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2012年11月28日

佐藤順子さんについて

Satojunko


【調査会NEWS1263】(24.11.28)
 
 すでにお伝えしたように特定失踪者佐藤順子さん(平成12年9月12日、スイス・ツェルマットで失踪)について、拉致問題対策本部主催国際啓発行事にあわせて代表荒木が現地での調査を行ってきました。現状ではまだ調査は十分と言えませんが、とりあえず概要をお知らせし、今後も情報収集に努めて参ります。何かお気づきの点がありましたらお知らせいただければ幸いです。

 なお、この調査にあたっては観光関係の方々、報道機関の方々等大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。
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11/8(〜10拉致問題対策本部主催国際啓発行事)
EU代表部・韓国代表部・米国代表部訪問(片面佐藤さんの写真とフランス語の説明、片面調査会英文ポスターの縮小版のビラを渡し、説明)
シンポジウム(ジュネーブ大学 特定失踪者についての荒木の説明の最後で佐藤さんについて話す)

11/9
国連人権委強制的失踪作業部会で陳述(同ビラを委員に渡す)
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11/10(以降マスコミが同行)

●ローザンヌ平壌文化交流センター(代表 シャルル・カルプフュス) 訪問

 この団体については文末を参照のこと。「ローザンヌ平壌文化交流センター」という看板はどこにもなかった。カルプフュスはドアをあけて荒木を見たとたん、こちらからは朝鮮語で話しかけたにもかかわらず「ジャポネ」と言った。なぜ日本人と分かったのかは不明。報道関係者と3人で入るが、テレビカメラを向けられても嫌がる様子もない。話の内容からすれば大した役割は担っていないようにも感じられたが、全く面識のない東洋人2人とドイツ人がアポイントメントもなしに訪ねてきて、しかも1人はビデオカメラまで構えているのに笑顔で迎え入れたところがかえって不気味だった。カルプフュスはジュネーブの北朝鮮代表部のソンというスタッフの携帯と固定電話の番号をメモして「ここに聞いてくれ」と言った。

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11/11

●朝カルプフュスから聞いた番号に電話。前日は何度か電話したがつながらず、この日朝はじめてつながった。佐藤さんの話をするが、当然ながら「何も知らない」とのこと。ただしいきなり日本人が朝鮮語で電話をかけてきたので驚いたのか、敵対的な感じではなく虚を突かれたような印象だった。

●ツェルマットでの調査。まず佐藤さんが宿泊したユースホステルに行く。ここは知人の観光関係者から事前に連絡を入れてもらったが説明に応じる様子がなかったため直接訪問した。想像通り詳しい説明は聞けなかったものの、ユースホステルに関する概略はそこにいた職員が回答してくれた。就寝時間は10時とのことで、8時半にチェックインしたのであればほとんど寝るだけに近かったのではないか。また、たまたま宿泊していた日本人男性もユースホステルの状況について説明してくれた。彼によれば現在6〜8人部屋で1泊50フランくらい(日本円で4500円程度)とのこと。失踪当時勤務していた人はいなかったのでそれ以上のことは聞けなかった。

●ツェルマット市街地を歩く。ツェルマットはマッターホルンや氷河を控えた行き止まりの村である。11月はオフシーズンでホテルや店舗も休んでいるところが少なくない。佐藤さんの失踪した9月はまだハイキングシーズンなので観光客も多かったと思う。狭い市街地で、長野県の白馬村をもっと山間にしたようなところ。化石燃料を使う車は乗り入れが制限されており、車で来た観光客は鉄道の1駅前、ターシュ駅の駐車場に車を置いて電車でツェルマットに行くようになっている。この点、9月12日のユースホステルでの朝食以後、佐藤さんが目撃されていないことが謎である。

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11/12

●朝登山鉄道でマッターホルンを望む一番有名な展望台、ゴルナーグラートに行く。後述のルッゲン局長の話の通り、2泊3日程度で日本人がツェルマットに来る場合、ここが定番のようなところ。私たちがいる間にも日本人観光客がやってきて30分程の折り返し時間にそそくさと写真をとって帰って行った。他のところまでは行けなかったが、長期間の滞在でなければ行く場所は限られていると言えるだろう。

●ツェルマット観光局のダニエル・ルッゲン局長と失踪当時捜索にあたったジェルク・ブルーノ氏に話を聞く。以下はその概要

・これまでにないほどの捜索をした。ともかく彼女が行ったと思われるところはほとんど行っている。当時は捜索犬も出して調べた
・捜索を始めたのは18日だったので、失踪した12日から18日までの6日間のギャップがある。
・もしかしたらクレバスに落ちた可能性もある。
・山に登ったのではないか(これについて確認したところ「日本人がツェルマットに来たのだから登ったのだろうという可能性の話」とのこと)
・自殺しに行く人もいる。
・ツェルマットに住んでいた日本人がスノーボードをやりにいって失踪したことはある。
・ここまで不思議なケースは初めてである。
・インターラーケンから男に付けられていたとの情報は、二つあり、一つは家族から、もう一つは警察からの情報である(この情報については警察は「日記にあった」と言っており、家族は話していないと言っている。どこから出たものか謎が残る)。
・荷物は捨てていった可能性もある。
・事件に関連づける証拠はない。
・日本人が2泊3日でツェルマットに観光で来れば普通マッターホルンを見ようとするだろう。

 ブルーノ氏は捜索した地域を示す地図を見せてくれた。マッターホルン周辺も含めて相当広範囲に捜索したことが分かる。


<荒木所感>

 今回の調査では北朝鮮と直接結びつくものは見つからなかったが、拉致以外の可能性はより低くなったと感じられた。

 拉致でなかった場合、考えられるのは次の3点である。

(1) 本人の意志による失踪
(2) 事故
(3) 一般的な刑事事件

 このうち(1)は10日までの日記の記述からしてほとんど考えられない。佐藤順子さんは極めてまめな性格で、旅行の第1日目から毎日、A5のノートに毎日1ページずつ、ぎっしりとその日あったことを書いている。その内容から心境の変化は感じられない。自宅にもスイスからイタリアに向かい、月末に帰国すると伝えている。

 (2)の事故については観光局長らへのインタビューでも、可能性が極めて低いと思われた。事故で見つからないとなれば山に登ってクレパスに落ちることなどが考えられるが、ユースホステルで朝食中日本人の同宿者と話したのが目撃された最後であり、山に登っていくところの目撃証言はない。

 宿に残っていた荷物の中にはパーカーもあり、山に登るなら当然持って行くと思われる。ちなみにツェルマットの9月の平均最高気温は15度、平均最低気温は5度。山に登ればさらに気温は低下する。朝食のときの同宿者との会話でも、「今日はどこにいくの」と聞いたら、順子さんは「足が痛いからどうしようかな」と言っていたとの証言がある。10日はユングフラウヨッホでハイキングしているが、日記の最後に「しかしつかれた、足の親指に血マメができた」と書かれている。行動範囲が限られていれば登山電車やロープーウェイで展望台のあるところに登る程度であろう。観光シーズンで日本人も多いツェルマットにおいて全く目撃されず、事故現場の遺留品もみつからない可能性は極めて低いのではないか。

 (3)の一般的犯罪については、スイス及びツェルマットを良く知る人たちが一致してその治安の良さを認めている。確かに大都市であるジュネーブでも街を歩いていて緊張感を感じることは少なく、いわんや小さな村であるツェルマットではチンピラなどによる犯罪行為はほとんどないし、何か起きても必ず情報が伝わるとのこと。地元の警察が拉致などについて否定的なのも犯罪の少ないところだからだろう。

 スイス政府観光局関係者によれば「今年の春、日本人夫婦がホテルに帰らないとの連絡がホテルから大使館にあったことがある。結局電車に乗り遅れただけだったが、このように何かあれば必ず連絡が来る。ツェルマットは言い争いのようなものもない静かなところ。『いやだ』とか『やめて』というような声を上げれば誰かが聞いている。日本人も多く、おかしな雰囲気であれば誰かが聞いているはず」とのことである。

 以上のいずれでもないとすれば現時点で直接の結びつきはないものの、北朝鮮による拉致の可能性は相対的に高まると言える。

 ただし、ツェルマットは化石燃料を使う車両の乗り入れが制限されており、入る場合はチェックが行われる。当時それと思われる車両はなかった(地元警察広報官)とのことで、例えば現地でそのまま尾行され車両に乗せられたという可能性は低い。

 とすれば拉致を想定した場合、本人が自分の意志でどこかに行った後に失踪したということになる。その意味でユースホステルに残された荷物にあった日記の9月11日のページが日付だけで本文が書かれていないことが大きなポイントではないか。日記は書かれている内容からして何日かまとめて書いたわけではなく、必ずその日の夜に書いていたことは明らかだ。また、9月11日は日付だけだが次のページには日付も書かれておらず、以前のページに1日分で2ページ使ったところがないことから、毎日日付を書いてから本文を書いていたものと思われる。

 仮説だが、11日インターラーケンからツェルマットに至るまでの間に何かがあり、それが理由となって本人が日記が書けないような心理状態となり、翌日自らどこかに行って誰かと会い、そして連れ去られたと考えればつじつまは合う。ただし、11日の時点で犯罪に巻き込まれたのであればその日の晩から翌朝の間に何らかの意思表示や行動をしているはずであり、日記にも異常を示す記載があると思われる。そうではなくて、例えば騙されて自分が犯罪を犯してしまったかのように思わされたとすれば、気持ちの整理がつかず日記に書けなくなり相手にコントロールされることになったとも考えられる。

 ここで一つの参考になるのは平成18年9月にフジテレビ系列で放送された「報道A」という番組の内容である。ここではローザンヌ平壌文化交流センターについて取材したところ、電話をしている人間(フジテレビスタッフと通訳)の名前も国籍も聞かずに「大使館でパーティーがあるから来ないか」と前述のカルプフュスが答えている。

 そして文化交流センター(看板も出していないカルプフュスの自宅)の前からアジア系の男の運転する外交官ナンバーの車にカルプフュスが乗り込み、ベルンの北朝鮮大使館に向かう途中スイス人の男性(後に取材によって北朝鮮シンパであることが確認されている)とアジア系の女性が車に乗り込むところを撮影している。しかし、車が大使館に入った後確認するとインターフォンを通じてパーティーもなく、車も来ていないとの返事であった。そして、後日フジテレビのスタッフがローザンヌ平壌文化交流センターに電話するとまたもや「ジュネーブの大使館(代表部)でパーティーがある」と言われている。

 なお、順子さんの失踪後東京の自宅には失踪後、6日後の9月18日にはじまり20日、27日、28日、29日と無言電話がかかっている。時間は毎日朝8時半頃でその後はかかってきていない。特定失踪者で失踪後に自宅に無言電話ないし不審な電話がかかってきたことが報告されているケースは少なくない。

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2012年11月27日

昭和13年3月17日衆院本会議(西尾末廣)

 昭和13年3月17日 衆議院本会議 社会大衆党 西尾末廣議員(後に民社党初代委員長)

 この演説は国家総動員法について賛成の立場で行われたものです。国家総動員法というと中学高校の頃は軍国主義の象徴のような教えられ方をしてきましたが、この内容を読むとまた別の見方ができると思います。特に「大多数の有色人種が、白色人種の優越感によって支配されている現状に鑑みまして、また東洋の平和確立のために実力的に戦い得るのはわが日本の国をおいて他にはないという信念に基づきまして、この日本の歴史的使命達成のために、敢然立って邁進すべきとの意見が高まり来たっているのであります。われわれはこの歴史的使命をはっきりと認識しなければならぬ」という言葉には今の私たちにも欠けている覚悟を感じることができます。

 最後のところで「ヒットラーのごとく、ムッソリーニのごとく、あるいはスターリンのごとく」のくだりに保守党議員から「スターリンという名前を挙げた西尾はアカである」とクレームがつき、西尾さんが議会から除名されたことは有名です。除名を決める本会議は非公開で議事録も公開されていません。この西尾さんの「一身上の弁明」と西尾さんを擁護した尾崎行雄翁の演説は素晴らしいものだったと言われており、全文を探し出したいと思っています。

(以下原文を現代仮名遣いに直し、適時改行を入れました)

〇議長(小山松壽君) 西尾末廣君。

 〔西尾末廣君登壇〕

〇西尾末廣君

 私は社会大衆党を代表して本法案に五箇条の希望条項を付して賛成の意を表したいと思うのであります。本案を審議するにあたっては、局部的、また狭隘なる観点からするのではなくして、今後の世界はいかなる方向に向かっているか、さらに現実の国際情勢はどうなっているか、わが日本の歴史的使命は何であるか、そういう点から考えまして、この判断をしなければならぬと思うのであります。

 今や世界は資本主義的政治経済制度の弊害のために悩まされているのであります。この害悪はその国々の内政問題であると同時に、また国際問題となって現れてきているのであります。かつて近衛首相は、今日の相克摩擦は国内的にも国際的にも、持てるものと持たざる者との対立相克が根本的原因であると喝破せられたことはけだしまことに至言であると我々は信ずるのであります。

 今や世界は個人主義より相互主義へ、自由主義より統制主義へと進展しつつあるのでありますが、各個人の自由をある程度に制限することによって、全体の発展を図り、その部分としての個人的自由を合理化し、かつ増大せんとする方向に向かいつつあることは、われわれのはっきり認識するところであります。

 次にわが日本は徳川三百年の長きにわたる鎖国主義のために、世界各国の発達に取り残されておったのでありましたが、数年前よりわが国にはわれわれが現実に見るがごとき、大多数の有色人種が、白色人種の優越感によって支配されている現状に鑑みまして、また東洋の平和確立のために実力的に戦い得るのはわが日本の国をおいて他にはないという信念に基づきまして、この日本の歴史的使命達成のために、敢然立って邁進すべきとの意見が高まり来たっているのであります。われわれはこの歴史的使命をはっきりと認識しなければならぬ。

 以上の認識の上に立って今日の国際情勢を見るときに、国家総動員法は絶対的に必要だると確信するものであります。(拍手)すなわち言うまでもなく、わが日本は現実に支那国民政府と戦っておるのである。そうして長期戦に入っているのである。もし長期戦中日本の国防力に少しでも間隙を生ずるならば、いつ第三国の干渉または戦争参加があるかも知れないのであります。(拍手)

 新聞の報ずるところによりますならば、欧州の天地には独墺合邦をめぐって第二の欧州戦争の危機が、まさに一触即発の状態に迫っているのであります。またこの新事実は東洋に重大なる影響をきたすであろうこともわれわれは考える。今にしてその対応策に万遺憾なきを期さなければならぬのであります。(拍手)

 また外伝の報ずるところによりますならば、常に平和の使徒のごとく自ら称してきたところの合衆国においてさえ、2月25日の下院陸軍委員会において、戦時においては大統領は産業尽力の一般的徴発を命じうること、及び公正なる利潤以外の全ての収益を国家に収容すべき税制確立等を含むところの、戦時産業動員法を可決しているのであります。

 またこれと並行して、かねて陸軍省において立案中の、一朝有事のときには4か月以内に230万人の軍隊を戦線に送ると共に、これが銃後生産力に万遺憾なきを期するところの戦時総動員計画が完成したと報道されているのであります。かかる国際情勢はさきに述べたわが国の歴史的使命を果たすために今や躍進を遂げつつある日本にとりましては、国防力の充実が絶対的に必要であることは多言を要しないのであります。(拍手)

 しこうして近代戦争は国力戦争であり、兵員の動員並びに軍需工業の動員のみでは極めて不十分であって、国の人力、経済力、精神力をすべて一つの中心に組織化し、一元的作戦計画の下に一糸乱れず、総合的に活動しうるようにしなければならぬのである。(拍手)国家組織、経済組織が極度に高度化している日本においては、一部局の破綻が、直ちにもって全局の破綻を惹起する恐れがあるのであります。

 国力の周到なる組織化、すなわち国家総動員計画が絶対的必要であるとわれわれは信ずるのであります。(拍手)本案審議中に現れた一つの反対意見、すなわち総動員計画を立法化すること、すなわち本案提出は国民の忠誠心を信頼せざるものであり、かつかえってこれを阻害するものであるとの意見が出たのでありますけれども、かかる意見は一切の労働立法に対して、これはわがくに独特の家族主義、主従の美風、温情主義の醇風美俗を破壊するものなりとして反対してきた態度と全く同断であって、その非科学的、非論理的であるという点においては、遺憾なくその招待を暴露しているのであります。(拍手)

 そうしてこれは単なる感情論であります。もしそれかかる美しい衣の下に、この観念論の下に、公益よりも私益を先にし、国家よりも個人を重しとするがごとき資本主義的イデオロギーが含まれているとするならば、この際かかる思想は断固として排撃しなければならぬのであります。

〔発言する者あり〕

〇議長(小山松壽君)静粛に願います。

〇西尾末廣君(続) 労働者は労働をもって国に報じ、財力ある者は財力をもって国に報ずるとの愛国心の具体的表現と、これを組織化し、総動員法によらざれば、今後の戦争に勝利を博することはできないのであります。単なる抽象的なる愛国心のみによっては、戦捷を確保することができないのであります。

 本案はまた憲法第31条に規定せる非常大権を干犯せる者成りとの議論があった。また広汎なる委任勅令は憲法違反なりとの説をなす者があった。これに対する政府の弁明と対比して、われらは本案提出の最初より確信しておりましたところの、すなわち

 〔発言する者あり〕

〇議長(小山松壽君)静粛に願います。

〇西尾末廣(続) 大権干犯にあらず、憲法違反にあらずとの確信を、われわれは少しも動揺せしむることがなかったのであります。(拍手)

 しかしながらかかる広汎なる委任勅令を伴う立法は、たとえ大権干犯にあらず、憲法違反にあらずと致しましても、また将来の戦争の形態及びその規模等を予測し難きが故に、やむを得ざるに出でたるものにせよ、一歩誤れば憲法の精神にもとり、かつ行政独善に陥り、ために国民の心からなる積極的協力を阻害することとなり、ひいては本法の所期する目的と遠く相隔たる結果となるを保し難きを思い、本法の実施運用にあたっては、政府は極めて謙虚にして慎重なる態度をもって望むべきでありまして、いやしくも権力をもてあそび、かつ権力に驕ってはならないと信ずるのであります。(拍手)

 それゆえにわれわれはここに五つの警告的希望条項を付しまして、もって躍進途上にある日本の全責任を背負って立つところの政府をして、誤りなからしめんとする者であります。

 すなわちわれわれの希望条項の第一は、本法は最も広汎なる画期的国家統制の規定にして、老朽固定せる現行行政機構をもってしては所期の目的を達成し難きに鑑み、政府は内閣制度、中央並びに地方行政機構、官吏制度等全般にわたる刷新改革をだんこうすべし、かように言っているのであります。

 行政機構の革新及び管理制度の刷新改革は、現下の国際関係に鑑みるならば、悠長に調査研究中であるということでは済まされないのであります。もし調査研究に藉口して、荏苒(じんぜん)日を過ごすようなことがありますならば、政府自ら本法急施の必要を強調したことを裏切り、議会を、国民を欺きたりとの非難を甘受しなければならぬのであります。(拍手)

 また近衛首相は行政機構の改革と、官吏制度の改革については、現在政治家中もっとも熱心なりとわれわれは信じているのでありますが、さらにまたこの二つの改革は、極めて至難なことに賊するが故に、全国民の信頼を一審に集めているところの近衛首相こそ、この難事をなしえないとするならば、果たして何人がなしえるでありましょうか。

 ついに行政機構の改革と、管理制度の改革はなしえざるものとの絶望感を、国民に抱かしめるようなことがありますならば、躍進途上にある日本国家のために、実に由々しき大問題であるとわれわれは思うのであります。我々は近衛内閣存続中に、ぜひともこれが改革されますように、近衛総理の大英断を切望してやまないものであります。

 希望条項の第二は、本法は国民の挙国的協力を基礎とするにあらざれば所期の目的を達成し難きに鑑み、挙国的体制を完成するため常置委員会の設置、選挙制度の改正を含む衆議院の改革並びに華族議員の減少、職能代表の参加をふくむ貴族院の改革を断行すべし、こういうのであります。

 第三は、本法の運用に関しては政府独善に陥ることを避け、国家総動員審議会に準じて本法の統制条項に委員会を設置すべきはもちろん、従来の各種委員会に見るがごとく、形式に堕することなく、国民各階層の総意を積極的に反映せしめるよう最善の努力を払うべし、四は本法の運用による直接の経済的損失については補償の規定あるも、間接の損失については何らの規定なきをもって、政府は本法の運用につき、国民生活を阻害せざるような万全の注意を払うと共に、戦時社会政策の徹底を期すべし、五は本法中銃後生産力の拡充と労働動員に関する規定の重要性に鑑み、政府は労働者の積極的協力を実現しうるよう速やかに労働国策を確立すべし(拍手)これがわれわれの政府に対する希望条項であります。

 終わりに臨みまして、特に諸君と共にこの際われわれは思いを新たにしなければならぬ一事があるのであります。それは去る3月14日は五箇条のご誓文をご発布されました70年目にあたるのであります。私はこの機会に、このご誓文及びその五箇条の御誓文に関する勅語を拝読致しまして、まことに思い深いものがあるのであります。

〔発言する者多く議場騒然〕

〇議長(小山松壽君)静粛に願います。

〇西尾末廣君(続)「わが国未曾有の変革を為さんとし」と、五箇条の御誓文の勅語の冒頭に仰せられているのであります。誠にしかり、今日においてもわが国は未曾有の変革を為さんとしているときであります。そうして御誓文の中には「旧来の陋習を破り天地の公道に基づくべし」こういうご主旨も謳われているのでありまして、この精神を近衛首相はしっかりと把握致されまして、もっと大胆率直に日本の進むべき道はこれであると<※削除部分 ヒットラーのごとく、ムッソリーニのごとく、あるいはスターリンのごとく>大胆に日本の進むべき道を進むべきであろうと思うのであります。(発言する者多く議場騒然)

 すなわち今日におきましては(「何を言うか」「取り消せ」と呼びその他発言する者多く議場騒然)今日わが国の求めているものは、確信に満ちた政治の指導者であります。国民の信頼を前進に集めておりまするところの近衛首相にしてのみ、はじめてこれを断行することができるのであります。私はこの点を特に総理大臣に申し上げまして、本案に対する賛成の意を表する次第であります。(拍手)

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東京都庁で写真パネル展

【調査会NEWS1262】(24.11.27)

■東京都庁で写真パネル展

 今年も「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」(12月10〜16日)がやってきます。東京都・都議会拉致議連・家族会・救う会・調査会では共同で都庁展望台において写真パネル展を開催します。毎年の行事になってしまいましたが今年はちょうど選挙の真っ最中。ご覧になれば投票にあたってまた考えられることも少なくないと思います。お近くの方はぜひおいで下さい。

     記

1 写真パネル展

(1)日時 平成24年12月10日(月)〜16日(日)9時30分〜17時30分

(10日は23時まで)

(2)場所 東京都庁第一本庁舎45階南展望室(入室は17時まで)

(3)内容 

①拉致被害者の思い出や救出運動等の写真パネルの展示

②東京都関連特定失踪者の写真パネルの展示

③啓発用ビデオの上映

※ 東京都庁第一本庁舎1階中央アートワーク付近にも、写真パネルを展示します。

2 開始式
(1)日時 平成24年12月10日(月)10時〜10時20分
(2)場所 東京都庁第一本庁舎45階南展望室
(3)挨拶 東京都 秋山俊行副知事
      都議会拉致議連 古賀俊昭会長
      家族会 飯塚繁雄代表
      救う会 西岡力会長
      調査会 代表荒木
3 取 材
  開始式当日取材される場合は、9時50分までに会場受付までお越しください。

■戦略情報研究所Sセミナー、ネットで中継

 前号でお知らせした調査会1万キロ現地調査の本年実施分総括報告は(株)NetLiveのご厚意でインターネット中継を行うこととなりました。遠方でご参加になれない方はぜひご覧下さい。なお、終了後1、2日後以後はオンデマンドでご覧になれます。

http://www.netlive.ne.jp/archive/SII/index.html

現地調査報告(戦略情報研究所Sセミナー)
日時:12月21日(金) 18:30〜20:30
会場 UAゼンセン会館2階会議室
(東京都千代田区九段南4-8-16 Tel03-3288-3549)
 ※JR・地下鉄市ケ谷駅下車3分 日本棋院斜向い
http://www.uazensen.jp/about/index.html
(UIゼンセン同盟は組織統合により「UAゼンセン」と名称を変更しました。会場は以前と同じです)
講師:代表荒木他調査会役員が行います。
参加費 1000円(戦略情報研究所会員は無料)
※事前の参加申し込みは不要です。

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2012年11月25日

現地調査報告(戦略情報研究所Sセミナー)

【調査会NEWS1261】(24.11.24)

 今年行われた特定失踪者問題調査会の現地調査の総括報告を戦略情報研究所「Sセミナー」第4回として開催します。

 この調査を通じてあらためて拉致問題の根深さ、日本の抱える問題点が明らかになっています。奮ってご参加下さい。

日時:12月21日(金) 18:30〜20:30

会場 UAゼンセン会館2階会議室
(東京都千代田区九段南4-8-16 Tel03-3288-3549)
 ※JR・地下鉄市ケ谷駅下車3分 日本棋院斜向い

http://www.uazensen.jp/about/index.html
(UIゼンセン同盟は組織統合により「UAゼンセン」と名称を変更しました。会場は以前と同じです)

講師:代表荒木他調査会役員が行います。

参加費 1000円(戦略情報研究所会員は無料)
※事前の参加申し込みは不要です。

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2012年11月19日

「引き裂かれて」


「引き裂かれて ~拉致被害者と特定失踪者... 投稿者 Nrev2

 鹿児島読売テレビの制作です。自分が出てくるからということではなく、ディレクターの思いのこもった番組です。

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アジアの民主化を促進する東京集会

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 12月6日、文京シビックセンターで「第2回アジアの民主化を促進する東京集会」が行われます。選挙真っ最中ですが、ご関心のある方はぜひご参加下さい。
 それにしても12月10日からは北朝鮮人権週間ですが、選挙ですっとんでしまいそうです。こういうことを争点にしてもらいたいですし、少なくともそれを見据えた総選挙であって欲しいと願います。

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2012年11月15日

争点

【調査会NEWS1260】(24.11.15)

 11月16日解散、12月16日投票ということで総選挙の日程が決まったようです。明日からは日朝局長級協議も行われますが、間もなく報道は選挙のことが中心になるのでしょう。

 その選挙の最中にも拉致被害者は冬を迎えます。北朝鮮の政治犯収容所の中にいる20万の人々は処刑され、あるいは事故や病気で死んでいきます。金正恩が「遊園地総局」などというふざけた機関を作っている間に、本来その遊園地で遊ぶべき子供たちが死んでいくという事実を隣国である日本も、本来当事者である韓国も全く無視して選挙を行っています。何とも言えない複雑な気持ちです。

 もちろん民主主義ですから選挙は当然であり、最低限投票を通しての参加はしなければなりませんが、拉致被害者が取り返せないという状況にもかかわらず、それが争点になることはほとんど考えられません。拉致問題を取り上げる政党があっても多くは単に「拉致被害者救出に全力を尽くします」というだけでしょう。そして新しい政権ができてもまた「一所懸命やっています」ということの繰り返しでは年末まで時間のロスをするだけです。

 本当にやる気があるなら、例えばこれまでの拉致問題対策本部が救出という意味での成果を出していないのですから一旦解体し、警察と外務省が中心になっている拉致被害者救出の体制を防衛省・自衛隊を中心としたものに造りかえるという政策は出せないでしょうか(もっともそんなことになったら一番抵抗するのは当の防衛省・自衛隊でしょうが)。

 あるいは制裁に問題があるというなら正々堂々と「対北制裁はやめる。北朝鮮と国交正常化することによって拉致被害者の帰国を実現する」という政党があっても良いかも知れません。さらに極論をするなら「どうせ助けられないのだから拉致被害者は見捨てる。日朝国交正常化を実現する」と正直に主張する政党があっても良いと思います。それだけ政策が分かれていれば国民も選択しやすいはずです。しかし実際は皆「一所懸命やります」の合唱で、これでは選択のしようがありません。

 私達にとっては政治が空白状態になっても何とか拉致問題を進めるという努力をするだけです。自分自身が選挙に長い間かかわって来た人間であり、このような時期に候補者や支援者の心理状態がどうなるかはある程度想像つきます。その意味では人ごとのようですが、人の命が関わっているときに、それをさしおいて選挙をやっているという事実だけは忘れないでいただきたいと思う次第です。

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2012年11月13日

国家の力

【調査会NEWS1259】(24.11.13)

 ジュネーブでの政府啓発行事の後佐藤順子さんに関する関連地点での調査を終え現在は成田に向かう機中でこの原稿を書いています(発信は帰国後になりますが)。天内さん、村尾専務理事は家族会・救う会の皆さんとすでに11日夜無事帰国しています。この間木村審議官をはじめとする対策本部の皆さん、小田部大使、岡田代理大使をはじめとするジュネーブ代表部の皆さん、今回のイベントを担当されたたオーエムシーの皆さんには大変お世話になりました。佐藤さんの調査にご協力いただいた東京及び現地の皆様とあわせ心より御礼申し上げます。

 また、今回は白眞勲内閣府副大臣もかけつけて下さいましたが、副大臣によれば解散含みの激しい与野党対立の中にもかかわらず、野党側もこの問題については国会日程などで協力してくれたため参加することができたとのことでした。私たちの見えないところまで含め様々な方々が協力して下さったと思います。重ねて感謝を申し上げる次第です。

 佐藤順子さんに関する調査についてはあらためて報告をまとめますが、分かってきた部分とますます分からなくなった部分があり、今までの情報の整理も含めて見直しが必要だと思っています。少なくとも事故ないし単純な事件ではないというのが自分の感触です。

 政府の啓発行事については報道もされていますし、救う会のニュースでも概要が流れていますので、以下私の思いついたことのみ申し上げます。

 今回特定失踪者の家族として天内みどりさんが参加されたことは非常に大きな意味があったと思います。7月の藤田隆司さんの作業部会での陳述がもちろん第一歩でしたが、今回政府高官が飯塚さん、松木さんと天内さんを同様の扱いで対応し、国際社会に訴えたことは画期的だったと思います。その意味では国際的な訴えについては特定失踪者の問題はワンステップ上がったということでしょう。

 ただ、問題は、より重要な国内での扱いです。こちらは警察庁という大きな壁があるだけに、そう簡単にはいかないと思いますが、今回のこともバネにして進めていかなければと思います。ちなみに私の帰国後最初の講演は明日、山本美保さんの地元山梨県での講演ですが、これも何かの因縁かも知れません。

 もう一つ、ジュネーブで国連や各国代表部が日本の訴えに応えたことには問題の深刻性もさることながら、やはり日本の国際的な地位が影響していることを感じました。正直なところ、小国が同様な問題を訴えてもどれだけ聞いてくれるのだろうかとも思った次第です。日本人は何かあると「日本はもうおしまいだ」とか、悲観的なことばかり言うことが少なくありませんが、それほど捨てたものではありません。

 ただし、それは単に経済力というだけではなく、国際貢献、伝統文化、アニメや漫画、音楽などのソフトパワーから個々の日本人の行動まで含めた総合力ということでしょう。また、現在の日本だけではなく、ロシアの周辺国にとっては1世紀前に脅威であったロシアに勝った国ということもあるでしょうし、白人の支配していた国際秩序に初めて挑戦した国ということもあると思います。日米関係も色々な側面はありますが正面から戦った国同士だからこその同盟であるのは否定できないでしょう。

 その意味では先人の築いてくれた貴重な財産の上に私たちは存在しているということです。ならば、全く関係ない地域で現地の人のために日本の民間人が努力したことが、やがてはね返って拉致問題の解決に何かプラスになることがあるかも知れません。日本人として恥ずかしくないように国際社会に接していくことが、回り回って自分にもはね返ってくるのでしょうし、それが全体としての「国力」と言えるのではないか。窓から見える主翼の日の丸を見ながらそんなことを考えた次第です。

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2012年11月10日

チャンネル桜(拉致問題と広報)

 先日チャンネル桜でお話ししました。予備役ブルーリボンの会のプロモーションビデオも入っています。

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家族の声

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【調査会NEWS1258】(24.11.10)

 昨日国連の人権理事会強制的失踪作業部会に出席しました。すでに日本でも報道されているようですが、飯塚さん、松木さん、そして天内さんの声を委員の皆さんも熱心に聞いて下さり、やはり家族の訴えは心に響くものがあるのだと感じました。

 飯塚さんは陳述の中で去る7月に強制的失踪作業部会で陳述した藤田隆司さんのことにも触れました。天内さんももちろん藤田さんのことには触れ、私も藤田進さんと木村かほるさんが日本国内で同じ扱いであるとはお話ししましたが、作業部会に申立をしていない天内さんの陳述がどう受け取られるかという点は全く杞憂でした。それ以上に何十年も苦しみを続けてきた家族の言葉に重みがあったということです。

 同席して説明された代表部の岡田次席大使は10年前支援室(現在の対策本部の前身)に外務省から派遣されて活躍された方で、つい先頃転勤でジュネーブにやってきたばかり、ここでお会いするとは思いませんでしたが、かつての思いもあるだけに非常に熱心に説明をして下さいました。特定失踪者も含めた家族の訴えと政府を代表する大使の説明が同時になされたことは委員にも強い印象を与えたようでした。

 前にも書きましたが、北朝鮮の拉致問題はヨーロッパでは全くと言って良い程知られていない事件です。それだけに家族の声には逆にショックを感じた人もいたようで、シンポジウムでもEU、米国の代表部への訪問のときも目頭を熱くしている人がみられました。

 私たちにとってみれば家族の訴えは情に訴えるために非常に効果がある反面、この問題の本質からずれて、単に「可哀想な人たち」というイメージだけが残るのではないかという懸念もあるのですが、やはり、どんな理屈よりも「情」の方が万国共通で伝わるのだなと考えた次第です。この点前に述べた広報の問題とあわせてもう一度考え直さなければ、と思っています。

 作業部会の陳述の後、一行はジュネーブ大学に戻り、天内さんが何十年もかけて作ってきたたくさんの草木染めのハンカチ(かほるさんが帰国するときは映画「幸せの黄色いハンカチ」のように成田空港のロビーに広げて迎えるのだそうです)を会場にかけて「しおかぜ」の収録をしました。このもようは後日戦略情報研究所の映像配信「隼CHANNEL」で放送の予定です。

※写真はメールニュースでは流していませんが、会場にて。草木染めと天内さん、村尾専務理事

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2012年11月 9日

ジュネーブ(2)

【調査会NEWS1257】(24.11.9)

 22時過ぎ、日本時間で言うと午前6時過ぎに拉致問題対策本部主催のシンポジウムを終えて宿舎に戻ってきました。この原稿を書いているのは現地時間午前1時ですが、対策本部のスタッフは部屋で報告等を書いていることと思います。こういうときには日本の官僚は大したものだといつも思います。上の目標がしっかりしていれば、世界征服(?)もできるのではないかと。

 それはともかく、私がジュネーブに来たのは2回目で、1回目は11年前、増元照明・現家族会事務局長とでした。ジュネーブで当時の拉致被害者家族協議会代表崔祐英さんと合流し、国連や国際赤十字に行ってきました。

 あのとき私は救う会の事務局長でしたが、日本代表部も多少協力はしてくれたものの、ほとんど自分でやらざるを得ませんでした。もちろん運動としてはそれが当然でしょうが、今回対策本部の主催行事で、しかも特定失踪者家族である天内みどりさんも飯塚繁雄さんや松木信宏さんと一緒に参加している様子を見て隔世の感を禁じ得ませんでした。EU代表部や米国代表部でもちゃんと対応してくれたのはやはり日本の国力だなと思った次第です。

 もちろん新たな課題も生まれています。今回のことで拉致問題が当地では全く知られてないということが浮き彫りになりました。プレゼンテーションの良し悪し以前にこの問題自体が何も知られておらず、聞いた人は皆さん大変驚いていました。シンポジウムはそれほど大きな教室ではありませんが、立ち見も出る盛況で、開催したジュネーブ大学の学生に加えて各国代表部や在ジュネーブの日本人など様々な人が参加して下さいました。これを機会にこちらでも理解が深まってくれることを期待しています。

 天内さんは10年来の支援者である秋田の姉弟から送ってもらった折り紙などを代表部やシンポジウム参加者に配りました。社交辞令もあるのでしょうが、やはり日本の伝統的なものは西洋人には喜ばれるようです。また、対策本部の配布している「めぐみ」のアニメや漫画も日本のソフトパワーというべきか、好評でした。

 シンポジウムで私は特定失踪者の概況をお話しし。藤田進さんの話、木村かほるさんの話とともに12年前スイスで失踪した佐藤順子さんの話をしました。藤田さんについては私や救う会の西岡会長と同じ年であり、大学生の時に拉致され、同じ年の私の髪の毛が真っ白になっている、それほど時間が経っているということですとお話ししました。1人でも理解してくれた人がいれば何よりです。

 日本時間の9日20時(現地時間12時)には7月に藤田進さんの弟、隆司さんが陳述した国連強制的失踪作業部会に行ってきます。

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2012年11月 8日

ジュネーブにて

【調査会NEWS1256】(24.11.8)

 昨日ジュネーブに到着し、本日これから政府主催の啓発行事や国連、関連国代表部への要請等を行います。現在現地時間は午前7時前です。

 もちろん、外国が拉致被害者を救出してくれるわけではないので、ここでできることは協力のお願いという限界はありますが、ジュネーブには北朝鮮の代表部もあり、今まで出来なかった形の圧力をかけたり、第三国からの情報を得るきっかけにしたいという思いがあります。

 また、今回家族会からの飯塚代表・松木信宏さんとともに特定失踪者のご家族として天内みどりさんが参加されたことの意味は大きいと思います。7月に藤田隆司さんがジュネーブを訪れたときも、形式はこの11月のイベントの事前調査でしたが、人権委作業部会に申立をした特定失踪者家族の作業部会訪問が拉致問題対策本部の予算で行われており、遅きに失したとは言え、多少なりとも前進していることは事実です。この点関係者の方々のご協力に感謝申しあげます。

 今回その意味で私の責任は藤田進さん、木村かほるさんからさらに広げて拉致被害者が政府認定者より遥かに多いということをどれだけ外国の人たちにアピールできるかにあります。もちろん、「政争は水際まで」ということで、外国に行って自分の国の悪口を言うことはできませんので、「日本政府は一所懸命やっているが、犯罪としての『証拠』となると時間が経過していて、警察がどれだけ捜査しても立件は難しく、外交上もなかなか断定できない」と、まあ多少ほめ殺しみたいな言い方にするつもりです。

 ところで、7日朝到着して時間があったのでローザンヌまで足を伸ばしてみました。ここは国際オリンピック委員会のある町で、「オリンピックの首都」と駅に書かれています。レマン湖に臨む港にはヨットが並んでおり、遠くにはアルプスの山々も見える、絵に描いたような風景でした。金正恩もかつてスイスにいたことがあり、こんな風景も見たのかも知れません。

 ときどき、自由主義のスイスで学んだから金正恩は金日成・金正日とは違った統治スタイルになるのではないかとの希望的観測が流れますが、この風景と聞こえてくる北朝鮮の平壌以外の状況のギャップを考えたとき、それはとても無理だろうと思わざるを得ません。李朝末期も同様、権力者は贅沢三昧をして国民は飢え苦しむという構造は変わらないのだろうと、港にたたずみながら思いました。

■記者会見の映像

 既にお知らせした11月6日の記者会見は(株)NetLiveのご厚意でインターネットによる生中継を行いましたが、現在はオンデマンドでご覧になることが可能です。ぜひご覧下さい

http://www.netlive.ne.jp/archive/SII/index.html

参加者
 昭和35年に失踪した木村かほるさんのお姉さん・天内みどりさん
 昭和51年に失踪した藤田進さんの弟さん・藤田隆司さん
 平成12年に失踪した佐藤順子さんのご家族 
 調査会代表荒木・専務理事村尾

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2012年11月 2日

DNAデータ偽造事件で日弁連調査/英文ポスター/記者会見中継

【調査会NEWS1255】(24.11.2)

■DNAデータ偽造事件で日弁連正式調査を決定

 山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件について」去る3月5日に日弁連への人権救済申立が行われ、その後予備審査が続けられてきましたが、このたび日弁連として正式に調査を行うことが決定。その旨代理人である川人博弁護士(北朝鮮による拉致と人権侵害に取り組む法律家の会幹事)宛通知が届きました。

 この事件で日弁連が正式に動くということは非常に重い意味があります。ちょうど4日には身元不明遺体が漂着した遊佐町の隣り、酒田市で講演会があり、調査会代表荒木は午前中現場の調査を行う予定です。現在各方面からの事件の洗い直しが進んでおり、今後の進展が期待されます。

日弁連から届いた文書は以下の通りです。
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         日弁連人1第844号
         2012年10月31日

申立人ら代理人 川人博様

         日本弁護士連合会人権擁護委員会 委員長 小林七郎

    人権救済申立ての件について(通知)

 山本文子氏外3名から申立てのありました人権救済申立事件(2012年3月5日受付、2011年度第41号事件)について、ご連絡いたします。

 山本文子氏外3名の申立てについて当委員会にて調査を行うことを決定しましたのでご通知いたします。

 今後、当委員会から、調査にご協力をお願いすることになりますので、よろしくお願いいたします。

■英文ポスター作成

 前にお知らせした英文ポスターができました。来週のジュネーブの行事にも持って行きますが一般にも販売します(1枚200円・送料調査会負担)。大きさは普通のポスターと同じです。デザインも最新版のものとほぼ同じです。ご活用下さい。


■記者会見の中継

 既にお知らせした11月6日の記者会見は(株)NetLiveのご厚意でインターネットによる生中継を行うこととなりました。お時間のある方はぜひご覧下さい

http://www.netlive.ne.jp

1、日時 11月6日(火曜)14:00〜
2、場所 文京区小石川運動場会議室(文京区後楽1-8-23 03-3811-4507)
3、参加者
 昭和35年に失踪した木村かほるさんのお姉さん・天内みどりさん
 昭和51年に失踪した藤田進さんの弟さん・藤田隆司さん
 平成12年に失踪した佐藤順子さんのご家族 
 調査会代表荒木・専務理事村尾

※中継終了翌日ないし翌々日にはオンデマンドでご覧になれます。

http://www.netlive.ne.jp/archive/SII/index.html


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記者会見のお知らせ

【調査会NEWS1254】(24.11.2)

 既にお知らせした通り政府の拉致問題対策本部では11月8日から10日までスイス・ジュネーブで拉致問題啓発のシンポジウム及び展示を行います。これには家族会・救う会・韓国の拉致被害者家族とともに特定失踪者木村かほるさんのお姉さんである天内みどりさん、調査会代表荒木と専務理事村尾が参加します。

 関係者が日本を出発するのは11月7日ですが、これに先立ち11月6日に記者会見を行います。報道関係各位にはご多忙中恐縮ですがご参加賜りますようお願い申しあげます。

1、日時 11月6日(火曜)14:00〜

2、場所 文京区小石川運動場会議室(文京区後楽1-8-23 03-3811-4507)

 http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_sports_shisetsu_koishikawa.html

3、参加者
 昭和35年に失踪した木村かほるさんのお姉さん・天内みどりさん
 昭和51年に失踪した藤田進さんの弟さん・藤田隆司さん
 平成12年に失踪した佐藤順子さんのご家族 
 調査会代表荒木・専務理事村尾

 今回のイベント参加にあたって、調査会としては拉致問題の全体像をより広く理解してもらうことを主眼とし、概略以下のような方針でアピールを行う予定です。

1、藤田進さんについて
 
 過日強制的失踪作業部会に申立をして受理された。

 明らかに本人と考えられる写真が北朝鮮から出ている。私たちは拉致の可能性が極めて高いと考えている。

2、木村かほるさんについて

 木村さんは日本国内では藤田進さんと同じ扱いである。国連への申立は藤田さん一人だけだが、それ以外に日本弁護士連合会に人権救済申立を行っている失踪者家族は22家族(失踪者23名)おり、今回ジュネーブを訪れた天内みどりさんもその一人である。

 木村かほるさんについては大韓航空機爆破事件の犯人金賢姫が目撃している可能性がある。また平壌でホステスをさせられた複数のタイ人女性や金正日の料理人をした藤本健二氏も目撃している。

3、他の失踪者について

 日本弁護士連合会への人権救済申立をしていない人も含め、特定失踪者問題調査会には拉致の可能性のある失踪者のリスト約470人がある。多くの事件は失踪当時拉致と疑われておらず、通常の家出などと思われたケースが多いため証拠が残っていないが拉致被害者は少なくとも100名以上、おそらくは遥かに多い数と思われる。

4、佐藤順子さんについて
 佐藤さんは1973年生まれ、2000年9月12日スイス・ツェルマットに旅行中、朝宿泊していたユースホステルを出て失踪した。彼女が北朝鮮の工作員によって拉致されたとは断定できないが、次のようなことから可能性はあると認識している。

1、北朝鮮による拉致は日本や韓国以外にも世界中で行われており、スイスで行われても不思議ではない。

2、フジテレビが5年前に取材した番組では、身元不明の東洋人女性がベルンの北朝鮮大使館に連れて行かれるところが目撃されている。

3、スイスは金正恩も留学した国であり、北朝鮮も重視している。

 佐藤順子さんについてはイベントの主要日程終了後現地での調査を行います。現在のところでは自らの意志による失踪の可能性はほとんどなく、また事故の可能性も極めて低いように思われます。

■調査会役員の参加する講演会等の予定(一般公開の拉致問題に関するイベントのみ)

★11月4日(日) 13:30 拉致問題講演会(庄内ブルーリボンの会主催)
●酒田市ひらたタウンセンター(酒田市飛鳥契約場35 0234-52-3910)
●代表荒木が参加
●問合せ:佐藤忠智代表(090-7327-1346)

★11月8日(木)18:45(現地時間)北朝鮮による拉致問題の国際社会への理解促進シンポジウム(拉致問題対策本部主催)
●ジュネーブ大学UNI-MAIL校舎
●代表荒木・専務理事村尾が参加
●問合せ:(株)オーエムシー内「北朝鮮拉致問題」事務局(03-5362-0120)

★11月14日(水)19:00 北朝鮮による拉致問題の特別講演会(日本航空学園主催)
●学校法人 日本航空学園 山梨キャンパス J-Shipホール(中央本線塩崎駅徒歩10分)
●代表荒木が参加
●問合せ:救う会山梨 櫻井事務局長090-4131-0633

★11月23日(金)14:00 拉致・特定失踪者問題の解決を願う集会(嶺南地区特定失踪者の真相究明を願う会主催)
●敦賀市福祉総合センター「あいあいプラザ」(JR敦賀駅徒歩5分 0770-22-1700)
●代表荒木・理事北條が参加

★11月27日(火)映画「めぐみ―引き裂かれた家族の30年」上映会(神奈川県主催)
●海老名市文化会館小ホール(海老名市上郷476-2)
●常務理事杉野が参加
●問合せ:神奈川県県央地域県政総合センター企画調整課
     046-224-1111(代表)※要事前申込み

★12月8日(土)13:25「北朝鮮による拉致問題を考える県民の集い」(拉致問題対策本部・秋田県・救う会秋田主催)
●秋田キャッスルホテル(秋田駅徒歩10分 018-834-1141)
●代表荒木が参加
●問合せ:秋田県学術国際局国際課:018-860-1219

★12月9日(日)堺集会
●代表荒木が参加

★12月15日(土)伊万里集会
●代表荒木が参加

★12月16日(日)14:00 北朝鮮拉致問題解決に向けた講演会(熊本県・県教委主催)
●熊本県庁地下大会議室(096-383-1111)
●代表荒木が参加
●問合せ:熊本県庁国際課:096-333-2159

平成24年1月27日(日)川口集会
●代表荒木が参加
◎戦略情報研究所「Sセミナー」

 戦略情報研究所では第3回Sセミナー(講演会)を次のように行います。奮ってご参加下さい。
日時:11月16日(金) 19:00〜20:00
会場 UIゼンセン会館2階会議室(東京都千代田区九段南4-8-16 Tel03-3288-3549)
 ※JR・地下鉄市ケ谷駅下車3分 日本棋院斜向い
講師 三浦小太郎氏(評論家・アジア自由民主連帯協議会会員)
参加費 1000円(戦略情報研究所会員は無料)
※事前の参加申し込みは不要です。
※(株)NetLiveのご厚意でインターネット中継を行います。
http://www.netlive.ne.jp
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特定失踪者問題調査会ニュース
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〒112-0004東京都文京区後楽2-3-8第6松屋ビル301
Tel03-5684-5058Fax03-5684-5059
email:[email protected]
調査会ホームぺージ:http://www.chosa-kai.jp
発行責任 者荒木和博(送信を希望されない方、宛先の変更は
[email protected]宛メールをお送り下さい)
●カンパのご協力をくお願いします。
郵便振替口座00160-9-583587口座名義:特定失踪者問題調査会
銀行口座 みずほ銀行 飯田橋支店 普通預金 2520933 名義 特定失踪者問題調査会
(銀行口座をご利用で領収書のご入用な場合はメールないしFAXにてご連絡願います)
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