1, 理事国再選状況 21日に国連総会にて、47ヶ国で構成されている理事会の一部改選が行われた。アジア枠の改選議席は4で、日本、韓国、パキスタン、スリランカ、バーレーン、東ティモールの6ヶ国が立候補。スリランカ、東ティモールが落選し、日本は最多という155票を集めて再選された。任期は今年6月から3年。
今回アジア枠で落選したスリランカの他、パキスタン、バーレーン、ガボン、ザンビアの各国は「組織的な人権侵害」が指摘されるとして、民間人権団体などが否定的な評価を下していたそうだが、パキスタンなどはイスラム諸国が支持、アフリカ地域は事前に候補国が調整された結果、ガボンとザンビアが議席を獲得という。
西欧枠では改選議席2に対して、フランス(123票)とイギリス(120票)が再選。イギリスは落選したスペインと1票差だったそうだ。今回当選した理事国はほかに、韓国、ガーナ、ブルキナファソ、スロバキア、ウクライナ、チリ、ブラジル、アルゼンチン。
また、アメリカは、『理事国選出基準が甘く「人権侵害国」でも理事国になれる』等の批判を表明しており、理事国への立候補も見送り続けている上に、6月6日には「今後は国益に密接にかかわると判断した問題のみ(アメリカ政府は)関与する。これまでより(関与の範囲を)縮小する」と政府報道官が述べ、同日、同盟・友好国に人権理の活動から事実上離脱する意向を非公式に伝えたとロイター電が伝えているそうだ。
参考(魚拓は撮ってない);
・日経ネット2008年5月22日付「
国連人権理事会、日本が再選」
・MSN産経2008年5月22日付「
国連人権理事会 日本が再選、スリランカは落選」
・US FrontLine2008年06月07日付「
人権理から事実上離脱か 「関与縮小」と米報道官」
2, 決議に関する報道二件・MSN産経2008.6.19 10:24付『
「社会権」侵害で個人通報 国連人権理が採択』
国連人権理事会は18日、国際的な人権保障の基本となる国際人権規約のうち、労働や教育などの権利を保障する「社会権」を侵害された個人による通報制度を新設することで合意した。
・共同通信2008/06/19 10:35付『
差別撤廃へ決議採択 ハンセン病で日本提案』
国連人権理事会は18日、日本が提案したハンセン病患者に対する差別撤廃を求めた決議案を全会一致で採択した。(中略)決議案は日本が主導し、最終的には非理事国を含め58カ国が共同提案国となった。
3, 死刑制度撤廃に関して・MSN産経2008.6.13 11:28付『
死刑存続方針を再確認 国連人権理で日本』
国連人権理事会は12日、日本を対象とする普遍的審査(UPR)の成果文書を採択した。この日の会合で日本政府の代表は、5月の対日審査作業部会で各国から「勧告」があった死刑制度の見直しについて、国内の世論動向などを背景に「死刑を廃止する立場にはない」と存続方針を再確認した。(後略)
…これが、どうもどういう事か今ひとつ解らなかったのだが、こんな情報があった。
swissinfo.chの 2008/06/16 付『
人権審査、日本は死刑制度維持を再確認』から一部引用、
(強調は引用者による)受け入れるか否かを国際社会で宣言
(略)日本は、6月12日代表の宮川眞喜雄 ( まきお )大使が他国からの26の勧告に返答する形で冒頭演説を行った。人権教育を初め始め、児童、女性、障害者などの人権問題で多くの改善を行ってきたことや、今後の努力を表明した結果文書が数カ国から高い支持を得た。
しかし、ヨーロッパ十数カ国から勧告を受け、焦点の1つとなった死刑制度廃止問題では、
「日本政府は死刑制度の廃止も、モラトリアム ( 一時停止 ) も受け入れる立場にない」
と表明した。
死刑廃止を支持してきた日本弁護士連合会 ( 日弁連 ) の代表としてスピーチを行った大谷美紀子氏は
「これほどはっきり宣言されるとは思わなかった」
と落胆の色を隠さなかった。UPR の結果文書で今回受け入れないと宣言された項目は、次回4年後の審査の対象にならないからだ。
…なんか、人権意識のとっても低い国と宣言してきたのではないかと不安になってしまった。
4,日本軍『慰安婦』問題 死刑制度廃止に関して報じたMSN産経の報道で
作業部会で「誠実な対応」を求められた従軍慰安婦問題についても、「今後とも対話を続けていきたい」などと述べるにとどめた。
とあっただけで、日本では報じられない。
…では、韓国の報道から拾った報道を、自動翻訳なんちゃって大まか訳で保存。
CNBニュース 2008-06-15 13:17:35付より、
「
유엔 인권이사회, '정신대' 보고서 채택 (国連人権理事会「慰安婦」報告書採択)」、
サブタイトルで「일본군‘위안부’ 문제에 대한 각국의 권고와 질의 담은 실무그룹 보고서 정식 채택 (日本軍「慰安婦」問題に対する各国の韓国と質問を入れた実務グループ報告書正式採択)」
現地時間12日、ジュネーブで開かれた国連人権理事会8次定期会議で、日本政府に「慰安婦」問題の解決を促す各国の声を入れた報告書が正式に採択された。
国連人権理事会の普遍的定期審査制度により、先月、日本の人権状況を検討した実務グループ会議第二次セッションでは、フランスをはじめとするオランダ、韓国、北朝鮮、中国、フィリピンなどが日本政府に「慰安婦」問題の解決を促した。
各実務グループ国家の意見を入れた「実務グループ報告書」が今回の定期会議で採択されることによって、日本政府は日本軍「慰安婦」問題に対する国連の特別報告官や、国連人権機構などの勧告に対して、誠実に対応しなければならない義務を国際社会から要請されることになった。
しかし、実務グループ会期に続いての、報告書採択を控えた今回の定期会議のける冒頭演説で、日本政府代表はアジア女性基金に言及し、これまでの法的責任を回避する既存の立場を守った。これに北朝鮮は、再度、歴史わい曲問題と「慰安婦」問題に対して日本政府の誠実な努力を強く促した。
またNGOからは、「反差別国際運動(IMADR)、反拷問世界機構(OMCT)、アジア女性資料センター(AJWRC)、女たちの戦争と平和資料館(wam)等関連団体らが、共同声明をだして国際人権機構の勧告に応じて「慰安婦」問題に対する措置を取ることを促した。
実務グループ会期においては、今回初めて「慰安婦」問題に対する公式意見を表明したフランスは、「慰安婦」問題が第二次世界大戦中に起こった強制売春である認識を明確にし、その後に数度にわたって発せられた国際社会の勧告に応じて「慰安婦」問題に対する「恒久的な解決策」を模索することを促した。
オランダ政府も、国連人権条約機構など国際社会の関連勧告に従うために、日本政府がどのような措置を取ったかを質問した。なお、オランダ議会は2007年11月に「慰安婦」問題の解決を促す決議案を採択している。
北朝鮮は「慰安婦」問題はもちろん、過去に日本政府から被害を受けた国家に対して具体的な措置を取ることを強力に促し、韓国政府も「慰安婦」問題に対する、国連女性差別撤廃委員会 (CEDAW) と国連拷問禁止委員会 (CAT) そして特別報告官の勧告を、誠実に履行することをより強力に要求した。
フィリピンは「過去と現在の人身売買被害者ら」の人権保護と賠償のための計画を強化することを要請し、中国も国連特別報告官と国連拷問禁止委員会が注目した通りに、日本には解決しなければならない「歴史的問題」が残っていることを指摘した。
…ただし、2008-06-13付の「
国連人権理事会本会議におけるUPR審査に対する日本政府の対応についての日弁連コメント」によると、
5,これに対して、日本政府が受け容れあるいは検討を約束しなかった勧告は、警察における取調べをモニターする方法について検討し、代用監獄制度のもとにおける警察での長期勾留の利用について再検証することあるいは従軍慰安婦問題について国連のメカニズムの勧告に真摯に対応すること等、9項目(別紙3)の勧告である。
というので、死刑制度廃止のように「受け容れない」と宣言したわけではない、という程度のようだ。
…まだまだ、ということらしい。
追記;
トラックバック下さった『
Stiffmuscleの日記』さんが『
UPR 日本の検討結果文書が採決された・・・最悪!』で、国連人権委:非公式プレスリリースを紹介してくださっています。
2, 決議に関する報道二件・MSN産経2008.6.19 10:24付『
「社会権」侵害で個人通報 国連人権理が採択』
国連人権理事会は18日、国際的な人権保障の基本となる国際人権規約のうち、労働や教育などの権利を保障する「社会権」を侵害された個人による通報制度を新設することで合意した。
・共同通信2008/06/19 10:35付『
差別撤廃へ決議採択 ハンセン病で日本提案』
国連人権理事会は18日、日本が提案したハンセン病患者に対する差別撤廃を求めた決議案を全会一致で採択した。(中略)決議案は日本が主導し、最終的には非理事国を含め58カ国が共同提案国となった。
3, 死刑制度撤廃に関して・MSN産経2008.6.13 11:28付『
死刑存続方針を再確認 国連人権理で日本』
国連人権理事会は12日、日本を対象とする普遍的審査(UPR)の成果文書を採択した。この日の会合で日本政府の代表は、5月の対日審査作業部会で各国から「勧告」があった死刑制度の見直しについて、国内の世論動向などを背景に「死刑を廃止する立場にはない」と存続方針を再確認した。(後略)
…これが、どうもどういう事か今ひとつ解らなかったのだが、こんな情報があった。
swissinfo.chの 2008/06/16 付『
人権審査、日本は死刑制度維持を再確認』から一部引用、
(強調は引用者による)受け入れるか否かを国際社会で宣言
(略)日本は、6月12日代表の宮川眞喜雄 ( まきお )大使が他国からの26の勧告に返答する形で冒頭演説を行った。人権教育を初め始め、児童、女性、障害者などの人権問題で多くの改善を行ってきたことや、今後の努力を表明した結果文書が数カ国から高い支持を得た。
しかし、ヨーロッパ十数カ国から勧告を受け、焦点の1つとなった死刑制度廃止問題では、
「日本政府は死刑制度の廃止も、モラトリアム ( 一時停止 ) も受け入れる立場にない」
と表明した。
死刑廃止を支持してきた日本弁護士連合会 ( 日弁連 ) の代表としてスピーチを行った大谷美紀子氏は
「これほどはっきり宣言されるとは思わなかった」
と落胆の色を隠さなかった。UPR の結果文書で今回受け入れないと宣言された項目は、次回4年後の審査の対象にならないからだ。
…なんか、人権意識のとっても低い国と宣言してきたのではないかと不安になってしまった。
4,日本軍『慰安婦』問題 死刑制度廃止に関して報じたMSN産経の報道で
作業部会で「誠実な対応」を求められた従軍慰安婦問題についても、「今後とも対話を続けていきたい」などと述べるにとどめた。
とあっただけで、日本では報じられない。
…では、韓国の報道から拾った報道を、自動翻訳なんちゃって大まか訳で保存。
CNBニュース 2008-06-15 13:17:35付より、
「
유엔 인권이사회, '정신대' 보고서 채택 (国連人権理事会「慰安婦」報告書採択)」、
サブタイトルで「일본군‘위안부’ 문제에 대한 각국의 권고와 질의 담은 실무그룹 보고서 정식 채택 (日本軍「慰安婦」問題に対する各国の韓国と質問を入れた実務グループ報告書正式採択)」
現地時間12日、ジュネーブで開かれた国連人権理事会8次定期会議で、日本政府に「慰安婦」問題の解決を促す各国の声を入れた報告書が正式に採択された。
国連人権理事会の普遍的定期審査制度により、先月、日本の人権状況を検討した実務グループ会議第二次セッションでは、フランスをはじめとするオランダ、韓国、北朝鮮、中国、フィリピンなどが日本政府に「慰安婦」問題の解決を促した。
各実務グループ国家の意見を入れた「実務グループ報告書」が今回の定期会議で採択されることによって、日本政府は日本軍「慰安婦」問題に対する国連の特別報告官や、国連人権機構などの勧告に対して、誠実に対応しなければならない義務を国際社会から要請されることになった。
しかし、実務グループ会期に続いての、報告書採択を控えた今回の定期会議のける冒頭演説で、日本政府代表はアジア女性基金に言及し、これまでの法的責任を回避する既存の立場を守った。これに北朝鮮は、再度、歴史わい曲問題と「慰安婦」問題に対して日本政府の誠実な努力を強く促した。
またNGOからは、「反差別国際運動(IMADR)、反拷問世界機構(OMCT)、アジア女性資料センター(AJWRC)、女たちの戦争と平和資料館(wam)等関連団体らが、共同声明をだして国際人権機構の勧告に応じて「慰安婦」問題に対する措置を取ることを促した。
実務グループ会期においては、今回初めて「慰安婦」問題に対する公式意見を表明したフランスは、「慰安婦」問題が第二次世界大戦中に起こった強制売春である認識を明確にし、その後に数度にわたって発せられた国際社会の勧告に応じて「慰安婦」問題に対する「恒久的な解決策」を模索することを促した。
オランダ政府も、国連人権条約機構など国際社会の関連勧告に従うために、日本政府がどのような措置を取ったかを質問した。なお、オランダ議会は2007年11月に「慰安婦」問題の解決を促す決議案を採択している。
北朝鮮は「慰安婦」問題はもちろん、過去に日本政府から被害を受けた国家に対して具体的な措置を取ることを強力に促し、韓国政府も「慰安婦」問題に対する、国連女性差別撤廃委員会 (CEDAW) と国連拷問禁止委員会 (CAT) そして特別報告官の勧告を、誠実に履行することをより強力に要求した。
フィリピンは「過去と現在の人身売買被害者ら」の人権保護と賠償のための計画を強化することを要請し、中国も国連特別報告官と国連拷問禁止委員会が注目した通りに、日本には解決しなければならない「歴史的問題」が残っていることを指摘した。
…ただし、2008-06-13付の「
国連人権理事会本会議におけるUPR審査に対する日本政府の対応についての日弁連コメント」によると、
5,これに対して、日本政府が受け容れあるいは検討を約束しなかった勧告は、警察における取調べをモニターする方法について検討し、代用監獄制度のもとにおける警察での長期勾留の利用について再検証することあるいは従軍慰安婦問題について国連のメカニズムの勧告に真摯に対応すること等、9項目(別紙3)の勧告である。
というので、死刑制度廃止のように「受け容れない」と宣言したわけではない、という程度のようだ。
…まだまだ、ということらしい。
追記;
トラックバック下さった『
Stiffmuscleの日記』さんが『
UPR 日本の検討結果文書が採決された・・・最悪!』で、国連人権委:非公式プレスリリースを紹介してくださっています。
No. 4575
>「日本政府は死刑制度の廃止も、モラトリアム ( 一時停止 ) も受け入れる立場にない」
この文章言いずらそうでした。つっかえてたし、明らかに緊張しまくりだったです。
>「今後とも対話を続けていきたい」
それにひきかえ、こっちはほとんど事務的な感じで流してたように受け取れました(強いバイアスがかかってます)。
マジ、哀しかったです。
No. 4579
>Stiffmuscleさん
あれだけ、あちこちから異論が噴出していたら、やっぱり言いづらかったのでしょうね。 >死刑制度廃止受け容れ拒否。
>「今後とも対話を続けていきたい」
なんか、もう、なんなんだかなぁと、言葉にできないうそ寒い気分を実感するばかりです。近ごろ個人的に面していることも含めて、、、本当に、日本ってまだまだなんでしょう。
…アイヌ民族の件だって「謝罪」はしていませんしね。カナダもオーストラリアも、ああなのに。
なお、アジア女性資料センターによると、
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=196
『「慰安婦」問題については、「アジア女性基金で解決済み」との従来の主張を繰り返して、死刑や代用監獄、人種差別などに関連する項目とならんで、勧告受け入れを拒否』
とのことで、日弁連コメントとはちょっとニュアンスが違うようでした。
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UPR 日本の検討結果文書が採決された・・・最悪!
ちょっと前のニュースだけど、たまたま拾ったので、関連情報と怒りをアップ 死刑存続方針を再確認 国連人権理で日本 (msn産経 - 2008.6.13) 国連人権理事会は12日、日本を対象とする普遍的審査(UPR)の成果文書を採択した。この日の会合で日本政府の代表は、5月の
[2008/06/22 23:03]
URL
Stiffmuscleの日記
鳩山さんに(ちょびっとだけ)賛成
朝日「死に神」報道に法相激怒 「死刑執行された方に対する侮辱」(産経新聞)
元になった朝日新聞夕刊のコラムがネット上では見つからないので、産経新聞の記事から該当部分を抜き出します。
「死に神」と鳩山法相を表現したのは、18日付朝日新聞夕刊のコラム「...
[2008/06/23 22:46]
URL
かめ?
[よのなか]志布志事件が映画化
昨日試写会だったんだって。ぜひ全国で公開してほしいね。 鹿児島県議選買収無罪事件:「志布志の悲劇」23日映画試写会 日弁連が製作 - 毎日jp(毎日新聞) 試写の詳しい内容はなぜか英語ニュースで。 Documentary on forced confessions screened in Tokyo › Japa
[2008/06/24 15:50]
URL
おこじょの日記