【調査会NEWS1168】(24.4.1)
藤田春之助さん・隆司さん(昭和51年に埼玉県川口市で失踪した藤田進さんのお父さんと弟さん)の人権救済申立書のうち、共通部分以外のところについてお知らせします。なお、藤田進さんについてはご家族がICNKの日本のメンバーの協力のもと国連高等弁務官事務所に救済申立てを行いますが、それについての記者会見を4月5日に行います(申立書の次に記載)。
4 申立の理由
1.被害者藤田進の失踪時の状況
藤田進(以下、進という)は、申立人である父春之助と母清子の長男として1956(昭和31)年6月16日、埼玉県川口市で出生し、失踪当時埼玉県川口市南町の申立人住所に居住していた。
進は1975(昭和50)年4月東京学芸大学教育学部に入学し、東京都小金井市所在の同大学に自宅から通学していた。
1976(昭和51)年2月7日午前6時30分〜7時頃、以前から言っていた新宿のガードマンのバイトに行くといって服を持って家を出たまま帰らなかった。後に家族は新宿にある全ての警備会社に電話で問い合わせたが進がアルバイトをしていた形跡は確認できず、それ以外の情報は入手できなかった。
2.その後の状況
2002(平成14)年9月17日の小泉総理訪朝で北朝鮮が拉致を認め、翌10月15日5人が帰国したことから家族は進の失踪も拉致の可能性があると考えるようになり、申立人である弟隆司(以下、隆司という)を中心に2003(平成15)年特定失踪者問題調査会(以下、調査会という)に調査を依頼した。調査会では同年9月24日、特定失踪者(北朝鮮による拉致の可能性の排除できない失踪者)として公開し、さらに後述の写真が入手、鑑定されるに伴い2004(平成16)年8月2日拉致の可能性の高い失踪者、通称「1000番台リスト」として発表し、大きく報道された。
3.拉致の可能性が高いと考えられる理由
ア 失踪当日、進は以前から数回行っていた新宿のガードマンのアルバイトに出かけると言って自宅を出ており、実際に警備員用の制服らしきものを所持しているところを目撃されている。様子にいつもと変わる点はなく、進の自室についてもそれ以前と全く同じ状態であった。進は県下随一の進学校である県立浦和高校を卒業し、現役で東京学芸大学に入学し、体育の教師になる夢に向かって着実な学生生活を送っていた。自宅の遺留品も周辺の状況も家出や自殺を示唆するようなものは全くなかった。
イ 北朝鮮からもたらされた写真
TBSの吉田豊は2004(平成16)年6月脱北者Aから入手した拉致被害者と思われる人物の写真(添付資料1、以下「本件写真1」という)に着目し、調査会において分析をした結果進である可能性があるとの結論に達し、同月27日、本件写真1を隆司に交付した。この脱北者Aは別の脱北者Bから2003(平成15)年11月末ないし12月初め頃本件写真1を入手したとのことであり、脱北者Bは金正日に非常に近い要職にあったため幹部が書類を整理している際にこの写真を極秘の内に持ち出すことができたとのことであった。また脱北者Bによれば本件写真1の人物は平壌市龍城区域にある北朝鮮工作員教育施設の日本語教官であり、氏名は不詳だが日本人であることは確実との情報であった。
隆司は本件写真1の人物が進と同一人物であるかどうかを確認するため、同年7月6日、鑑定を東京歯科大学法人類学研究室助教授(当時)橋本正次に依頼した。橋本正次助教授は隆司から鑑定の嘱託を受けた後、8月5日にはテレビ朝日の木村浩より、本件写真と同一人物を撮影していると思われる新たな写真(添付資料2、以下「本件写真2」という)を入手したため、これもあわせて鑑定資料とした。
その結果、鑑定書では本件写真1、写真2の人物と失踪前の進の写真とでは法人類学的に見て同一人の可能性が極めて高いと判断するのが妥当と述べられるに至った(添付資料3)。
なお、元北朝鮮工作員である安明進は自らが工作員教育を受けた金正日政治軍事大学で政府認定拉致被害者市川修一とともに本件写真1、2の人物を目撃したと証言している(添付資料4)。
ウ その他の情報
2006(平成18)年1月10日付の「産経新聞」によれば進が失踪する直前に、さごが島沖を日本沿岸に向かう北朝鮮工作船があったことが確認されており、当時横田めぐみが拉致された頃捕捉された通信と交信状況が酷似していたという(添付資料5)。また、北朝鮮の工作活動に携わったことのある人物が、自ら進の拉致に関わったとも証言している(添付資料6)。
4.本件申立に至った理由
申立人らは2004(平成16)年7月、(3)アの写真情報が明らかになった後、これをもとに政府が拉致認定をし、北朝鮮当局に所在確認を求め、また帰国への努力をするものと理解していた。しかし今日まで8年間が経過したにもかかわらず、現実には拉致認定はおろか写真についての政府としての評価すら家族には伝えられていない。
2004(平成16)年8月には警視庁に対し、被疑者不詳(某)・国外移送目的略取誘拐の罪で刑事告発しているがその進展は伺われない。
そこで、あらためて北朝鮮による拉致を念頭においた日本政府・警察庁の対応を求めるべく、本件申立に至ったものである。
添付資料
1 本件写真1のコピー
2 本件写真2のコピー
3 橋本正次・東京歯科大学教授(法人類学)による鑑定書
4 安明進著『新証言・拉致』(廣済堂出版)抜粋コピー
5「産経新聞」2006(平成18)年1月10日付コピー
6「週刊現代」2007(平成19)年4月21日号コピー
2012年3月23日
■参考情報(ICNK記者会見)
上に記載してあるように藤田進さんのご家族がICNK(北朝鮮の人道犯罪を止めるための国際NGO連合)の支援のもと国連高等弁務官事務所に救済申立てすることに関し、記者会見を行います。報道関係各位には御多忙のところ恐縮ですが取材賜りますようお願い申しあげます。
日時: 4月5日(木)15:00〜
場所: 衆議院第1議員会館 第5会議室(地下1階)
※当日は係の者が1階入口のところで受付をしますので、お申し付けください
参加予定者(敬称略・予定登壇順)
藤田隆司(藤田進さんの弟)
加藤健(アジア調査機構代表)
荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
ベン・ロジャーズ(ICNK共同創立者・イギリスの人権団体クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド役員)
土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
主催: ICNK
連絡先: 加藤健 090-8961-7376
― ICNKについて ―
ICNKは2011年9月、世界15か国40余の団体関係者が東京で一堂に会し結成された国際的連合組織です。北朝鮮人権問題の解決に向け活動している日本の各団体もICNKへの参画を表明し、共同行動を推進しています。参加している団体・個人は以下の通りです。
Advocates International Global Council
Amnesty International /アムネスティ・インターナショナル
Asia Justice and Rights
Asian Federation Against Involuntary Disappearances
Asian Human Rights & Humanity Association of Japan / アジア人権人道学会
Burma Partnership (Thailand)
Christian Lawyers Association for Paraguay
Christian Solidarity Worldwide/クリスチャン・ソリダリティー・ワールドワイド
Committee for Human Rights in North Korea (USA)
Conectas (Brazil)
Council for Human Rights in North Korea (Canada)
Freedom House (USA)
Free NK Gulag (ROK)
Free North Korea Radio (ROK)
Han Voice (Canada)
HH Katacombs (ROK)
Human Rights Watch / ヒューマン・ライツ・ウォッチ
Human Rights Without Frontiers (Belgium)
Inter-American Federation of Christian Lawyers
International Federation for Human Rights (FIDH)
COMJAN (Investigation Commission on Missing Japanese Probably Related to North Korea)/ 特定失踪者問題調査会 (Japan)
Japanese Lawyers Association for Abduction and Other Human Rights Issues in North Korea / 北朝鮮による拉致と人権問題に取り組む法律家の会
Jubilee Campaign (USA)
Justice for North Korea (ROK)
Kontras (Indonesia)
Liberty in North Korea - LiNK (USA)
Life Funds for North Korean Refugees / 北朝鮮難民救援基金(Japan)
Network for North Korean Democracy and Human Rights (ROK)
NK Intellectual Solidarity (ROK)
No Fence / ノー・フェンス(Japan)
North Korea Freedom Coalition
Odhikar (Bangladesh)
Open North Korea (ROK)
People In Need (Czech Republic)
PSALT NK (Prayer Service Action Love Truth for North Korea)
The Simon Wiesenthal Center (USA)
The Society to Help Returnees to North Korea / 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会(Japan)
Students Alliance for Human Rights in North Korea (ROK)
Young Defectors' Alliance for North Korean Human Rights (ROK)
Yuki Akimoto, Burmainfo (Japan)
Tomoharu Ebihara
David Hawk, Visiting Scholar, Columbia University, Institute for the Study of Human Rights, and author of Hidden Gulag
Ken Kato, Director, Human Rights in Asia (Japan)
Tomoyuki Kawazoe, Representative, Kanagawa Association for The Rescue of Japanese Kidnapped by North Korea / Member, Reporters Without Borders
Suzanne Scholte, Seoul Peace Prize Recipient & Defense Forum Foundation (USA)
Dr. Norbert Vollertsen