PCゲームを遊ぶなら、キーボードより片手用ゲームコントローラーだ!
コンピューターゲームの歴史において、家庭用ゲーム機はむしろ後発。だからコンピューターゲームはもともと、パソコン用のごく普通のキーボードでプレイするのが当たり前だったし、それがスタンダードだった。
その後は家庭用ゲーム機が登場し、ゲームはゲームコントローラーで遊ぶのがスタンダードになったが、今でも最新テクノロジーを活用したゲームはパソコンから登場することもあり、「PCゲーム」のジャンルは立派に生き続けている。特にフライトシミュレーターやリアルタイムストラテジーゲーム(RTS)、マルチプレイヤーオンラインRPGなどの複雑な操作系を持つゲームジャンルは、いまだPCゲームの方がスタンダードだ。
そのPCゲームの操作インターフェースは、21世紀になっても相変わらずキーボードとマウスを基準としている。今も昔も、「右手でポインティングデバイス、左手で移動操作や機能のショートカット操作のためキーボード」といったスタイルが、PCゲームプレイの基本姿勢となっている。
しかし、ゲームで主に使うキーは、キーボード上の100個近いキーのうちわずかだ。押す必要のないキーが並ぶ大きなキーボードは、ミスタッチを起しやすいし、ゲームプレイの観点からすれば無駄だらけだ。
ポインティングデバイス側はともかく、左手のキーボード操作をなんとか最適化できないものか……。この“ニッチ”な問題については、いまだ「これだ!」という解は見つかっていないが、そのひとつになりそうなのが、今回取り上げる「片手用(左手用)ゲームコントローラー」だ。
Strategic Commanderを超える名機はあるのか
片手用ゲームコントローラーで“業界標準”と呼べるものは存在しないが、こうした製品ジャンルがあることを世に知らしめ、その後の製品にとっても一種のベンチマーク的存在として一目置かれているのが、2000年に発売されたマイクロソフトの「SideWinder Strategic Commander」だ。
6(+2)のショートカットキーと3つのシフトキーを組み合わせることで、72種類のショートカットキー登録ができる高いカスタマイズ性もさることながら、なにより筆者を含め多くの片手用ゲームコントローラーファンを魅了したのが、デバイス(の上部)自体が8方向にスライド可能になっている構造だ。ショートカットキーに指をあて、手の平を乗せたままの状態で方向入力もできるのだ。つまり、方向入力とショートカットキー操作の同時操作を無理なく行なえるのだ。
8方向入力が過剰スペックなアナログ入力だったり(デジタル入力で十分)、ショートカットキーの同時押しに対応していなかったり、といった改良すべき点もあったが、かなり完成度の高い製品であった。
現在は製造中止で、Windows Vistaでのサポートも得られていないが、ユーザーコミュニティーによりWindows Vista上でStrategic Commanderを動かす方法が発見されており、筆者を含めて、いまだ現役で活用するPCゲーマーもいる。
元々ニッチな片手用ゲームコントローラーではあるが、「あると便利」と感じたPCゲーマーは、常に「もっといいのがあれば使いたい」と考えている。今回は現在入手可能な片手用ゲームコントローラー4機種をテストしてみた。
パソコンにまつわるインターフェースデバイスで、片手用ゲームコントローラーほど、自由奔放なデザインが許されたものはない。だからこそ面白い。果たして名機Strategic Commanderを超える製品はあるのか、じっくりと評価してみた。
Wolfking Warrior (amazonで購入)
発売元:MSY
インターフェース:USB
対応OS:Windows Vista/XP/2000/Me/98
価格:5610円(ASCII.jp 価格比較の最安値)
米Wolfking社製の片手用ゲームコントローラー。円状のボディー中央付近に、First Person Shooterでよく利用するキーを配置。その周囲に使用頻度の高いキーを並べるという独特の製品。写真の「グリーン」のほかに、ホワイト、ブラック、ブルー、レッドのカラーバリエーションがある。
Belkin n52te (amazonで購入)
発売元:ベルキン
インターフェース:USB
対応OS:Windows Vista/XP(64bit版含む)、Mac OS X 10.2.8以降
価格:6580円(ASCII.jp 価格比較の最安値)
個性的な無線LAN機器やiPod用周辺機器で知られる米ベルキン社の片手用ゲームコントローラー。旧機種「Nostromo SpeedPad n52」のコンセプトを受け継ぎ、17キー、8方向スイッチ、マウスホイールなどを備える。キーへの割り当てはドライバーソフトで行なう。
Cyborg Command unit (amazonで購入)
発売元:MSY
インターフェース:USB
対応OS:Windows Vista/XP
価格:5776円(ASCII.jp 価格比較の最安値)
各種ゲームコントローラーやゲーミングマウスのベンダーである英Saitek社の片手用ゲームコントローラー。プログラマブルな20キーと、左親指で操作するアナログスティックを備える。キーへの割り当てはドライバーソフトで行なう。
SideWinder X6 Keyboard (amazonで購入)
発売元:マイクロソフト
インターフェース:USB
対応OS:Windows Vista/XP
価格:8800円
マイクロソフトのゲーマー向けキーボード。テンキー部分(キーパッド)が本体から外れて、左右どちらにでも付けられる異色の製品。テンキー上の18キーとフルキー左の6キーに、キー操作を割り当てられる。ゲーム中にキー操作をマクロ登録する機能も備える。
