あーそーですかー(棒)。
それで、今度はどなたがその答弁書を求める質問趣意書をお出しに?という点を一応チェック。日本メディアの報道は、上記の産経報道以外はWEBで見つけられなかったが、
(略)日本の産経新聞が9日、伝えたところによりますと、日本政府は8日の閣議で、韓国の元慰安婦支援団体が去年12月、韓国駐在日本大使館前に「慰安婦の碑」を建立したことについて、外国公館の威厳の侵害防止を定めたウィーン条約第22条2にかかわる問題だとする、議員への答弁書を決定しました。(略)これは自民党の左藤正久参院議員の質問主意書に対して日本政府が答えたものです。
上記引用は原文ままをコピペであるが、佐藤正久議員でしょう。それと、在韓日本大使館前の平和碑の話なのに、掲載している画像がバリセイズ・パークの「慰安婦」碑というのも何だかなぁと思えるが、かのヒゲの元自衛官氏であるという貴重な情報を得た。さもありなん。
答弁書の原文がどのような表現かを確認したくて、佐藤議員のブログに転載されているかと確認に行ったものの無かったのではあるが、3月1日付で
2月28日 自民党「領土に関する特命委員会」が開催されました。
外務省から以下の報告がありましたが、自民党の新藤義孝代議士が先に情報を入手し、外務省に通報した案件も多く、在外公館の能力向上を求めるところでもあります。
1、米国パリセイズ・パーク市が「慰安婦記念碑」を建設した。
パリセイズ・パーク市は人口の約4割を韓国系が占める街。
外務省には、ホームページ等を通じて、慰安婦の非真実性を世界に発信するよう強く要請しているところですが、英語、韓国語、中国語などによるアピールが不十分です。(後略)
なる一節を含むエントリと、5月17日付のエントリで「自由民主党政務調査会 領土に関する特命委員会」の決議が掲載されていた
(これに関しては、別エントリを準備中)。残念ながら、肝心の答弁書は質問趣意書も含め見あたらず。
6月9日時点では参議院のホームページに答弁書は掲載されていなかったが、そこから待つこと数日。14日ぐらいには掲載されていた。ちなみに、
参議院の第180国会質問趣意書一覧では、提出番号118番で片山さつき議員による5月18日付「
従軍慰安婦問題に関する質問主意書」で「会談や親書で『従軍慰安婦の碑』の撤去に関しどのように言及しているのか、『ソウルの「戦争と女性の人権博物館」における従軍慰安婦問題に関する記述』に関しどのような認識か」というような質問趣意書があり、
それに対する答弁書が29日付で博物館に対しては何か申し入れた&親書の内容は内緒というような内容だった。佐藤議員の「
在韓国日本大使館前における「慰安婦像」に関する質問主意書」は30日付、片山さつき議員への答弁書が出た翌日の提出となる。ちなみに、
衆議院の第180国会分には、解決を求める側からのも含め「慰安婦」に関する質問趣意書はでていないようだ。
(略)
一 日本大使館前に設置された「慰安婦像」は、ウィーン条約にある駐在国は外国公館の安全と品位を保護する義務があるという規定に反すると考えるが、日本政府の見解如何。
(中略)
四 日本政府の内閣総理大臣から韓国大統領に対して、直接、「慰安婦像」撤去に関する毅然とした態度が示されないため、五月に開館された「戦争と女性の人権博物館」にも、日本大使館前の「慰安婦像」と同じ像が展示されたとの批判に対する日本政府の見解如何。
五 日本大使館前の「慰安婦像」撤去に関する日本政府の今後の取組方針如何。
右質問する。
答弁書は、今時点ではpdf版のみだったが、
(略)
在大韓民国日本国大使館前に設置されたお尋ねの「慰安婦像」については、政府としては、大韓民国政府に対し、累次にわたり、「慰安婦像」の設置は日韓関係に好ましくない影響を与えるとともに、外交関係に関するウィーン条約(昭和三十九年条約第十四号)第二十二条2に規定する公館の威厳の侵害等に関わる問題でもあると考えており、「慰安婦像」を早期に撤去すべきである旨申し入れてきている。
(略)
政府としては、大韓民国政府に対し、「慰安婦像」を早期に撤去するよう引き続き申し入れていく考えである。
…
当ブログでは何度も言及しているが、日本政府の「慰安婦」問題に対する公式な立場は、
1. 日本政府としては、慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識しています。政府は、これまで官房長官談話や総理の手紙の発出等で、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げてきました。(後略)
である。それがなぜ「公館の威厳の侵害等に関わる問題でもある」なのか謎であるが、念のため、ウィーン条約を確認してみることにしよう。
第二十二条
ARTICLE 22
1 使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない。
1. THE PREMISES OF THE MISSION SHALL BE INVIOLABLE. THE AGENTS OF THE RECEIVING STATE MAY NOT ENTER THEM, EXCEPT WITH THE CONSENT OF THE HEAD OF THE MISSION.
2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。
2. THE RECEIVING STATE IS UNDER A SPECIAL DUTY TO TAKE ALL APPROPRIATE STEPS TO PROTECT THE PREMISES OF THE MISSION AGAINST ANY INTRUSION OR DAMAGE AND TO PREVENT ANY DISTURBANCE OF THE PEACE OF THE MISSION OR IMPAIRMENT OF ITS DIGNITY.
3 使節団の公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は、捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される。
3. THE PREMISES OF THE MISSION, THEIR FURNISHINGS AND OTHER PROPERTY THEREON AND THE MEANS OF TRANSPORT OF THE MISSION SHALL BE IMMUNE FROM SEARCH, REQUISITION, ATTACHMENT OR EXECUTION.
文脈からして、もっと深刻な事態に対応するための条文ではないかという気がしきりとしつつ、大使館前にすでに「心からお詫びと反省の気持ちを申し上げてきました」件に関する像があるだけで侵害される威厳とは安い威厳もあったもんだという気もすごくするのだが…。
さて、ここで更に疑問が出てきてしまった。では「外交関係に関するウィーン条約」の条項で実際に侵害された場合はどうするんだろう? 条文を見ていくと、最後にこんな条項があった。
第五十三条
ARTICLE 53
この条約の原本は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語による本文をひとしく正文とし、国際連合事務総長に寄託される。事務総長は、第四十八条に規定する四の種類のいずれかに属するすべての国にその認証謄本を送付するものとする。
THE ORIGINAL OF THE PRESENT CONVENTION, OF WHICH THE CHINESE, ENGLISH, FRENCH, RUSSIAN AND SPANISH TEXTS ARE EQUALLY AUTHENTIC, SHALL BE DEPOSITED WITH THE SECRETARY-GENERAL OF THE UNITED NATIONS, WHO SHALL SEND CERTIFIED COPIES THEREOF TO ALL STATES BELONGING TO ANY OF THE FOUR CATEGORIES MENTIONED IN ARTICLE 48.
ではこの際、野田政権には本件に関し、国連総会にて問題提起をしてはいかがだろうか? 野田総理と気があってそうな、佐藤正久議員や片山さつき議員も恐らくは賛成して下さることだろう。
…何が問題か理解できないのなら、何度でも国際社会から叩かれて学習するしかないだろう。