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2012年4月30日

主権回復60年

【調査会NEWS1182】(24.4.30)

 家族会・救う会・拉致議連の「国民大集会」があった4月28日はサンフランシスコ講和条約の発効、つまり占領から日本が脱して60年の日でした。国民大集会には毎回参加していますが、何となく今年は雰囲気の違いが感じられました。

 どういう違いか、と聞かれても分かりません。主権回復60年について語ったのは中山恭子参議院議員と司会の増元家族会事務局長、あとは私だけで、こういう言い方をすると失礼ですが、主催者も登壇者も特に意識はしていなかったと思います。しかし、このところ何かが変わってきたような感じを、私はこの集会以外にも何となく受けています。

 それが「最後はアメリカに守ってもらう」といった戦後の意識からの脱却であれば、拉致問題の解決にとっては決定的な意味を持つことになるでしょう。自分で自分を守ることをしてこなかったのが拉致問題を招き、その構造を隠してきたことが解決の障害となってきたのですから。

 私自身、この15年間拉致問題に関わってきて「この国はまだ捨てたものではない」と感じてきました。アメリカや国連頼みではなく、日本が自国でやる、やれていないことが恥ずかしいという覚悟を官民含めて持ったとき、つまり本当の意味の独立国になったとき状況は一気に変わるように思います。そうなってこそアメリカも、国連も本当の意味で巻き込んで行けるのではないでしょうか。

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主権回復60年

【調査会NEWS1182】(24.4.30)

 家族会・救う会・拉致議連の「国民大集会」があった4月28日はサンフランシスコ講和条約の発効、つまり占領から日本が脱して60年の日でした。国民大集会には毎回参加していますが、何となく今年は雰囲気の違いが感じられました。

 どういう違いか、と聞かれても分かりません。主権回復60年について語ったのは中山恭子参議院議員と司会の増元家族会事務局長、あとは私だけで、こういう言い方をすると失礼ですが、主催者も登壇者も特に意識はしていなかったと思います。しかし、このところ何かが変わってきたような感じを、私はこの集会以外にも何となく受けています。

 それが「最後はアメリカに守ってもらう」といった戦後の意識からの脱却であれば、拉致問題の解決にとっては決定的な意味を持つことになるでしょう。自分で自分を守ることをしてこなかったのが拉致問題を招き、その構造を隠してきたことが解決の障害となってきたのですから。

 私自身、この15年間拉致問題に関わってきて「この国はまだ捨てたものではない」と感じてきました。アメリカや国連頼みではなく、日本が自国でやる、やれていないことが恥ずかしいという覚悟を官民含めて持ったとき、つまり本当の意味の独立国になったとき状況は一気に変わるように思います。そうなってこそアメリカも、国連も本当の意味で巻き込んで行けるのではないでしょうか。

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セージコリア日本語サイト

 韓国の北朝鮮人権団体「セージコリア」(金美英代表)では日本語を含む11カ国語で北朝鮮人権問題を説明するホームページを作っています。日本人・韓国人以外の知人の方などに北朝鮮人権問題を知らせるときなどにもご利用されると便利です。

http://sagekorea.org/

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2012年4月26日

アジア自由民主連帯協議会

 4月22日にアジア自由民主連帯協議会の講演会でお話しした内容を三浦小太郎さんが同協議会ホームページに掲載して下さいました。動画も見ることができますのでよかったらご覧下さい。

http://freeasia2011.org/japan/archives/1194

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2012年4月23日

崔竜海の軍服姿

Dscn0068

 金正恩と並ぶ崔竜海。韓国の新聞(朝鮮日報)の1面を飾った写真ですが、それにしても似合わない軍服姿です。これで次帥?総政治局長?思わず「大丈夫か?」と言いたくなります。北朝鮮も来るところまで来てしまいました。本当に末期症状です。

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ブラジャー

【調査会NEWS1181】(24.4.23)

 先日お知らせした渡辺義彦議員の質問主意書に対する答弁書は、よくまあ一流大学を出て高い給料をもらっている警察官僚がこんなものを書くなあと関心してしまいました。今回の質問主意書で指摘したのは遺体と美保さんの違いだけで、問題点はこれ以外にDNA鑑定自体の問題や家族への通知など、山程あるのですが、まとめてやると分かりにくいと思うので、今後少しずつ明らかにしていこうと思います。

今日はそのうちの一つ、ブラジャーのサイズについて。

質問主意書では次のように書かれています。

 Yの遺留品であるブラジャーのサイズはA70であった。一方美保が通常着用していたブラジャーはB75ないしB80であった。多数の女性に確認したところではB75ないしB80のブラジャーを着用していた者がA70のブラジャーを着用することはほぼ不可能であり、できたとしても極めて無理な着用であって本人が選ぶことはあり得ないとの一致した見解を得ている。警察は美保がA70のブラジャーを着用可能であるとしているが、それは「無理をすれば着用できる」という、可能性を論じているのか。あるいは美保が実際にA70のブラジャーを着用していたことを確認しているのか。

これに対する答弁書の記述は次の通りです。

 山梨県警察によると、ご指摘の遺留品については、同県警察において関係メーカーに確認したところ、昭和五十六年に記録された山本美保氏の体型と同様の体型の方が着用することが可能なものであるとのことである。

 見てお分かりの通り、質問には何も答えていません。実は美保さんの着用していた下着について、警察は家族に何も聞いていないのです。

 平成21年5月22日に山梨県警に出した質問状でブラジャーのサイズの矛盾について質問したときの回答(同年6月4日付)では「昭和60年4月及び平成14年10月にご家族から提出された『家出人捜索願』には、いずれもサイズに関する事項は記載されておりません。県警察としましては、御遺体に装着されていたブラジャーのサイズと山本美保さんの胸囲等との比較をすべく、山本美保さんの身体測定結果等の捜査を行いましたが、現在のところ確認はできておらず、身体特徴を含め捜査を継続しております」 

 となっています。そしてその結果が今回の答弁書だとすれば、警察はこの間何もしていないということです(この事件を隠蔽しようとする行動以外には)。

 質問主意書の最後の部分について、女性ならどなたでもお分かりだと思いますが、通常B75ないしB80のブラジャーを着用している人がA70のブラジャーを着用することがあるかどうか、それだけでもこの矛盾点は明らかだと思います。これが拉致認定に関わることであれば、警察はブラジャーのサイズが違っていれば絶対に認定に反対するでしょう。

 日本人はお役所の文書だと信じてしまいがちですが、こういう嘘を平気で付くのだということは頭に入れていた方が良いと思います。真面目に働いている人たちのためにも嘘を見抜く目は必要です。

 ちなみに私は試しにB75とA70のブラジャーを買ってみました(その手の趣味があるわけではありません。念のため)。男の目で見てもこれは違うだろうと分かるのですが…。

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2012年4月20日

あれはすべて山梨県警がやったこと…回答書

【調査会NEWS1180】(24.4.20)

 山本美保さんにかかわるDNAデータ偽造事件で渡辺義彦議員(新党きづな)の提出した質問主意書への回答書が送付されました。

 見てわかるように質問にまったく答えていないばかりか、「山梨県警によると」を連発し、いざとなったときに山梨県警に責任を押しつけようという意図が明らかな答弁書です。ある意味、答えようがないという証明とも言えるでしょう。

 これでは全く答弁になっていないので、再質問等をお願いすることになるとは思いますが、このニュースでも追って個別の回答の矛盾をお知らせしていきます。このニュースをご覧の警察関係の方などでお気づきの点がありましたらお知らせいただければ幸いです(プロが見ればより疑問点が明らかになると思いますので)。
 
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(回答書 文字化けの可能性があるので丸数字はカッコでくくった数字にしてあります)

内閣衆質一八〇第一八二号
平成二十四年四月二十日
   内閣総理大臣 野田佳彦
衆議院議長 横路孝弘殿

 衆議院議員渡辺義彦君提出特定失踪者にかかわるDNA鑑定問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 衆議院議員渡辺義彦君提出特定失踪者にかかわるDNA鑑定問題に関する質問に対する答弁書

一の(1)について
 お尋ねの役職にあった者は、内閣総理大臣秘書官が小野次郎、警察庁長官が佐藤英彦、警察庁警備局長が瀬川勝久、警察庁警備局外事課長が五十嵐邦雄、山梨県警察本部警備部警備第一課長が丸山潤である。

一の(2)について
 お尋ねの役職は、警察庁警備局外事課付兼長官官房総務課付であり、異動時期は平成十四年九月三日である。

一の(3)について
 お尋ねの時期は、平成十六年四月一日である。また、お尋ねの役職にあった者は、警察庁警備局外事情報部長が三谷秀史、警察庁警備局外事情報部外事課長が五十嵐邦雄である。

二の(1)について
 山梨県警によると、同県警察において法医学の専門家に確認したところ、歯の脱落については、例えば、海中生物による蚕食等により顔面が白骨化し、歯と歯槽骨を接着する歯根膜の融解・消失が進み、これが海底、岩礁等に接触等することにより死後早期に起こることがあるとのことである。

二の(2)について
 山梨県警察によると、同県警察において法医学の専門家に確認したところ、屍蝋化は空気の遮断等により遺体に化学変化が起こり形成されるものであり、死後二週間程度で屍蝋化が発言した例があるとのことである。

二の(3)について
 山梨県警察によると、同県警察において法医学の専門家に確認したところ、歯根膜の融解・消失と屍蝋化は別個の現象であり、双方の現象が死後早期に同時に進行しても矛盾はないとのことである。

二の(4)について
 山梨県警察によると、同県警察においてご指摘の鑑定書を作成した鑑定人に確認したところ、ご指摘の身元不明死体は身体の一部が離脱していたものであり、当該鑑定書には、残存する御遺体の座高ではなく、全長が記されているとのことである。

二の(5)について
 山梨県警察によると、ご指摘の遺留品については、同県警察において関係メーカーに確認したところ、昭和五十六年に記録された山本美保氏の体型と同様の体型の方が着用することが可能なものであるとのことである。

三について
 警察庁としては、山梨県警察において、検視及び司法解剖の結果得られた血液型、性別、推定年齢、推定身長等に関する事項、DNA型鑑定の結果等を踏まえ、ご指摘の身元不明死体が山本美保氏の御遺体であると判断したものと承知している。

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本日質問主意書の回答送付予定

【調査会NEWS1179】(24.4.20)

 1175号のニュースでお知らせした渡辺義彦議員(新党きづな)の質問主意書は今日が回答送付(内閣から衆議院へ)の予定になっています。

 質問主意書は山本美保さんと山形の遺体のサイズや遺留品の違いなどを質すことに絞ったもので、ご家族への通知の嘘やDNA鑑定書開示の問題には触れていませんが、とりあえず今回の指摘に対してどのような回答が返ってくるか関心が高まっています。なお、DNA鑑定書については前号記載のように、古屋圭司拉致議連幹事長が警察庁の幹部に質しており、これもどのような回答が返ってくるか注目されます。

 なお、質問主意書は1175号にも掲載していますが、項目の番号が一部文字化けしていたため、あらためて以下に掲載します(文字化け防止のために原文の丸数字をカッコでくくった数字に変えてあります)。

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特定失踪者にかかわるDNA鑑定問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

平成二十四年四月十日

提出者 渡辺 義彦

衆議院議長 横路 孝弘 殿

               特定失踪者にかかわるDNA鑑定問題に関する質問主意書

特定失踪者山本美保さん(昭和五十九年六月四日、山梨県甲府市の自宅を出て失踪。四日後の新潟県柏崎市の荒浜海岸で本人のセカンドバッグが発見される。当時二十歳。以下「美保」と略)について、平成十六年三月五日、山梨県警察本部警備一課長が突然記者会見を行い、美保失踪十七日後の昭和五十九年六月二十一日、山形県遊佐町の海岸に漂着していた身元不明遺体(以下「Y」と略)の骨髄と、美保の双子の妹である森本美砂の血液のDNA鑑定を行った結果が一致したと発表された。

 警察はDNA鑑定の結果の一致のみを理由に美保とYを同一人物としたが、公開されていない(家族等一部の者に閲覧は許可されているが、コピー等は許されていない)DNA鑑定書のみが唯一の「証拠」となっている。

 しかし、美保とYの身体サイズや身に付けていた遺留品は、全く異なっていることが家族の証言及び客観的事実などで明らかにされており、警察、とりわけ外事警察への不信が高まっている。この疑問及び不明点を解き明かすことは警察への信頼を回復するためにも、拉致問題の真相究明のためにも緊急を要すると考える。

 従って、次の事項について質問する。

一、事件当時の人事及び組織について

(1)美保とYとが同一人物であると山梨県警が発表した平成十六年三月五日当時、以下の役職にあった者は誰か。
警察出身の総理秘書官
警察庁長官
警察庁警備局長
警察庁外事課長
山梨県警警備一課長

(2)右記山梨県警警備一課長が山梨県警に異動する前の役職は何で、山梨県警に異動したのはいつか。

(3)その後警察庁警備局には外事情報部が新設されたと聞いているが、その時期はいつか。また、初代の外事情報部長及び当時の外事課長は誰か。

二、遺体鑑定について

(1)Yが美保であれば、海中に遺体があった期間は最大限美保失踪の六月四日からYの発見された二十一日までの十七日間である。鑑定書によれば、Yは顔面に特別の外傷がないにもかかわらず十三本の歯牙が脱落していた。通常歯根膜腐敗による歯牙の脱落は最短で三ヶ月程度かかるものと理解している。法医学の権威である上野正彦・元東京都監察医務院長は歯牙の脱落について「半年以上、あるいは一年くらい経たないと。歯茎が崩れて歯の根っこと骨が緩んでしまうっていうことですから非常に長い時間かかりますよ」とテレビ局の取材に対して語っているが、十七日間で脱落が起きるというのはどのような場合であるか。

(2)鑑定書によればYは一部屍蝋化していたとされている。屍蝋化は冷たい海中において通気がない状態で死後三ヶ月程度して始まると理解しているが、前記上野・元院長は同じくテレビ局の取材の中で、鑑定書の写真を見て「このご遺体の写真を見る限りでは、かなりもう三か月から半年くらい過ぎたような感じを受けますよね。で、一部屍蝋化しているような感じも受けますので、屍蝋化するのには三か月以上はかからないとね、普通は」と語っているが、最大限十七日間で屍蝋化が始まるというのはどのような場合であるか。

(3)前記歯牙脱落は歯根膜腐敗によって起き、屍蝋化は腐敗しない条件で起きるが、この両者が十七日間で同時に起きるというのはどのような場合であるか。

(4)Yの鑑定書四ページには「頭頂部から臀部下端まで約九五?」とあり、十六ページには「右臀部下端に上右から下左に走る長さ約五・五?、幅約一・五?の創あり。創縁は整、創端は尖る (写真七・八・一二)」と記載されている。写真にある創の位置からすれば、「頭頂部から臀部下端」が座高にあたる長さを示すものであることは明らかである。その場合、Yが美保であれば遺体の身長は百六十センチメートルであるから、座高九十五センチメートル、股下高六十五センチメートルという体型となる。美保の高三のときの身長は百五十九・五センチメートル、座高は八十七・四センチメートルであるから股下高は七十二・一センチメートルになり全く別人であることは明らかだが、これを同一人であるとする根拠は何か。

(5)Yの遺留品であるブラジャーのサイズはA70であった。一方美保が通常着用していたブラジャーはB75ないしB80であった。多数の女性に確認したところではB75ないしB80のブラジャーを着用していた者がA70のブラジャーを着用することはほぼ不可能であり、できたとしても極めて無理な着用であって本人が選ぶことはあり得ないとの一致した見解を得ている。警察は美保がA70のブラジャーを着用可能であるとしているが、それは「無理をすれば着用できる」という、可能性を論じているのか。あるいは美保が実際にA70のブラジャーを着用していたことを確認しているのか。

三 警察庁の認識について

(1)本件について、平成二十四年四月二日に開催された拉致議連総会の席上、牛嶋正人警察庁外事課長は「山本さんの事件につきましては、DNAの鑑定から漂着した遺体と一致したということでございますが、私共これをもってこの事件が解決したなどとは思っておりません。DNAが一致した上で、事件の可能性もあります。あるいは拉致の可能性も否定できるものではありません。ですので、これについても引き続き捜査をやっておるところでございます」と発言している。警察庁としては現在もYと美保が同一人物であると断定しているのか。

(2)平成十八年十一月九日の記者会見で、当時の漆間巖警察庁長官は拉致認定要件の緩和について「拉致ではないものが一件でもあると反撃を食らう。犯罪に該当するものを拉致事案に掲げており、警察が追加するとしたら(意思に反して移送されたなどの)三要件は譲れない」と語り、拉致認定要件が厳格でなければならないとしている。一方で前記のように美保とYには警察が発表した「DNAデータの一致」という言葉以外に両者が同一であることを示すものはないように思われる。拉致認定にあたっては厳格で、拉致の可能性のある失踪者については、公開できない「DNA鑑定書」と称するもの以外同一と判断できる根拠に乏しい身元不明遺体であると断定するのはその姿勢自体が明らかに矛盾していると思うがいかがか。

 右質問する。

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2012年4月17日

対策本部専従職員指名・DNAデータ開示について

【調査会NEWS1178】(24.4.17)

 16日に開かれた参議院拉致問題特別委員会で山谷えり子参院議員は、「政府に特定失踪者を調査する担当部署を作るべきだ」と質問しました。これに対し、松原仁拉致問題担当大臣は、「特定失踪者問題を専属的に担当する職員を指名する」と述べ、拉致問題対策本部事務局でこれまで特定失踪者担当だった職員を専従とすることし、同日付で辞令を手渡しました。政府の対応としては遅きに失した感なきにしもあらずで、また、今後担当者がどのようなことをしていくかにかかっていますが、あらためて特定失踪者の問題の理解を広めて行く上では進展であると思います。

 一方、山本美保さんのDNAデータ偽造事件について、古屋圭司・拉致議連幹事長はDNAデータの開示が可能であることを明らかにしました。警察側は事件捜査中であるのでDNA鑑定データは公開できないと言っているのですが、古屋幹事長は刑事訴訟法47条に「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない」とされていることを確認、警察側に開示を求めました。担当者は「検討する」と言って辞去したとのこと。

 そもそもDNAデータは証拠隠滅にも何も関係なく、しかもこれ以外に山本美保さんと山形の遺体で一致するものがないのですから、公開して当然のはずです。刑事訴訟法がクリアできたことで、開示に向けて一歩前進したと言えます。

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「海外事情」と「報告」

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 私が奉職している拓殖大学海外事情研究所では月刊「海外事情」と年1回の「報告」(紀要)を発行しています。写真は最新のもので「海外事情」4月号には「金正日死後、揺れる北朝鮮と動く周辺国」、「報告」には「北朝鮮による拉致事件の真相究明に関する一考察」と題して寄稿しました(写真は抜き刷り)。前者は花火大会前までの状況について、後者は拉致認定の問題について書いています。ご関心のある方は恐縮ですが拓殖大学研究支援課(03-3947-7597)までご連絡下さい。

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2012年4月13日

花火大会の後始末

【調査会NEWS1177】(24.4.13)

 朝、記者会見している田中防衛大臣の姿をテレビで見て、「日本は誰でも防衛大臣が務まるほど盤石な体制の国なのだ」と、しばし感慨(?)にふけりました。

 それはともかく、この間のミサイル騒ぎ、私はあまり関心を持てませんでした(関連した仕事をしている方は大変だったでしょうから申し訳ありませんが)。北朝鮮からミサイルと核開発を抜いたらただの貧乏な独裁国家になってしまい、誰も相手にしなくなります。「ミサイルを撃つぞ」「核開発をするぞ」と言うから日米中露があわててなだめようとするわけで、まあ不良とそれに振り回される学校の先生のような感じです。不良が「まっとうな人間になります」と言えば喜ばれるでしょうが、そのうち皆気にしなくなるでしょう。

  今の体制が続く限り、北朝鮮は核開発もミサイルも止めることはなく、その意味では人権侵害も同様です。拉致も止めたという証拠はありません。体制を変えなければ何も解決しないことはあきらかで、その根本をはずして些末なことで大騒ぎしている姿は滑稽にすら思えます。やめさせたいなら現地の施設を破壊するか、別の方法ででも体制が変わるように誘導するしかありません。

 今回の失敗で収まりがつかないとなると、あと北朝鮮がやるのは核開発か、いいがかりをつけて韓国に武力挑発を行うことでしょう。一方で国内では責任のなすりあいも起きるでしょうから、このところ揺れている人事にさらに大きな揺れが加わる可能性があります。いくら人民軍が駄目になっていると言っても崔龍海の次帥・総政治局長を喜んで受け入れるはずはなく、花火大会の後始末はなかなか大変です。チャンスが訪れるのは意外と早いかも知れません。 

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2012年4月11日

第一書記?

【調査会NEWS1176】(24.4.11)

 金正恩が朝鮮労働党の「第一書記」になったそうです。金正日は「永遠の総書記」だそうで、これは国家主席のポストをなくして金日成を「永遠の主席」にしたのと同じパターンですが、マスコミの皆さんはあまり真に受けて「これで党を掌握した」などと思わずに、「なぜ総書記になれなかったのか」と考えた方が良いのではないでしょうか。

 金正日が総書記になったときは、本来中央委員会を開かなければならないのに開かず(あるいは開けず)、「推戴」という方法で就任した「似て非なる総書記」でした。今回聞いたことのない「第一書記」というポストになったのは、やはりそれなりの理由があることは明らかです。もし金正恩が死ねばまた「永遠の第一書記」とかするのでしょうか。そうなると次はどうするのでしょう。「本家書記」とか「元祖書記」とかするのでしょうか。

 ところでもう一つ、崔龍海が次帥(元帥と大将の間)に昇格し、なおかつ総政治局長になったそうで、これには驚きました。全く軍の経歴がなく、なおかつ極めて評判の悪い崔龍海が次帥で総政治局長となれば人民軍の中でも相当不満は溜まると思います。長く総政治局長をやった趙明祿あたりが聞いたら憤死しそうです(もう死んでますが)。

 これからミサイルだ核だとまだ賑やかそうですが、どう考えても普通でないこの状況の中で何とか情報がとれないか、あるいは行動が起こせないか、試行錯誤を続けています。

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2012年4月10日

パンフと質問主意書(山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件)

【調査会NEWS1174】(24.4.10)

●パンフレットを調査会ホームページに掲載

 地元の「山本美保さんの家族を支援する会」作成のパンフレットを調査会のホームページに掲載しました。豊富なイラストで事件の全体像が分かりやすく描かれています。パソコン上で本を読むように閲覧することもPDFでダウンロードすることもできますのでご利用下さい。アドレスは以下の通りです。

http://www.chosa-kai.jp/shiryou.html

●質問主意書

 渡辺義彦衆議院議員(新党きづな)は本日衆議院に質問主意書を提出しました。内容は下記の通りですが、質問主意書は文書をもってする国会の正式な質問で、院から内閣への送付が16日、内閣から院への回答送付が20日の予定になっています。

 山形の遺体と山本美保さんの矛盾点については山梨県議会でも質問がなされており、また山梨県警からも家族・支援者に説明をしています。どちらも全く納得のできない回答ですが、ともかくすでに回答はしているので、今回の質問主意書で「捜査上の理由で回答できない」との答弁はないと思われ、どのような答弁書が返ってくるか楽しみです。

 なお、今回の質問主意書は主に山形の遺体と美保さんの矛盾点に絞ってあり、今後ご家族への説明の矛盾、DNA鑑定上の問題等についても拉致議連と連携しあながら引き続き委員会での質問や質問主意書の提出をしていただく予定です。

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特定失踪者にかかわるDNA鑑定問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

平成二十四年四月十日

提出者 渡辺 義彦

衆議院議長 横路 孝弘 殿

               特定失踪者にかかわるDNA鑑定問題に関する質問主意書

特定失踪者山本美保さん(昭和五十九年六月四日、山梨県甲府市の自宅を出て失踪。四日後の新潟県柏崎市の荒浜海岸で本人のセカンドバッグが発見される。当時二十歳。以下「美保」と略)について、平成十六年三月五日、山梨県警察本部警備一課長が突然記者会見を行い、美保失踪十七日後の昭和五十九年六月二十一日、山形県遊佐町の海岸に漂着していた身元不明遺体(以下「Y」と略)の骨髄と、美保の双子の妹である森本美砂の血液のDNA鑑定を行った結果が一致したと発表された。

 警察はDNA鑑定の結果の一致のみを理由に美保とYを同一人物としたが、公開されていない(家族等一部の者に閲覧は許可されているが、コピー等は許されていない)DNA鑑定書のみが唯一の「証拠」となっている。

 しかし、美保とYの身体サイズや身に付けていた遺留品は、全く異なっていることが家族の証言及び客観的事実などで明らかにされており、警察、とりわけ外事警察への不信が高まっている。この疑問及び不明点を解き明かすことは警察への信頼を回復するためにも、拉致問題の真相究明のためにも緊急を要すると考える。

 従って、次の事項について質問する。

一、事件当時の人事及び組織について

①美保とYとが同一人物であると山梨県警が発表した平成十六年三月五日当時、以下の役職にあった者は誰か。
警察出身の総理秘書官
警察庁長官
警察庁警備局長
警察庁外事課長
山梨県警警備一課長

②右記山梨県警警備一課長が山梨県警に異動する前の役職は何で、山梨県警に異動したのはいつか。

③その後警察庁警備局には外事情報部が新設されたと聞いているが、その時期はいつか。また、初代の外事情報部長及び当時の外事課長は誰か。

二、遺体鑑定について
 
 ①Yが美保であれば、海中に遺体があった期間は最大限美保失踪の六月四日からYの発見された二十一日までの十七日間である。鑑定書によれば、Yは顔面に特別の外傷がないにもかかわらず十三本の歯牙が脱落していた。通常歯根膜腐敗による歯牙の脱落は最短で三ヶ月程度かかるものと理解している。法医学の権威である上野正彦・元東京都監察医務院長は歯牙の脱落について「半年以上、あるいは一年くらい経たないと。歯茎が崩れて歯の根っこと骨が緩んでしまうっていうことですから非常に長い時間かかりますよ」とテレビ局の取材に対して語っているが、十七日間で脱落が起きるというのはどのような場合であるか。

②鑑定書によればYは一部屍蝋化していたとされている。屍蝋化は冷たい海中において通気がない状態で死後三ヶ月程度して始まると理解しているが、前記上野・元院長は同じくテレビ局の取材の中で、鑑定書の写真を見て「このご遺体の写真を見る限りでは、かなりもう三か月から半年くらい過ぎたような感じを受けますよね。で、一部屍蝋化しているような感じも受けますので、屍蝋化するのには三か月以上はかからないとね、普通は」と語っているが、最大限十七日間で屍蝋化が始まるというのはどのような場合であるか。

③前記歯牙脱落は歯根膜腐敗によって起き、屍蝋化は腐敗しない条件で起きるが、この両者が十七日間で同時に起きるというのはどのような場合であるか。

④Yの鑑定書四ページには「頭頂部から臀部下端まで約九五㎝」とあり、十六ページには「右臀部下端に上右から下左に走る長さ約五・五㎝、幅約一・五㎝の創あり。創縁は整、創端は尖る (写真七・八・一二)」と記載されている。写真にある創の位置からすれば、「頭頂部から臀部下端」が座高にあたる長さを示すものであることは明らかである。その場合、Yが美保であれば遺体の身長は百六十センチメートルであるから、座高九十五センチメートル、股下高六十五センチメートルという体型となる。美保の高三のときの身長は百五十九・五センチメートル、座高は八十七・四センチメートルであるから股下高は七十二・一センチメートルになり全く別人であることは明らかだが、これを同一人であるとする根拠は何か。

⑤Yの遺留品であるブラジャーのサイズはA70であった。一方美保が通常着用していたブラジャーはB75ないしB80であった。多数の女性に確認したところではB75ないしB80のブラジャーを着用していた者がA70のブラジャーを着用することはほぼ不可能であり、できたとしても極めて無理な着用であって本人が選ぶことはあり得ないとの一致した見解を得ている。警察は美保がA70のブラジャーを着用可能であるとしているが、それは「無理をすれば着用できる」という、可能性を論じているのか。あるいは美保が実際にA70のブラジャーを着用していたことを確認しているのか。

三 警察庁の認識について

①本件について、平成二十四年四月二日に開催された拉致議連総会の席上、牛嶋正人警察庁外事課長は「山本さんの事件につきましては、DNAの鑑定から漂着した遺体と一致したということでございますが、私共これをもってこの事件が解決したなどとは思っておりません。DNAが一致した上で、事件の可能性もあります。あるいは拉致の可能性も否定できるものではありません。ですので、これについても引き続き捜査をやっておるところでございます」と発言している。警察庁としては現在もYと美保が同一人物であると断定しているのか。

② 平成十八年十一月九日の記者会見で、当時の漆間巖警察庁長官は拉致認定要件の緩和について「拉致ではないものが一件でもあると反撃を食らう。犯罪に該当するものを拉致事案に掲げており、警察が追加するとしたら(意思に反して移送されたなどの)三要件は譲れない」と語り、拉致認定要件が厳格でなければならないとしている。一方で前記のように美保とYには警察が発表した「DNAデータの一致」という言葉以外に両者が同一であることを示すものはないように思われる。拉致認定にあたっては厳格で、拉致の可能性のある失踪者については、公開できない「DNA鑑定書」と称するもの以外同一と判断できる根拠に乏しい身元不明遺体であると断定するのはその姿勢自体が明らかに矛盾していると思うがいかがか。

 右質問する。

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2012年4月 7日

強制的失踪作業部会

【調査会NEWS1173】(24.4.7)

 お知らせした通り、一昨日ICNK(北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合)の記者会見が行われ、藤田進さん(昭和51年埼玉県川口市で失踪)について、弟の藤田隆司さんがジュネーブの国連人権委の強制的失踪作業部会に申立を行うことが発表されました。

 藤田進さんについては写真や目撃証言など証拠となるものが多く説明しやすい上に、申立人の隆司さんは各種の北朝鮮人権問題に関わる活動にも参加していることから、ICNKの日本のメンバーが書類作成や英訳などの協力をし、特定失踪者の代表という形での申立になりました。私はほとんどお手伝いせず、偉そうな顔をして記者会見に出ただけですが、隆司さんはもちろん、ご苦労頂いた皆さんに御礼申し上げます。

 強制的失踪部会には国連自体がそうであるように、立ち入り調査などの権限がなく、具体的な成果は期待しにくいのですが、これを機会にICNKに所属する世界中の北朝鮮関連人権団体が日本人拉致問題をより理解してくれるようになれば少なくとも北朝鮮への圧力にはなり、藤田さんをはじめとした未認定の拉致被害者の安全を確保することにも寄与するでしょう。

 ところで、記録を見直してみたところ、11年前の今日、増元照明さん(当時家族会事務局次長)と私(当時救う会事務局長)はパリ経由でジュネーブに向かっていました。パリで当時韓国の拉北者家族協議会の会長だった崔祐英さんと合流し、まだ拉致「疑惑」と言われていた日本人拉致被害者9人(当時家族会関連の全拉致被害者)と韓国人拉致被害者5人について、ジュネーブの国連人権委員会に今回の藤田さんのものと同様の申立をしてきました。

 あれからもう11年経ったのに、まだ外国に頼まなければならないのかと思うとため息が出ます。日本人拉致被害者は自力で取り返し、韓国人の拉致被害者をはじめとする他国の拉致被害者まで日本だけで取り返しておつりが来るくらいでなければならないはずですし、日本にはその力が間違いなくあります。少なくとも何十年の間拉致問題について不作為やミスの隠蔽に使ってきたエネルギーを解決の方に振り向ければそれだけでかなりの人が帰ってくるはずです。最近北朝鮮内部の状況を見ていると、民間でもかなりのことができるのではないかと思い始めています。やはり「自分でやるしかない」と腹をくくれるかどうかでしょう。

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2012年4月 6日

神奈川現地調査報告

【調査会NEWS1171】(24.4.6)

 一昨日行った神奈川での現地調査の報告です。

   1万キロ現地調査(神奈川)第7回報告
                               平成24年4月6日
                               特定失踪者問題調査会
●日程:平成24年4月4日

●調査地域:神奈川県(横浜市、横須賀市、逗子市、鎌倉市)走行距離98キロ。累計2,031キロ。

●参加者:16名
【特定失踪者家族】…斎藤良治さん(齋藤正治さんの弟)、大澤茂樹さん(大澤孝司さんの兄)、寺島六郎さん、寺島イツ子さん(寺島佐津子さんのご両親)
【家族会】…横田滋さん(横田めぐみさんの父)
【特定失踪者問題調査会】…代表荒木、副代表岡田、専務理事村尾、常務理事曽田・武藤・杉野
【救う会神奈川】…川添代表
【神奈川県】…水田理事、船本国際課長、国際課・広報課職員各1名

●調査内容

(1)河嶋功一さん(昭和57-1982-年3月21日失踪)

 最終失踪関連地点である横浜市金沢区の下宿近辺の調査。
 本人の行動などについての当時の証言についてはさらに検討されるべきと思われた。また下宿から約1キロの距離にある旧米軍小柴貯油施設も車上から視察。ここは河嶋さん失踪5ヶ月前の昭和56年10月13日に原因不明の大爆発を起こしている。現時点で関連性は不明だが、後掲のように神奈川の失踪は米軍・自衛隊との関係がみられるケースが多く、今後も留意する必要がある。

(2)八尾恵(よど号犯柴田泰弘の妻、有本恵子さんら欧州での拉致に深く関与)関連調査

 偽名で居住したマンションと経営していたカフェバー「夢見波」が入居した雑居ビルを視察。住居とカフェバーが近接していること、周囲に米軍や自衛隊施設が多数存在すること、カフェバー前の防衛大学校行きのバス停などを確認。

(3)齋藤正治さん(昭和36-1961-年10月1日失踪 当時22歳)

 当時通学していた県立横須賀高校を調査、弟・良司さんの「しおかぜ」収録。その後最後に住民票が移された逗子市の居住地跡を視察。失踪前に住民票が何度か移されていることは不自然で、特に逗子市の住所は実際に居住していたかどうかも不明。

 当時の状況を知る人が少ないことがネックだが、次の3人と時期的にも近く、それらとの関係も含めた見直しが必要と思われる。

(4)昭和36年連続失踪

 非公開Nさん(10月15日 当時20歳)、高松康晴さん(11月1日 当時20歳)、岩佐寅雄さん(12月20日 当時35歳)

 鎌倉市材木座海岸を調査。3人の最終失踪関連地点のおおよその位置関係などを確認。Nさん、高松さんの二人については失踪当時の週刊誌で取り上げられており、あわせて不審な船の目撃証言も掲載されている。

 齋藤正治さんも含めて同時期に近接した地点での失踪に注目するとともに、当時の時代背景や、記事が書かれた経緯の考察も必要。とりわけ不審船の記述もあることから、神奈川県においても海上からの侵入や工作活動の可能性も考える必要がある。

(5)寺島佐津子さん(昭和54-1979-年8月10日 当時19歳)

 米軍深谷通信施設のバス停から自宅へ向けて失踪時同様の足取りを徒歩で移動し、セカンドバッグが発見された自宅近くの現場で調査。母・イツ子さんと大澤孝司さんの兄茂樹さんの「しおかぜ」収録。

 状況などから事件が乗用車を使用した計画的な犯行である可能性が高いと感じられる。また夜には人通りや街灯の少なさなど、極めて拉致を実行しやすい場所であるという印象を受けた。警察犬の動きについて、横田めぐみさん拉致の後の現場検証との比較等も行った。寺島さん本人の失踪時の行動やバッグ発見の経緯、また米軍の通信施設に近接することからも、北朝鮮の工作活動との関連についても調査の必要がある。

【神奈川県現地調査全体のまとめ】
 今回の調査には神奈川県から拉致問題担当の水田理事ら4人が参加するなど、行政のご協力をいただいた。この場を借りてお礼申し上げたい。

 神奈川県は太平洋側で、日本海側と比較して拉致とは無関係と考えられてきた。しかし特定失踪者の調査を通じ、神奈川県においても多数の拉致の可能性があることが判明している。

 今回の現地調査を通じ、神奈川県が①横浜・川崎など大都市があり、有数の工業地帯を有すること、②米軍や自衛隊の基地、施設が集中していること、③かなり以前から不審な船が目撃されるなどの記録があること、といった地域的特徴から、北朝鮮による工作活動が行われた可能性が極めて高いという認識を新たにした。さらにそれぞれの失踪関連地域の調査においても、この特徴を反映する拉致の可能性が高いケースが多いことがわかった。

 また神奈川県に関連する特定失踪者は非公開も含め約20名ほどおり、今回の現地調査はその一部に過ぎない。

 一般には神奈川県での拉致という認識は極めて低い。この調査によって神奈川県および市町村など自治体の行政機関、そして国(県)民においても拉致問題、特定失踪者問題についての認識が高まることを期待したい。
                       以上

(写真は寺島佐津子さん失踪関連地点の警察犬が止まったあたりで横田滋さんからめぐみさん失踪当時の警察犬の動きなどを聞く寺島イツ子さん。真ん中は大澤茂樹さん)
Gumizawa


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配慮

【調査会NEWS1171】(24.4.6)

一昨日4日、神奈川の現地調査を終えました。報告は次のニュースあたりで流しますが、今回は神奈川の失踪に「軍」というキーワードが関わっていることがあらためて認識された次第です。

 その報告はともかく、これまで7回現地調査をやってきて、ふと思ったことがあります。

 この現地調査にはほとんどの日程にそれぞれの県警・所轄署の担当者が同行しています。色々教えてくれる場合もあれば、聞けば答える、という人もいたり、場合によっては遠巻きにして見ている(監視している?)だけというときもあり、その違いを見ているだけでも結構面白いものです。

 ところで、現地調査ではご家族と地元の支援者、調査会役員や報道等関係者がぞろぞろ行って失踪に関連した現場でご家族に話を聞きながら議論します。このやり方に警察の人は違和感を覚えるようで、直接は言われなくても何度かそんな感じを持ったことがありました。

 確かに警察が被害者やその家族に同行してもらって現場検証などをする場合はかなり神経を使います。もちろん事情聴取なども他人のいないところで行いますから、現場での「しおかぜ」収録も含め、私たちの現地調査に違和感を感じるのは当然だと思います。そう感じる現場の方々を批判するつもりは毛頭ありません。

 しかし、特定失踪者というのは多くの場合が国家から捨て置かれたと行っても過言ではない存在です。政府が何もしない、場合によっては隠蔽しようとすらしていることが根本的な問題です。そんな状態だから所轄の人がご家族をときどき訪れて「何かありませんか?」と聞くだけということになってしまうのです。多くのご家族が「何かないかと聞きたいのはこっちですよ」と言っていますが当然でしょう。だからこそ、多少パフォーマンスに見えてもご家族を入れて議論する現地調査の意味もあると言えます。もちろん、そうすべきでないと思われるご家族の配慮はしているつもりで、調査はこのような形でやって皆で関心を持つことに意味があると思われるところに限定して行っています。

 現場が善意を持っていても上の方針が駄目であればどうしようもありません。どうしても根本的なものを変えていかなければならないと思います。

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2012年4月 5日

大政峰男さんご逝去

【調査会NEWS1169】(24.4.5)

 平成3(1991)年3月、韓国で失踪した大政由美さんのお父さん、大政峰男さんには病気療養中のところ、薬石効なく昨日4日朝逝去されました。謹んでご報告申し上げ、ご冥福をお祈り申し上げます。お通夜は本日5日午後6時から愛媛県伊予市のご自宅で、葬儀は明日6日午後1時より月心会館・新川(愛媛県伊予郡松前町北黒田877-1)にて執り行われる予定です。

 大政由美さんは不確定ながら北朝鮮にいるという情報がありましたが、確実な消息をお伝えできぬままにお別れすることとなってしまいました。誠に慚愧の念に堪えません。

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2012年4月 3日

拉致議連総会でDNAデータ偽造事件について議論

【調査会NEWS1169】(24.4.3)

 昨日4月2日の拉致議連総会で調査会代表荒木が先月23日に行った7件8人の人権救済申立と山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件について報告、議連としての対応を求めました。

 この折、出席していた警察庁外事課長は発言を求められ、「DNAの鑑定から漂着した遺体と一致したということだが、これをもってこの事件が解決したとは思っていない。DNAが一致した上で、事件の可能性も拉致の可能性も否定できない」と、あえて問題をはぐらかそうとしました。また、下着など様々な矛盾についても何一つ根拠を示すことなく、「私共の判断、あるいは下着の件、漂流の件、すべて専門家とも判断して、矛盾しないという結果をいただいている」と言いました。

 この警察の答弁については司会をしていた笠浩史議連事務局長が「今私も、(出席の)先生方も今の説明を受けて納得される方は全くおられないと思う。今後家族に警察が説明する場合議連としても同席するなり、拉致特委などでも質していきたい」と語りました。平沼議連会長も閉会の挨拶で「警察庁の方からも山本美保さんに関しては家族の方々に十分に説明する用意があるというが、これには議連のしかるべき人間も立ち会って、しっかりとフォローをさせていただきたい」と語りました。終了後与野党の議連役員から「しっかり取り組んでいこう」との声もいただいており、今後の取り組みが期待されます。

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2012年4月 1日

藤田春之助さん・隆司さんの人権救済申立書/関連情報

【調査会NEWS1168】(24.4.1)

 藤田春之助さん・隆司さん(昭和51年に埼玉県川口市で失踪した藤田進さんのお父さんと弟さん)の人権救済申立書のうち、共通部分以外のところについてお知らせします。なお、藤田進さんについてはご家族がICNKの日本のメンバーの協力のもと国連高等弁務官事務所に救済申立てを行いますが、それについての記者会見を4月5日に行います(申立書の次に記載)。

4 申立の理由

1.被害者藤田進の失踪時の状況

   藤田進(以下、進という)は、申立人である父春之助と母清子の長男として1956(昭和31)年6月16日、埼玉県川口市で出生し、失踪当時埼玉県川口市南町の申立人住所に居住していた。

   進は1975(昭和50)年4月東京学芸大学教育学部に入学し、東京都小金井市所在の同大学に自宅から通学していた。

   1976(昭和51)年2月7日午前6時30分〜7時頃、以前から言っていた新宿のガードマンのバイトに行くといって服を持って家を出たまま帰らなかった。後に家族は新宿にある全ての警備会社に電話で問い合わせたが進がアルバイトをしていた形跡は確認できず、それ以外の情報は入手できなかった。

 2.その後の状況

   2002(平成14)年9月17日の小泉総理訪朝で北朝鮮が拉致を認め、翌10月15日5人が帰国したことから家族は進の失踪も拉致の可能性があると考えるようになり、申立人である弟隆司(以下、隆司という)を中心に2003(平成15)年特定失踪者問題調査会(以下、調査会という)に調査を依頼した。調査会では同年9月24日、特定失踪者(北朝鮮による拉致の可能性の排除できない失踪者)として公開し、さらに後述の写真が入手、鑑定されるに伴い2004(平成16)年8月2日拉致の可能性の高い失踪者、通称「1000番台リスト」として発表し、大きく報道された。

3.拉致の可能性が高いと考えられる理由

  ア 失踪当日、進は以前から数回行っていた新宿のガードマンのアルバイトに出かけると言って自宅を出ており、実際に警備員用の制服らしきものを所持しているところを目撃されている。様子にいつもと変わる点はなく、進の自室についてもそれ以前と全く同じ状態であった。進は県下随一の進学校である県立浦和高校を卒業し、現役で東京学芸大学に入学し、体育の教師になる夢に向かって着実な学生生活を送っていた。自宅の遺留品も周辺の状況も家出や自殺を示唆するようなものは全くなかった。

  イ 北朝鮮からもたらされた写真
 TBSの吉田豊は2004(平成16)年6月脱北者Aから入手した拉致被害者と思われる人物の写真(添付資料1、以下「本件写真1」という)に着目し、調査会において分析をした結果進である可能性があるとの結論に達し、同月27日、本件写真1を隆司に交付した。この脱北者Aは別の脱北者Bから2003(平成15)年11月末ないし12月初め頃本件写真1を入手したとのことであり、脱北者Bは金正日に非常に近い要職にあったため幹部が書類を整理している際にこの写真を極秘の内に持ち出すことができたとのことであった。また脱北者Bによれば本件写真1の人物は平壌市龍城区域にある北朝鮮工作員教育施設の日本語教官であり、氏名は不詳だが日本人であることは確実との情報であった。

    隆司は本件写真1の人物が進と同一人物であるかどうかを確認するため、同年7月6日、鑑定を東京歯科大学法人類学研究室助教授(当時)橋本正次に依頼した。橋本正次助教授は隆司から鑑定の嘱託を受けた後、8月5日にはテレビ朝日の木村浩より、本件写真と同一人物を撮影していると思われる新たな写真(添付資料2、以下「本件写真2」という)を入手したため、これもあわせて鑑定資料とした。

    その結果、鑑定書では本件写真1、写真2の人物と失踪前の進の写真とでは法人類学的に見て同一人の可能性が極めて高いと判断するのが妥当と述べられるに至った(添付資料3)。

    なお、元北朝鮮工作員である安明進は自らが工作員教育を受けた金正日政治軍事大学で政府認定拉致被害者市川修一とともに本件写真1、2の人物を目撃したと証言している(添付資料4)。

ウ その他の情報

    2006(平成18)年1月10日付の「産経新聞」によれば進が失踪する直前に、さごが島沖を日本沿岸に向かう北朝鮮工作船があったことが確認されており、当時横田めぐみが拉致された頃捕捉された通信と交信状況が酷似していたという(添付資料5)。また、北朝鮮の工作活動に携わったことのある人物が、自ら進の拉致に関わったとも証言している(添付資料6)。

4.本件申立に至った理由

   申立人らは2004(平成16)年7月、(3)アの写真情報が明らかになった後、これをもとに政府が拉致認定をし、北朝鮮当局に所在確認を求め、また帰国への努力をするものと理解していた。しかし今日まで8年間が経過したにもかかわらず、現実には拉致認定はおろか写真についての政府としての評価すら家族には伝えられていない。

   2004(平成16)年8月には警視庁に対し、被疑者不詳(某)・国外移送目的略取誘拐の罪で刑事告発しているがその進展は伺われない。

   そこで、あらためて北朝鮮による拉致を念頭においた日本政府・警察庁の対応を求めるべく、本件申立に至ったものである。

添付資料
1 本件写真1のコピー
2 本件写真2のコピー
3 橋本正次・東京歯科大学教授(法人類学)による鑑定書
4 安明進著『新証言・拉致』(廣済堂出版)抜粋コピー
5「産経新聞」2006(平成18)年1月10日付コピー
6「週刊現代」2007(平成19)年4月21日号コピー

     2012年3月23日

■参考情報(ICNK記者会見)

 上に記載してあるように藤田進さんのご家族がICNK(北朝鮮の人道犯罪を止めるための国際NGO連合)の支援のもと国連高等弁務官事務所に救済申立てすることに関し、記者会見を行います。報道関係各位には御多忙のところ恐縮ですが取材賜りますようお願い申しあげます。

日時: 4月5日(木)15:00〜

場所: 衆議院第1議員会館 第5会議室(地下1階) 
※当日は係の者が1階入口のところで受付をしますので、お申し付けください

参加予定者(敬称略・予定登壇順)
 藤田隆司(藤田進さんの弟)
 加藤健(アジア調査機構代表)
 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
 ベン・ロジャーズ(ICNK共同創立者・イギリスの人権団体クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド役員)
 土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

主催: ICNK

連絡先: 加藤健 090-8961-7376

― ICNKについて ―
 ICNKは2011年9月、世界15か国40余の団体関係者が東京で一堂に会し結成された国際的連合組織です。北朝鮮人権問題の解決に向け活動している日本の各団体もICNKへの参画を表明し、共同行動を推進しています。参加している団体・個人は以下の通りです。

Advocates International Global Council
Amnesty International /アムネスティ・インターナショナル
Asia Justice and Rights
Asian Federation Against Involuntary Disappearances
Asian Human Rights & Humanity Association of Japan / アジア人権人道学会
Burma Partnership (Thailand)
Christian Lawyers Association for Paraguay
Christian Solidarity Worldwide/クリスチャン・ソリダリティー・ワールドワイド
Committee for Human Rights in North Korea (USA)
Conectas (Brazil)
Council for Human Rights in North Korea (Canada)
Freedom House (USA)
Free NK Gulag (ROK)
Free North Korea Radio (ROK)
Han Voice (Canada)
HH Katacombs (ROK)
Human Rights Watch / ヒューマン・ライツ・ウォッチ
Human Rights Without Frontiers (Belgium)
Inter-American Federation of Christian Lawyers
International Federation for Human Rights (FIDH)
COMJAN (Investigation Commission on Missing Japanese Probably Related to North Korea)/ 特定失踪者問題調査会 (Japan)
Japanese Lawyers Association for Abduction and Other Human Rights Issues in North Korea / 北朝鮮による拉致と人権問題に取り組む法律家の会
Jubilee Campaign (USA)
Justice for North Korea (ROK)
Kontras (Indonesia)
Liberty in North Korea - LiNK (USA)
Life Funds for North Korean Refugees / 北朝鮮難民救援基金(Japan)
Network for North Korean Democracy and Human Rights (ROK)
NK Intellectual Solidarity (ROK)
No Fence / ノー・フェンス(Japan)
North Korea Freedom Coalition
Odhikar (Bangladesh)
Open North Korea (ROK)
People In Need (Czech Republic)
PSALT NK (Prayer Service Action Love Truth for North Korea)
The Simon Wiesenthal Center (USA)
The Society to Help Returnees to North Korea / 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会(Japan)
Students Alliance for Human Rights in North Korea (ROK)
Young Defectors' Alliance for North Korean Human Rights (ROK)
Yuki Akimoto, Burmainfo (Japan)
Tomoharu Ebihara
David Hawk, Visiting Scholar, Columbia University, Institute for the Study of Human Rights, and author of Hidden Gulag
Ken Kato, Director, Human Rights in Asia (Japan)
Tomoyuki Kawazoe, Representative, Kanagawa Association for The Rescue of Japanese Kidnapped by North Korea / Member, Reporters Without Borders
Suzanne Scholte, Seoul Peace Prize Recipient & Defense Forum Foundation (USA)
Dr. Norbert Vollertsen

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