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ソニー、1型裏面CMOS/NFCの高級コンパクト「RX100 II」
実売75,000円。高級機の市場予測は前年比184%
(2013/6/27 13:07)
ソニーは、コンパクトデジタルカメラ・サイバーショットの新機種として、1型の裏面照射型CMOSセンサーを搭載した「DSC-RX100M2」(RX100 II/マークツー)を7月5日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は75,000円前後。
27日には都内で製品発表会を開催。同じく7月5日発売モデルとして、35mmフルサイズCMOS搭載で、ローパスフィルタを省いて解像感を高めた「DSC-RX1R」も発表された。このモデルについては別記事で紹介している。
RX100 IIは、2012年6月に発売した「DSC-RX100」(直販64,980円)の上位モデル。CMOSセンサーは同サイズ/画素数の1型/有効2,020万画素だが、新たに裏面照射型「Exmor R」の採用により集光効率を改善。1型サイズの裏面照射型CMOSセンサーの搭載は世界初としている 。表面照射型CMOSを搭載したRX100に比べ、ISO感度を1段分(約40%)向上。単写での感度はISO 160~12800(RX100はISO 125~6400)とした。
なお、同社はこれまで裏面照射CMOSを、小型センサー搭載モデルなどを中心に展開する方針を示してきたが、RX100の大型センサーにも採用した経緯については、「これまでは、小さいサイズに効果があると見ていたが、イメージセンサー事業部と一緒に開発していたところ、1インチ(のCMOS)でも一絞り分の効果が表れたことから、製品開発がスタートした」(ソニー デジタルイメージング事業本部 第二事業部 事業部長 槙公雄氏)としている。
外形寸法は101.6×38.3×58.1mm(幅×奥行き×高さ)で、RX100(101.6×35.9×58.1mm)とほぼ同等。デザインもRX100を継承しているが、新たにマルチインターフェースシューを採用したほか、前面下部にあるカールツァイスのロゴがRX100ではシールだったが、RX100 IIでは彫りこみになるなど一部に違いがある。なお、RX100の販売は今後も継続される。
RX100 IIの新機能として、NFCと無線LANも搭載。ソニーのデジタルカメラでNFC搭載は初となる。対応スマートフォンにかざしてワイヤレス接続することで、スマホをリモートビューファインダとして使ったり、RX100 IIの画像をスマホに転送することなどが簡単に行なえる。NFC搭載スマホにかざすと、アプリの起動や接続確認、コピー開始(写真プレビュー時)を自動で実行。RX100でプレビュー時にNFC対応スマートフォンをかざした場合は、表示している1枚のみを転送するが、写真の選択転送や、「この日の静止画全て」といった転送も可能。なお、NFCを搭載しないスマホと無線LAN接続する場合は、これらの操作を手動で行なう。
液晶モニタは3型/122.9万画素で、新たにチルトにも対応。上84度/下45度まで可動する。HDMI出力を備えており、「トリルミナスカラー」も新たにサポート。対応テレビと接続した際に、広色域で表示できる。ハンディカムやαのアクセサリーを使える「マルチインターフェースシュー」も採用。別売EVFの「FDA-EV1MK」やステレオマイクの「ECM-XYST1M」などを用意する。
レンズはRX100と同じ光学3.6倍ズームのカールツァイス バリオ・ゾナー。35mm換算の焦点距離は28~100mm、F値は1.8~4.9。新たに、「ステップズーム」も搭載。この機能は、レンズに備えたコントロールリングに連動して、画角が28/35/50/70/100mm相当の5段階で切り替わるもので、「レンズ交換を楽しむように焦点距離を切り替えられる」としている。絞りは7枚羽根。全画素超解像ズーム機能により、画像の劣化を抑えながら7.2倍までのズームもできる。
画像処理エンジンのBIONZを搭載。重ねあわせなどの技術を使うことで最高ISO 25600相当の高感度撮影ができるという「マルチショットNR」や、約10コマ/秒の高速連写にも対応する。
動画撮影機能はRX100と共通だが、裏面照射CMOSの採用により、暗所でもノイズを抑えた撮影が行なえる。AVCHD形式で最高1080/60pに対応するほか、MP4記録も可能。画質モードは「28M PS」(1,920×1,080/60p)、「24M FX」(1,920×1,080/60i)、「17M FH」(1,920×1,080/60i)、MP4は「12M」(1,440×1,080/30fps)、「3M VGA」(640×480/30fps)から選択可能。
光学式手ブレ補正機能も搭載し、動画撮影時には電子式も併用して回転方向のブレも補正。より強力にブレを低減するアクティブモードを搭載している。内蔵マイクはステレオ。
直感的なマニュアル操作が可能な点も特徴。レンズ部のコントロールリングに割り当てられる機能はユーザーが選択でき、露出補正やISO感度、ホワイトバランス、クリエイティブスタイルやピクチャーエフェクトの変更、ズーム、シャッタースピード、絞りの変更などから設定できる。任意の機能を7つまで割り当て可能なファンクションボタンも備える。
フラッシュも内蔵。筐体はアルミニウム製。内蔵バッテリでの静止画撮影枚数は350枚。記録メディアはメモリースティック デュオとSD/SDHC/SDXCカードに対応する。バッテリとメモリーカードを含めた重量は約281g。
RX100 II/RX100兼用のアクセサリも7月5日より発売。ジャケットケース「LCJ-RXC」(8,820円)や、エラストマー製グリップ「AG-R1」(1,575円)、49mmフィルター用アダプタ「VFA-49R1」(3,150円)をラインナップする。
マルチインターフェースシュー用のアクセサリとして、RX100 IIや一眼レフのαなどで利用できる外付けフラッシュ「HVL-F43M」も同じく7月5日より発売する。価格は42,000円。ガイドナンバーは43(ISO 100・m時)。発光部は上150度/下-8度/右90度/左90度の範囲で可動。さらに、動画撮影に使えるLEDライト(最大照度400ルクス/0.5m、照射距離約1m)も搭載することが特徴。
国内高級コンパクト市場は前年比184%を予測。RX1ユーザーへの対応は「今後検討」
27日に行なわれた製品発表会では、高級コンパクトデジタルカメラ市場が拡大しているという動向や、その中でのソニーの成長に向けた方針などを中心に説明を行なった。
ソニーのデジタルイメージング事業本部 第二事業部 事業部長 槙公雄氏は、「レンズ交換式デジタルカメラの市場が拡大する一方、年々縮小しつつあるコンパクトデジタルカメラ市場において、昨年、新たな高級コンパクト市場を創造すべくRXシリーズ(DSC-RX1/RX100)を投入した」と説明。
同社は「高級コンパクト」を1/1.7型以上のイメージセンサーを搭載するレンズ一体型カメラと定義づけており、RXシリーズにより日本・米国・欧州においてサイバーショットの平均単価が約20~35%アップ(前年1~3月期比)したほか、RX100は全世界の高級コンパクトデジカメ市場で金額シェアでトップを獲得。RXシリーズを収益の牽引役と位置付け、高級コンパクト市場全体の拡大に意欲を示した。
国内市場についても、高級コンパクトは拡大傾向にあると見ており、同社調べでは2011年の販売台数が16万台だったのに対し、2012年は25万台に成長。さらに2013年は前年比184%の46万台まで伸びると見ている。ソニーの調査によれば、RXシリーズ発売後、2012年10月~2013年3月の高級コンパクト市場で金額シェア1位を獲得したという。
ソニーマーケティング デジタルイメージングMK部 担当部長の小笠原啓克氏は、「一眼カメラのサブカメラ需要」と、「スマホでは撮れない高画質に対するステップアップ需要」という2つのニーズで市場拡大を見込んでいることを説明。なお、既存モデルRX100の製品登録を行なったユーザーへのアンケートによれば、ユーザーの85%は一眼カメラ保有者が占めているという。
RX100/RX1の投入でソニーのコンパクトデジカメ平均単価は上昇。業界全体でも1月以降は上昇傾向にあるが、ソニーを除く業界平均とソニーの差は徐々に広がっており、5月現在は平均より約6,000円ほど高価となっており、小笠原氏は「今後も引き続き、RXをはじめとする付加価値の高い商品の提案を通じて、市場活性化に努める」とした。
なお、光学ローパスフィルタを省いたRX1Rについては、「RX1ユーザーに対して、ローパスフィルタを省いたり、下取りをするなど何らかの対応は予定しているのか」との質問も出た。これに対して槙氏は、「今お答えできる時点ではないが、今後、お客さまの声に真摯に耳を傾けながら検討していきたい」と述べた。