いったい何万部売れたら、本は「力」をもてるのだろう?
2007年 08月 28日
「PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版」
を買いました。
(決して金髪お姉ちゃんのグラビア目的ではありません)
ともに国策捜査の「犠牲者」となった二人が、国策捜査の必要性の有無とその真の黒幕について語る内容はなかなか読みごたえがある記事でした。
ところで、その最後のほうに、仕事柄見過ごせないこんな記述が。
なるほど、テレビや映画といったメディアに比べると、本の影響力(とくに広い層への)は微々たるものかもしれません。
佐藤 先生、今現在『反転』(*田中氏の著書)は何万部くらい出てるんですか?
田中 今ちょうど20万部だね。
佐藤 僕ね、この本の一つの分水嶺は50万部と睨んでるんです。50万の線を超えたらテレビドラマか映画になる。普通の商業主義の論理でいえば、20万でそういう動きがあってもいいと思うんですが、東京地検を敵に回さなきゃいけないことと、具体的な任侠団体の人が出てくるということで、プロデューサーは悩むと思うんです。
田中 そこが難しそうだもんね(笑)。
佐藤 ただし、50万部を超えれば本気で知恵を出そうという気持ちが芽生えるはずです。そしてそれが巻き起こったときには新しいスパイラルに入ってくる。
田中 つまり、それは検察という組織に対して?
佐藤 おそらく今の段階で検察に勝つ方法は一つだけです。それは先生、あるいは僕からのメッセージが検察が発するそれよりもおもしろく、かつ金になること。今のところは検察からのメッセージのほうが金になります。何せコストがかからないんですから。今、我々の著作は二人合わせても40万部にすぎません。それじゃ何の力も持たない。ところがこれが人口の1パーセント、百分の一になったら影響が出てくると思うんです。
たとえ50万部といっても、国民の0・5パーセントにも読まれていないわけですし。
ただ、だからといって、ミリオンセラー以上の本がやっと「力」をもつのだと言う気もありません。
実際、『国家の品格』が200万部以上売れても、この国に品格の大切さがよーく伝わったというわけでもないでしょう。
思うんですけど、本自体がもつ力って、もともと「細い」気がするんです。
その力(メッセージと言ってもいいでしょう)は、テレビみたいに国民の何割かにいきなり届くようなものではなくて。
そのかわり、本の力はうまくはまれば、細く長く人の心に根づくものなんじゃないかなぁって。
1冊の本に心を揺さぶられた経験が何度かある僕は、そう思います。
その意味で、200万部出た大ベストセラーであろうと、2000部程度しか売れなかった専門書であろうと、「力」がないわけではないと思うんです。
あとは、その力に触れた人が、どう行動し、その力を増幅していくか。
本の力って、そうやって玉突き式に、大きくなっていくんじゃないかって。
ただし、その即効性のなさが、歯がゆい人もいるんでしょうね。