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外付けHDDの選びの極意

いまさら聞けないMacのバックアップ術

2015年04月04日 10時00分更新

文● 花茂未来 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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左から、ウェスタンデジタル「Western Digital My Book 8TB Thunderbolt Duo」、バッファロー「HD-WL4TU3/R1J」、HGST「G-Technology G-RAID Removable 8TB」、バッファロー「HD-LCU3-C」。

 「ゼロスピンドルPC」といえば、昔はノートPCを指したものだったが、いまではデスクトップ機も同様の方向に進んでいる。そのひとつがiMac。2012年モデルからは光学ドライブを廃しているため、カスタマイズによりストレージをSSD1台のみ搭載するといった構成が可能となっている。

 ゼロスピンドルPCにはメリットも多いが、残念ながらストレージ容量とはトレードオフの関係。データを保存するための外付けHDDは必須といえる。そこで今回は、ゼロスピンドルPCのために選ぶ、データ保存用の外付けHDDを考えていきたい。

ゼロスピンドルって何?

 ゼロスピンドルというのは、「軸」を意味するスピンドルが文字通りゼロということで、要するに光学ドライブやHDDなど円盤状の部品を回転させるようなパーツを搭載していないという意味。メリットとしては、重量が軽くなるとか薄型になるとかであるが、デスクトップPC・ノートPC双方に共通するのは故障リスクが減るということ。

どんな外付けストレージ構成がベスト?

 ゼロスピンドルPCでは、内蔵SSDはOSやアプリケーション類のインストール用で、データは外付けHDDに保存するという割り切った使い方が必要。また大切なデータであれば、外付けHDDに保存するデータのバックアップを取り、二重化しておきたい。そのための方法は下記になる。

  1. 外付けHDDを2台用意する
  2.  3TBのUSB外付けHDDの場合、おおよそ1万3000円程度で購入できるので、導入金額は2台でも2万6000円とリーズナブル。Mac OSの機能でRAID 1(下記参照)の構築も可能だ。しかし、外付けHDDには電源アダプターが必要なので、飽和しがちなPCデスク周りの電源タップをさらに消費し、さらにかさばるというデメリットがある。

     また、USB 3.0はiMac Retinaでも4つしかなく、そのうち2つを使うことになるうえ、足りない場合はハブ(2000円前後から)を用意する必要がある。

  3. RAID 1対応の外付けHDDを使う
  4.  RAID 1とはミラーリングとも呼ばれる機能のこと。一般的には2台のHDDを内蔵しており、片方のHDDと全く同じデータをもう片方に鏡映しのようにコピーするというものだ。電源アダプターも当然1つで済む。ただ、製品は4万円前後からとちょっと高め。HDD1台が壊れても差し替えれば元に戻るのと、万が一RAIDコントローラーが壊れても、HDDを抜き出して別の機器で読み取れる可能性がある。

     一般的な外付けHDDの保証年数は1年だが、こちらは3年という製品も多い。

  5. RAID 1対応の外付けHDDケースで自作する>
  6.  外付けケースを安ければ1万円前後で用意できる。しかし、耐久性に優れたウェスタンデジタル製のWD REDというHDDを使用した場合、3TBの価格は1万3000円前後。ケースとあわせて計4万円前後となる。バルク品など安価なHDDで構成すれば初期出費を抑えられるが、保証期間が1ヶ月と短い場合があり、仮に短期間で故障した場合は出費がかさむリスクが。

     また、どこが故障したのかある程度自分で調べてメーカー保証を受けるなどの手間がかかるため、知識も必要になる。

  7. RAID 5対応外付けHDDを使う
  8.  RAID 5とは3台以上のHDDにデータおよび、パリティと呼ばれる冗長コードを分散書き込みする機能のこと。仮にHDD3台の場合、利用できる容量は冗長コード容量の関係で2/3となる。ミラーリングでは片方のHDDにデータを丸ごとコピーするため実際の容量は1/2となるため、RAID 5の方が利用できる容量が多い。また書き込み速度も高速だ。しかし2TB×4台(実質6TB)のRAID 5外付けHDDは、市場価格で10万円前後からとPC1台買えるお値段。

     HDD1台が壊れてもデータ復旧可能だが、分散書き込みを管理するRAIDコントローラーが壊れたら復旧不可能というデメリットも。

  9. 外付けHDD+Time Capsuleを使う
  10.  Time Capsuleは無線ルーターにHDDを内蔵したようなアップル製品で、ここに外付けHDDのデータをバックアップするという手も。導入に際しては、直販価格で税別4万4800円なので、外付けHDDと合わせると6万円近くなる。

     しかしすでに無線ルーターを所持している場合は、その無線ルーター機能ぶんの金額は無意味で万一壊れたら当然修理行きのため、有線LANや別の無線機器で光回線の端末装置とMac本体をつなげない場合、インターネットが利用できない期間も発生することになる。

 以上のことから、まず④のRAID 5は速度と安全性を両立したい業務用途では魅力的だが、個人利用ではもてあますのと高額過ぎるので除外。③のRAID 1対応の外付けHDDケースで自作するのもリスクがともなう。

 もしPCやネット環境を最初から整える場合は、無線ルーターぶんの値段も考えれば、⑤の外付けHDD+Time Capsuleがスマートかもしれない。しかし今の時代、すでにネット環境がある程度整っている人が多いと思われるので、その場合は、電源アダプターの数を犠牲にしてコスパを取るなら①のUSB外付けHDD×2台、もしくは、それより若干高くなるがスッキリ配線・配置できて保証もしっかりした②のRAID 1対応の外付けHDDが有力候補だろう。

 では次は、①のUSB外付けHDD×2台と、②のRAID 1対応外付けHDDでの環境構築方法と、実際の速度などを見ていきたい。



(次ページ、「コスパ最強! USB HDD2台でRAID1を構築する」に続く)

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