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フーコーは、「言葉と物」の末尾を人間の消滅に関する予言の言葉で結んでいる。「人間は、われわれの思... フーコーは、「言葉と物」の末尾を人間の消滅に関する予言の言葉で結んでいる。「人間は、われわれの思考の考古学によってその日付の新しさが容易に示されるような発明に過ぎぬ。そしておそらくその終焉は間近いのだ・・・賭けてもいい、人間は波打ち際の砂の表情のように消滅するであろうと」(「言葉と物」第10章末尾、渡辺・佐々木訳) ここでフーコーが「日付の新しさ」と言っているのは、人間という概念が近代のエピステーメーの成立と同時に現れたのであり、それはたかだか19世紀の始めに遡るものでしかない最近の出来事だったということである。 そこで、近代のエピステーメーとともに現れたこの人間というものがどのようなもので、その消滅が間近いとはどのような意味なのか、が問題となる。 人間という概念の内包について、フーコーは主題的には論じていない。ただ遠まわしに言及しているだけである。たとえば労働概念との関連において。労働と
2020/02/27 リンク