辞任劇は斎藤氏が進めた改革に反対する既得権益層が起

                      兵庫県知事選調査――なぜ斎藤氏は勝利したのか/田中辰雄 - SYNODOS
                    • 入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任/重田園江 - SYNODOS

                      2022年2月19日に行われた、早稲田大学教育学部一般入試の国語問題(第一問)に、私の著書『フーコーの風向き-近代国家の系譜学』(青土社、2020年)の一部が用いられた(44-51ページ)。 それについて、はじめは何の気なしに問題を解いてみた私は、結果的に以下の問い合わせを早稲田大学入学センターに行うことになった(3月4日。メールの一部を改変なしに引用)。 貴学の教育学部国語の第一問に、私の著書『フーコーの風向き』からの出題がありました。 先日解答例が公表されましたので、それについての質問です。 貴学の解答例 問一 イ 問二 ハ 問三 ニ 問四 ホ 問五 イ 問六 ホ 問七 ニ 問八 ハ 河合塾・代ゼミの解答速報(全く同じ) ホ ハ ニ ホ イ ホ ニ ハ 駿台予備校の解答例 ホ ハ ハ ニ イ ホ ニ ハ この論文全体の論旨、およびフーコーの思想を研究してきた上での私が考える解答例 ハ 

                        入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任/重田園江 - SYNODOS
                      • 「リベラル」なリベラリズムの再生に向けて――『リベラリズム 失われた歴史と現在』ヘレナ・ローゼンブラット(青土社)/三牧聖子(訳者) - SYNODOS

                        2021.02.05 「リベラル」なリベラリズムの再生に向けて――『リベラリズム 失われた歴史と現在』ヘレナ・ローゼンブラット(青土社) 三牧聖子(訳者)国際政治学 #「新しいリベラル」を構想するために 『リベラリズム 失われた歴史と現在』は、Helena Rosenblatt, The Lost History of Liberalism: From Ancient Rome to the Twenty-first Century, Princeton University Press, 2018の全訳である。著者ヘレナ・ローゼンブラットは、ジャン=ジャック・ルソーおよびバンジャマン・コンスタンの研究者として知られる。それらの個別研究を踏まえ、またフランス・リベラリズムについての共著の公刊も経て(注1)、より広い視点から政治思想としての「リベラリズム」の歴史そのものの見直しに正面から取り

                          「リベラル」なリベラリズムの再生に向けて――『リベラリズム 失われた歴史と現在』ヘレナ・ローゼンブラット(青土社)/三牧聖子(訳者) - SYNODOS
                        • アサクリ・弥助炎上事件――正義とキャンセルカルチャー/田中辰雄 - SYNODOS

                          (1)事件の概要 第一幕:ゲームの炎上 アサクリ・弥助の炎上事件は単なる一ゲームの炎上事件以上の思わぬ広がりを見せており、下手をすると国際問題になる可能性がある。この事件について簡単な調査を行ったので報告する。 まず、多くの人はこの事件のことを知らないと思われるので簡単にいきさつを説明する。事の起こりはアサシンクリードというゲームの予告が炎上したことである。 このゲームはフランスのゲーム会社UBI制作の人気シリーズで、過去のさまざまな場所・時代にアサシンとして乗り込み、同様に過去の時代・場所に乗り込む能力を持った敵の勢力を倒していくゲームである。これまでに、ルネサンス期のイタリア、産業革命期のロンドン、独立戦争時のアメリカなど様々な舞台でのゲームが発売されており、その時代の建物・風俗などが忠実に再現されていることでも話題となった。 このシリーズが日本の戦国時代を舞台としてつくられることにな

                            アサクリ・弥助炎上事件――正義とキャンセルカルチャー/田中辰雄 - SYNODOS
                          • 戦後メディアの病――悪と対峙し、弱者を代弁する自分こそが善である/佐々木俊尚 - SYNODOS

                            2011年の福島第一原発事故にまつわる新聞やテレビの報道は、日本の戦後メディアが内包していた問題をまざまざと浮かび上がらせたと言える。風評被害を抑えるべき報道機関が逆に風評を煽ったケースは少なくなく、そうした報道はいまも続いている。これらの風評は福島の人たちへの差別を生じ、大いなる苦しみをもたらした。この問題はおそらく、広島・長崎における被爆者差別とならんで未来への長い期間にわたって禍根を残し、後世に研究される問題になっていくだろう。 「弱者の味方」であったはずの新聞やテレビの記者たちが、なぜこのような差別を引き起こしてしまったのか。本稿では、加害者と被害者の関係という構図からこの問題について論考していきたいと思う。前半ではなぜ戦後メディアがこのような構図に陥っていったのかを歴史を振り返りながら概観し、後半ではこのような構図が社会にどのような影響を与えているのかを論考する。 戦後マスメディ

                              戦後メディアの病――悪と対峙し、弱者を代弁する自分こそが善である/佐々木俊尚 - SYNODOS
                            • 呉座・オープンレター事件の対立軸――キャンセルカルチャーだったのか?/田中辰雄 - SYNODOS

                              1.はじめに 2021年、大学関係者の間で呉座・オープンレター事件が話題になった。本稿はこの事件で何が対立軸だったのかを、人々へのアンケート調査の形で調べることを目的としている。 事件のあらましを簡単に述べる。ベストセラー『応仁の乱』の作者である歴史学者、呉座勇一氏が鍵付きツイッターアカウントで、ある女性研究者を揶揄あるいは誹謗していることが明るみに出て、炎上する。呉座氏は謝罪し、NHKの大河ドラマの歴史考証役を降板した。その後、有識者よりこの事件を一般的な女性差別問題として広く世に問うオープンレターが出され、1300人もの学者らが署名する。半年後に呉座氏の所属機関は予定されていた呉座氏の採用を取り消した。 この事件はいろいろな角度から議論が可能で、すでに多くの記事が書かれている。オープンレターが出るころまでは呉座批判一色であったが、採用取り消しで呉座氏への同情論が出るようになり、最近では

                                呉座・オープンレター事件の対立軸――キャンセルカルチャーだったのか?/田中辰雄 - SYNODOS
                              • 「ネットは社会を分断しない」? ―― 楽観論を反駁する/辻大介 - SYNODOS

                                本年1月末、イギリスはついにEUを離脱した。だが、それをめぐって二分された世論の溝は、そう簡単に埋まりそうにはない。ふたたび大統領選挙を迎えるアメリカでも、共和党と民主党の、あるいは保守とリベラルの激しい反目が続いている。トランプ大統領が一般教書演説をおこなった直後、そのスピーチ原稿をびりびり破り捨ててみせたペロシ下院議長のパフォーマンスは、そのことを端的に象徴していよう。 日本でも安倍政権シンパとアンチの対立には、これまでになかった根深さが感じられる。たとえば近い将来、憲法改正の国民投票が現実のものとなったとき、はたして私たちは、今のアメリカやイギリスにみられるような社会・世論の「分断」状況を避けることができるだろうか? その意味で、この問題は私たちにとっても決して対岸の火事ではない。 本題に入ろう。ネットが、こうした社会や世論の「分断」をもたらす要因のひとつになっているのではないか、と

                                  「ネットは社会を分断しない」? ―― 楽観論を反駁する/辻大介 - SYNODOS
                                • 「家族」を擁護する――『事実婚と夫婦別姓の社会学』(白澤社)/阪井裕一郎(著者) - SYNODOS

                                  本書は、事実婚と夫婦別姓をめぐる諸問題を、社会学の視点から検討したものである。 大学院時代の私は、「家族の多様化」をめぐる研究関心から、日本における事実婚カップルの実態を明らかにしようと、いわば「見切り発車」状態で当事者へのインタビュー調査を開始した。 しかし、話を聞くなかで、まず私が抱いていた「事実婚vs.法律婚」という素朴な前提が覆されていった。調査を通じて、当事者の多くが、「夫婦別姓」のために(より正確に言うならば、婚姻時に双方が姓を変えないために)、事実婚という選択を強いられているという現実に直面する。多くの当事者が法律婚を望んでいたり、「結婚」そのものに肯定的な態度を有していることに気づかされたのである。 当初私は、「意外に保守的?」という印象も抱いた。だがしだいに、そもそも自分自身が「保守的」だと感じたこの感覚それ自体が正しいのだろうかと考えるようになった。自分はどのような部分

                                    「家族」を擁護する――『事実婚と夫婦別姓の社会学』(白澤社)/阪井裕一郎(著者) - SYNODOS
                                  • 「103万円の壁」撤廃で地方財政が破綻?:冷静な議論のための論点整理/中里透 - SYNODOS

                                    「103万円の壁」をめぐる議論が引き続き活発に行われている。この問題をめぐっては新たな論点も浮上した。それは基礎控除の引き上げなどによる所得税と住民税の減収によって、都道府県・市町村の一般財源に大幅な減収が生じることに関するものだ。 各県の知事からはこの問題をめぐり相次いで懸念が表明され、中には「このままでは財政破綻」との声も聞かれる。これに対し、国民民主党の玉木代表はSNS上で、減収分は地方交付税で補てんされるという趣旨の説明を行っている(https://x.com/tamakiyuichiro/status/1858810419525415362)。 結論からいうと、両者の見方はいずれも極端で不正確なものだ。後述するように、各都道府県・市町村の収支がきちんと合うよう減収分が補てんされる仕組みがあるから、財政破綻が生じるおそれはない。だが、その調整の仕方は、減収分がそのまま地方交付税で補

                                      「103万円の壁」撤廃で地方財政が破綻?:冷静な議論のための論点整理/中里透 - SYNODOS
                                    • 全国学力テストの失敗は日本社会の縮図である――専門性軽視が生み出した学力調査の問題点/『全国学力テストはなぜ失敗したのか』著者、川口俊明氏インタビュー - SYNODOS

                                      全国学力テストの失敗は日本社会の縮図である――専門性軽視が生み出した学力調査の問題点 『全国学力テストはなぜ失敗したのか』著者、川口俊明氏インタビュー 情報 #新刊インタビュー 2007年から実施されている「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)は、開始当初から実施手法や競争原理の導入など様々な問題点が指摘されてきた。近年は、教員評価に用いることへの懸念、また長時間労働が問題視される学校現場での大きな負担という声も上がっている。 2020年4月は、新型コロナウイルスの影響により実施が中止になったが、それを契機に全国学力テストそのものの見直しの議論も広がっている。新刊『全国学力テストはなぜ失敗したのか』著者の川口俊明氏(福岡教育大学)に、全国学力テストにまつわる誤解と今後の議論の方向性について話を伺った。(聞き手・構成/岩波書店 大竹裕章) ――『全国学力テストはなぜ失敗したのか』では、

                                        全国学力テストの失敗は日本社会の縮図である――専門性軽視が生み出した学力調査の問題点/『全国学力テストはなぜ失敗したのか』著者、川口俊明氏インタビュー - SYNODOS
                                      • ゲームは学力を低下させるのか――香川県のゲーム条例について/田中辰雄 - SYNODOS

                                        香川県がゲーム時間の規制条例を打ち出して以来、ネットではさまざまの論評が行われている。この条例の背景にあるのは親が心配するゲームの悪影響であり、具体的にはゲーム依存症とゲームによる学力低下の二つが関心事である。本稿ではこのうち学力低下について筆者の行った調査(注1)を元に論評を加えて見よう。 結論から言うと、条例でプレイ時間を制限する案は良い方法とは思えない。それよりは子供にゲームについて自分でルールをつくらせ、それを守らせる方がよいだろう。 (注1)田中辰雄,2020,ゲームによる学力低下に閾値はあるか―想起による大規模調査―」、GLOCOM DISCUSSION PAPER_No.15(20-001)」 http://www.glocom.ac.jp/discussionpaper/dp15 1.ゲームをしている方が進学率が高い? ゲームと学力の関係では、ゲームのプレイ時間と学業成績の

                                          ゲームは学力を低下させるのか――香川県のゲーム条例について/田中辰雄 - SYNODOS
                                        • 非常事態宣言は再再延長すべきか――自粛の強者、自粛の弱者/田中辰雄 - SYNODOS

                                          2021年3月7日、一都3県の非常事態宣言が再度延長された。2月初めの延長に続く2回目の延長である。 この延長は一部で驚きをもって受け取られた。なぜなら当初予定された解除条件は、ステージ3まで下がること、あるいは、新規感染者数が500人を下回るまでとされており【注1】、これはすでに達成されていたからである。現在ではステージ2まで下げることを目指せという声があがり、東京都は解除条件として新規感染者数が140人以下になることを打ち出した【注2】。いわばゴールに達したところでゴールポストを動かしたことになる。 これについてはいろいろな理由づけがされているが、政治的に最大の理由は世論が延長を支持していることであろう。新聞社の世論調査では、延長を支持するとの答えが8割に達しており、解除を求める声を圧倒している【注3】。この点は、少し状況が改善すると解除を求めてデモが起こる欧米とは状況が大きく異なる。

                                            非常事態宣言は再再延長すべきか――自粛の強者、自粛の弱者/田中辰雄 - SYNODOS
                                          • 「近所」というフロンティア――地元観光のすすめ/吉永明弘 - SYNODOS

                                            2020年度は大学人にとっても想定外の年度となった。私は今学期、一回しか大学に行っていない。あとはすべて自宅でオンデマンド式の講義を行った。授業を録画してそれを配信し、視聴してもらうというやり方だ。しかしこれでは出席も取れないし、双方向のやりとりができない。そこで出席を兼ねて質問をメールで受け付けたところ、例年のコメントペーパーよりも本気度の高い質問が多く届いた。それに長文の返事をすると、再びメールが来て、何度かやりとりが交わされる。実はオンデマンド授業のほうが、対面授業よりも個々の受講生と「対話」する機会が増えている。去年までの、特に大人数の授業の場合は、対面といっても実際には「講師」と「聴衆」であり、教員と話をすることなく学期を終える学生が少なくなかった。 そんなわけで、講義については、オンデマンドでもメール等を用いれば何とかなる(ある点では授業が改善される)ことがわかってきた。問題は

                                              「近所」というフロンティア――地元観光のすすめ/吉永明弘 - SYNODOS
                                            • 漫画村異聞――海賊版の前向きの解決/田中辰雄 - SYNODOS

                                              海賊版サイトであった漫画村事件に2021年6月判決が下り、運営者は懲役3年の刑が言い渡された。判決文は「著作物の収益構造を根底から破壊し、文化の発展を阻害する危険性をはらんでおり」と厳しい口調で述べている。 漫画村が著作権法違反であることは間違いない。しかし、文化の発展という観点から見てこの形の解決が前向きと言えるかどうかには疑問がある。前向きの解決は、漫画村をこの世から消去するのではなく、出版社自身が漫画村的なことをはじめることではあるまいか。以下、漫画村の被害額の推定を行いながら、問題を再考して見よう。なお、以下述べることは、秋に刊行予定の『知財のフロンティア』(田村・山根編、勁草書房刊)のなかの拙稿の要約である。詳しい議論はそちらを参照されたい。 まず、漫画村の被害額を個人への調査で推定してみよう。そのため、漫画村閉鎖の前後の比較を行う。漫画村は2018年4月に閉鎖されている。漫画村

                                                漫画村異聞――海賊版の前向きの解決/田中辰雄 - SYNODOS
                                              • 現金給付の政府案について考える――複雑で手間のかかる制度設計の成果は?/中里透 - SYNODOS

                                                現金給付の政府案について考える――複雑で手間のかかる制度設計の成果は? 中里透 マクロ経済学・財政運営 経済 緊急経済対策が閣議決定された。焦点となっていた家計支援策(個人向けの現金給付)については、いくつかの制限を付したうえで自己申告(申請)をもとに給付が行われることとなったが、この政府案についてはさまざまな疑問や批判の声が寄せられている。緊急経済対策の原案の了承を得るために開かれた自民・公明両党の会合においても、対象者や給付の方法をめぐって数多くの異論が示されたと報じられている。そこで、本稿ではパブリックコメントの意味合いも込めて、現金給付の政府案について点検をしてみたい。 あらかじめ本稿のメッセージを要約すると ・ひとまず一律給付を行い、給付金を課税所得扱いとしたうえで、所得が一定の基準を上回る場合には事後に所得税で給付金相当額を回収する方法をとれば、今回の措置と同様のことが、より簡

                                                  現金給付の政府案について考える――複雑で手間のかかる制度設計の成果は?/中里透 - SYNODOS
                                                • 「聖なるものを人間化する」若者たち―『再帰的近代のアイデンティティ論 ポスト9・11時代におけるイギリスの移民第二世代ムスリム』(晃洋書房)/安達智史(著者) - SYNODOS

                                                  2020.12.11 「聖なるものを人間化する」若者たち―『再帰的近代のアイデンティティ論 ポスト9・11時代におけるイギリスの移民第二世代ムスリム』(晃洋書房) 安達智史(著者)社会学理論、政治哲学 「イスラーム」あるいは「イスラーム教徒(以下、ムスリム)」と聞くと、どんなイメージをもつでしょうか。頭・全身を覆うスカーフやヴェールを着用する女性、白い帽子や首から足下までが隠れるガウンを着こなす男性などを思い浮かべるかもしれません。ヨーロッパに旅行した人なら、西洋の都市空間のなかに異質な文化的景観を作り上げる、少しとっつきにくい人たちという印象を抱くかもしれません。あるいは、より近年では、ヨーロッパやその他の地域で相次ぐ過激主義者による「テロ」となんとなく紐付けてイメージする人も多いかもしれません。 ここで紹介する拙著『再帰的近代のアイデンティティ論―ポスト9・11時代におけるイギリスの移

                                                    「聖なるものを人間化する」若者たち―『再帰的近代のアイデンティティ論 ポスト9・11時代におけるイギリスの移民第二世代ムスリム』(晃洋書房)/安達智史(著者) - SYNODOS
                                                  • なぜ戦争は起こるのか?――『進化政治学と国際政治理論 人間の心と戦争をめぐる新たな分析アプローチ』(芙蓉書房出版)/伊藤隆太(著者) - SYNODOS

                                                    2020.11.16 なぜ戦争は起こるのか?――『進化政治学と国際政治理論 人間の心と戦争をめぐる新たな分析アプローチ』(芙蓉書房出版) 伊藤隆太(著者)国際政治学、安全保障論 なぜ人間は戦争をするのだろうか。この究極的な問いをめぐり、これまで社会科学では一つの誤った発想が中心的なドグマとなっていた。それは、「戦争は人間の本性とはかかわりがない」という考え方である。 このルソー的なドグマは翻って、「戦争は学習された産物である」、「戦争は西欧文明の退廃さにより引き起こされる」、「人間は本性的には平和的である」といったおなじみの命題に派生していく。たとえば、戦争は人間本性に由来するという古典的リアリスト(ホッブズ、モーゲンソー等)の先見的な洞察にもかかわらず、1970年代以降行動論が台頭する中で、国際政治学はより「科学的」な理論を目指して、人間本性論を拒絶するに至ったのである。 しかし、進化論

                                                      なぜ戦争は起こるのか?――『進化政治学と国際政治理論 人間の心と戦争をめぐる新たな分析アプローチ』(芙蓉書房出版)/伊藤隆太(著者) - SYNODOS
                                                    • 異論あり、ファスト映画考――逮捕は悪手である/田中辰雄 - SYNODOS

                                                      1.問題の所在:ファスト映画とは 2021年6月23日、ファスト映画をアップしていた3人が逮捕された。【注1】ファスト映画とは映画を10分程度に短縮し、解説をつけたものである。映画の一部を切り取ってダイジェスト版をつくり、あらすじがナレーションとして入っており、2時間近くかけて映画本体を観なくても、短時間で映画の中身がわかるようになっている。ファスト映画は権利者に許諾を得ずに映画を切り貼りして利用しているため、著作権法違反は明らかである。容疑者も事実関係は認めており、事件としては決着した。 しかし、逮捕が映画業界として最善策であったかどうかには疑問がある。一般にネット上の違法コピーには正規版の売上を減らす代替効果だけでなく、逆に売上を増やす宣伝効果があるからである。YouTubeで音楽ファイルがながれることは、かつては違法行為とされてきたが、現在では宣伝効果が優るため、音楽業界は音楽をYo

                                                        異論あり、ファスト映画考――逮捕は悪手である/田中辰雄 - SYNODOS
                                                      • SYNODOSたわわアンケートが開いたパンドラの函

                                                        これhttps://synodos.jp/opinion/society/27932/ とかあれhttps://anond.hatelabo.jp/20220425213225の話。 タイトルはちょっとかっこつけたかった。厨二の名残り。 いや、田中辰雄氏が実施したたわわ広告の調査、すごいよね。 ヤンマガも日経も、一つの広告にあれだけ詳細な意識調査をかけることは滅多にないんじゃないろうか。 個人的にかなり面白かったので、ぐだぐだ語ってみたい。しかし、エグい調査やで…。 まず、最近よく無断転載されてるあのグラフ、田中氏の記事でいうと図4。 批判的な意見の者は主に40代~50代の女性に多いことが目立つ。「更年期のヒステリックしわわオバサンが巨乳たわわ美少女に嫉妬」な構図を読み取りたくなるのも分かる。 だがせっかくの調査、他の数字も味わってみよう。様々な決定要因のとこね。 例えば、既婚者。 既婚者

                                                          SYNODOSたわわアンケートが開いたパンドラの函
                                                        • 非常事態下の自宅での過ごし方――ヨーロッパの人々の行動や価値観の変化/穂鷹知美 - SYNODOS

                                                          ヨーロッパ諸国がロックダウンをはじめてから、5週間あるいはそれ以上がたちました。ドイツ語圏では4月下旬から、営業を禁止されていた店舗の営業を認めるロックダウン解除の方針が相次いで発表されましたが、基本的に用事がない限りほかの人と接触せずに家ですごすべき、という原則は変わっていません。人々はそんななか日々をどんな風にすごしてる、あるいはこれまですごしていたのでしょう。 医療や食品や生活必需品に関わる小売や物流関係者、警察など、「社会システムの維持に直結する」と言われる職種の人たちは、就業が義務あるいは認められ、通常以上に多忙な業務に追われています。その一方、現在、仕事ができない人や、ホームオフィスを強いられている人も多々います。その人たちは、1ヶ月以上家にいてなにをしているのでしょう。 みんな家にとじこもっている状況なので、実際のところはよくわかりません。一方で、消費の動向やインターネットに

                                                            非常事態下の自宅での過ごし方――ヨーロッパの人々の行動や価値観の変化/穂鷹知美 - SYNODOS
                                                          • 趣味の社会学――文化・階層・ジェンダー/片岡栄美 - SYNODOS

                                                            日本には経済的な格差はあっても、文化的な格差はあまり意識されることがない。たとえばクラシック音楽を好きな人が、JPOPも好きでカラオケをしていたり、あるいは古典文学を愛好しつつアニメも好きという人がいるので、文化はフラット化したとか、日本は文化的に平等だといわれることが多い。しかし本当に文化の格差はないのだろうか。 20世紀後半を代表するフランスの社会学者、ピエール・ブルデューの理論と問題関心に導かれた著者は、計量的な社会調査やインタビュー調査を通じて、日本の文化実践や文化格差について研究を続けてきた。そして昨年、『趣味の社会学 文化・階層・ジェンダー』を上梓した。タイトルの「趣味」とは「テイスト」の意味であり、本書は日本における趣味やライフスタイルの階層性、文化による差異化、文化資本や教育の再生産、階級のハビトゥスなど、文化的再生産とよばれる領域について、ブルデュー理論を日本で検証した社

                                                              趣味の社会学――文化・階層・ジェンダー/片岡栄美 - SYNODOS
                                                            • 消費減税か現金給付か――制度と経緯に即して考える/中里透 - SYNODOS

                                                              新型肺炎(コロナウイルス感染症)の影響で景気が急速に悪化しつつある。2月の景気ウォッチャー調査では、足元の景況が東日本大震災の直後の水準に近づきつつあることが示されたが、こうした中、経済対策の柱として消費減税や現金給付の提案が数多くなされるようになった。 もっとも、このような提案については「バラマキ」ではないかとの批判がみられる。この点についてはどのように考えたらよいのだろう? もし仮にこのような措置を実施するとした場合、その具体的なスキームはどのようなものとすべきだろうか? 本稿ではこれらの点について考えてみたい。 バラマキは悪いことか? 一般論からすると、減税や給付などの財政措置については、範囲を限定し対象者を絞ったうえで実施することが望ましい。そのようにしないと、減税や給付などの措置の有効性(ターゲット効率性)が低下してしまうからだ。対象者を特定しない一律の減税や給付を「バラマキ」と

                                                                消費減税か現金給付か――制度と経緯に即して考える/中里透 - SYNODOS
                                                              • 「捏造」という言葉の重さについて――批判の自由か《排除》か/志田陽子 - SYNODOS

                                                                近年、「捏造」(ないし「ねつ造」)という言葉によって研究者や文筆家を論難する発言が見られる。こうした発言を名誉毀損に問う裁判も起きている。ジャーナリスト・植村隆氏が提起した二つの裁判(2019年6月26日東京地裁判決・東京高裁で控訴審係争中、2020年2月6日札幌高裁判決、最高裁に上告手続き中)や、研究者グループが提起した「フェミ科研費裁判」(2019年2月12日提訴・係争中)などである。この問題で、「表現の自由」を確保するための解釈はどうあるべきだろうか。 以下は2月24日に行われたシンポジウム「フェミ科研費裁判から考える「表現の自由」と「学問の自由」」(於 同志社大学)での登壇報告をもとにまとめた論考です。質問は、司会者の問いかけや質疑応答でいただいた質問を参考に、筆者(志田)のほうで再構成しています。 ――近年、大学所属の研究者が「捏造」「剽窃」などの研究不正に問われる事例が増えてい

                                                                  「捏造」という言葉の重さについて――批判の自由か《排除》か/志田陽子 - SYNODOS
                                                                • 国連におけるジェンダー主流化ーー”all men”から”all human beings”へ/小林綾子 - SYNODOS

                                                                  国連におけるジェンダー主流化ーー”all men”から”all human beings”へ 小林綾子 紛争平和研究、グローバル・ガバナンス 国際 #安全保障をみるプリズム#「新しいリベラル」を構想するために 「インドのハンサ・メフタ(Hansa Mehta)がいなければ、“Human Rights”でなく“the Rights of Man”の普遍的宣言になっていただろう。…ドミニカ共和国のミネルバ・ベルナルディーノ(Minerva Bernardino)は、世界人権宣言の前文に「男女の平等」という文言を挿入するよう説得した。ベルナルディーノを含むラテンアメリカの女性代表は…男女の同権を認める初の国際合意となった国連憲章起草にも重要な役割を果たし、世界人権宣言に同じ道を開いた(注1)。」 これは、アントニオ・グテーレス(António Guterres)国連事務総長が2018年に行った演

                                                                    国連におけるジェンダー主流化ーー”all men”から”all human beings”へ/小林綾子 - SYNODOS
                                                                  • 香川県ネット・ゲーム依存症対策条例の問題点/杉野直也 - SYNODOS

                                                                    2020年1月10日、Twitterのトレンドに「ゲーム禁止」という言葉が急浮上した。 子どものスマートフォンやゲーム機の使用は1日60分まで――。 具体的な時間制限を盛り込んだ「ネット・ゲーム依存症対策条例」の素案を、香川県議会がまとめたと報道され、これがネット上で大きな波紋を呼んだのである。 「ネット・ゲーム依存症対策条例」は、1月10日に「第5回香川県議会ネット・ゲーム依存症対策に関する条例検討委員会」に提出された条例素案(旧案)と、1月20日に「第6回香川県議会・ゲーム依存症対策に関する条例検討委員会」に提出された修正素案(新案)の2種類が存在する。 本稿では、これらの素案について見ていく。 なお、この記事を執筆している1月21日現在、香川県は両案ともネット上には公開していない。筆者が県から入手し、ネットに公開したものを基とする。 旧案を見た時に最初に思ったのは、非常に観念的なもの

                                                                      香川県ネット・ゲーム依存症対策条例の問題点/杉野直也 - SYNODOS
                                                                    • 「女性にリーダーは向かない」というジェンダー・バイアスをなくそう/野村浩子 - SYNODOS

                                                                      もう元には戻れない――。コロナ禍を受けて、働く側も、企業も、そして自治体や自治体も模索が続く。過去の延長線上に、新たな社会は構築できない。社会を再構築するにあたって求められる重要な視点のひとつが、ジェンダー目線である。 政治の世界においては、女性活躍推進といいながらも、働く女性の「ケア労働」に対するフォローが欠けていたことが、今回のコロナ禍で明らかになった。働く女性は職場の仕事に加えて家事育児・介護といったケア労働を担い、ダブルワーク、トリプルワークになっている。日本はOECD諸国のなかで最も、有償労働は男性に偏り、無償労働は女性に偏っている。日本人女性の有償労働、無償労働を足し合わせた総労働時間は日本人男性よりも長く、OECD諸国のなかで最長である。付言するなら、日本人女性の睡眠時間は最も短い。女性が輝く社会というキャッチフレーズの裏には、女性が睡眠時間を削って無償労働を担う姿がある。

                                                                        「女性にリーダーは向かない」というジェンダー・バイアスをなくそう/野村浩子 - SYNODOS
                                                                      • 現実の複雑さに向き合うために――ヤンキーの生活世界/『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー』著者、知念渉氏インタビュー - SYNODOS

                                                                        現実の複雑さに向き合うために――ヤンキーの生活世界 『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー』著者、知念渉氏インタビュー 情報 #新刊インタビュー ――本日は、日本教育社会学会奨励賞〔著書の部〕に選ばれた『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー』の著者、知念歩さんにお話を伺います。なぜ「ヤンチャな子ら」を研究しようと思ったのですか? 卒論を書くときに、若者文化をテーマにしたいと思ったんです。そのことを、当時の指導教員であった『裸足で逃げる』の上間陽子先生に相談したところ、渡されたのがポール・ウィリスの『ハマータウンの野郎ども』とディック・ヘブディジの『サブカルチャー』という本でした。 とくに『ハマータウンの野郎ども』の第一部は、とても興味深く読んだことを覚えています。ただ、卒論では、自分自身が当時足繁く通っていた那覇の国際通りの裏路地にあるセレクトショップに集う若者たちの文化について書きました

                                                                          現実の複雑さに向き合うために――ヤンキーの生活世界/『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー』著者、知念渉氏インタビュー - SYNODOS
                                                                        • 信用乗数論は信用できるか――マイナス金利について考える/中里透 - SYNODOS

                                                                          日本銀行による大規模な金融緩和(量的・質的金融緩和)がスタートしてから、あと1月ほどで8年が経過する。マネタリーベースを操作対象とする教科書通りのシンプルな枠組みであった「異次元緩和」にはさまざまな付属品がついて、いまでは建て増しを重ねた温泉旅館のようになってしまったが、マイナス金利政策の導入から5年という時期にも当たる現在の時点で、これまでの経過を振り返っておくことは有益な試みであろう。 ここではその出発点として、「信用乗数論」というキーワードをもとに、現在の金融政策の基本的な枠組みとそのもとでの金融政策の運営について点検を行っておくこととしたい。 なお、信用乗数(貨幣乗数)をめぐっては、マネタリーベース(ハイバワードマネー)とマネーストック(マネーサプライ)の間に安定的な関係があるか(乗数は安定的か)、マネタリーベースを増やすとその乗数倍だけマネーストックが増えるという機械的なメカニズ

                                                                            信用乗数論は信用できるか――マイナス金利について考える/中里透 - SYNODOS
                                                                          • 子どものゲームやスマホの使い方に迷ったときに/井出草平 - SYNODOS

                                                                            『ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち 子どもが社会から孤立しないために』(吉川徹)は、現在のところ、ゲーム障害やネット依存症についての最良の本である。多くのゲーム障害やネット依存症の本は人々の不安を煽り立てるが、具体的な解決策については記載の乏しいものが多い。しかし本書にはそういった心配はない。バランスよく研究を紹介した上で、実際にどのように対応すればよいかということを教えてくれる。 わが子がゲーム障害かも?ネット依存症かも?と思っている親や保護者にとっても有益な情報が多いが、子育てをしているほとんど親や保護者にとっても参考になる情報が多い。「子どもがゲーム機を欲しがっているのだが買ってよいものか」「ゲームはどのくらい遊ばせてよいもののだろうか」「子どもがスマホを欲しいと言ったが、買い与えていいものか」「スマホ使用のルールを作りたいが、どうしたらいいのだろうか」。こういった悩み

                                                                              子どものゲームやスマホの使い方に迷ったときに/井出草平 - SYNODOS
                                                                            • トランプ氏SNS排除のリスク――いまそこにある危機/田中辰雄 - SYNODOS

                                                                              2021年1月、トランプ元大統領のツイッターのアカウントが永久凍結された。フェイスブックも追随し、トランプ氏は大手SNSから排除された この事件は、さまざまの論評を呼び起こした。デマを流し暴力を煽るアカウントは凍結されてしかるべきという容認論がある一方、言論の自由を奪う危険な措置という批判もある。法的に見て私企業がユーザに自社のサービスの利用を許すかどうかはその企業の自由であるという容認論がある一方、SNSのプラットフォームはすでに世界規模のインフラであり、一企業の範疇ではないという反論もあろう。議論はさまざまの角度から可能であり、今後時間をかけて議論が続けられることだろう。 しかし、それとは別に、より緊急の問題がある。それはSNSの世界が保守とリベラルの二つに分割されてしまう未来が見え始めたことである。トランプ氏も含めた何人かの保守側の論客は新しい独自のSNSへの移行を唱えている。パーラ

                                                                                トランプ氏SNS排除のリスク――いまそこにある危機/田中辰雄 - SYNODOS
                                                                              • インバウンド需要は、なぜ日本の対中脆弱性を高めるのか――安倍政権の安保政策を振り返る(4)/山﨑周 - SYNODOS

                                                                                インバウンド需要は、なぜ日本の対中脆弱性を高めるのか――安倍政権の安保政策を振り返る(4) 山﨑周 国際政治学、中国の外交・安全保障政策 国際 #安全保障をみるプリズム はじめに 中国がらみの安全保障問題というと、日中関係の文脈では尖閣諸島の話がすぐに思い浮かぶ。しかし、じつは経済的な問題、とくにインバウンド需要も、日本の対中脆弱性を著しく高める安全保障上の課題だ。 外国人観光客を対象としたインバウンド需要の活性化や、外国人労働者の受け入れ拡大が象徴する通り、中国を主とした他国への人的依存が急速に深まるようになってきた。また、2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大は、観光業界を主に、中国人観光客の来日を見込んだインバウンド需要が、非常事態や有事に際して最初に商業的な打撃を受けることを露呈させた。 以下で論じるように、第2次安倍政権下で進行した日本の経済および社会面での中国を含め

                                                                                  インバウンド需要は、なぜ日本の対中脆弱性を高めるのか――安倍政権の安保政策を振り返る(4)/山﨑周 - SYNODOS
                                                                                • 子どもが発達障害です。――『大学教授、発達障害の子を育てる』(光文社)/岡嶋裕史(著者) - SYNODOS

                                                                                  2021.04.09 子どもが発達障害です。――『大学教授、発達障害の子を育てる』(光文社) 岡嶋裕史(著者)情報セキュリティ 子どもが発達障害です。 それを知ったとき、「困ったな」と思いました。 いや、誰だって「お子さんが障害ですよ」と言われたら、たいていは困ると思うのですが、ぼくの場合はそもそもことの初めから困っていたのです。 ぼくはそもそも、「子どもをちゃんと育てられるだろうか」と危惧していたのです。人間の赤ちゃんを動物と一緒くたにしてはいけませんが、食べものを与え、環境を快適に保ち、危険や不具合があればそれを除去するといった作業は、まあ一緒ですよね。 ぼくはそれなりに生きものが好きな子どもだったので、これまでにけっこうな生きものを育ててきました。でも、とても申し訳ないことに、彼らはあまり天寿を全うしていません。色々な要因があるでしょうけれども、主因はぼくのお世話が下手な点にほぼ集約

                                                                                    子どもが発達障害です。――『大学教授、発達障害の子を育てる』(光文社)/岡嶋裕史(著者) - SYNODOS

                                                                                  新着記事