逮捕状
以下は調査会NEWS 474(19.2.23)に書いたものです。
一昨日くらいから蓮池さん拉致に関わった北朝鮮工作機関の指導員2人のニュースが流れています。逮捕状をとり、写真や似顔絵を公開したということですので、逮捕も近いのか、と考えてみると2人は北朝鮮にいるのですから、結局は発表して終わりということなのではないかと、皮肉の一つも言いたくなります。
素朴な疑問なのですが、この2人の写真や似顔絵はどこから出てきたのでしょう。現在70〜80ということですから、顔立ちから見て事件の頃に撮影された写真だと思います。1970年代の貿易代表団として日本に出入りしていたころのものだとすると、当時からマークされていたことは明らかで、一度に何百人もやってきていたわけでもない北朝鮮の人間を警察が追うのは、現場の方々の努力は大変だったでしょうが、組織の能力からすれば十分にできたはずです。
報道ではこの2人、他の人間の拉致も関与した可能性があるとのこと。そんなにやっていたなら当時何で分からなかったのでしょう。富山県警の某幹部は「高岡の未遂事件(昭和53年8月)が北朝鮮による拉致未遂と分かったのは大韓航空機爆破事件(昭和62年11月)の後だ」と語ったそうです。そんなはずはないのですが、いずれにしても事件当時警察がどこまで分かっていて、どこから分かっていなかったのか、明らかにする必要はあると思います。
それともう一つ、この2人がやってきて蓮池夫妻の拉致に関与し、その後の監視や教育まで担当したとなると、当然蓮池夫妻のどちらかをある目的に従って調査した上ねらいをつけて拉致したということになるはずです。昨年の「女性を狙ったら男がついてきた」と言った報道とは矛盾します。もちろん、海岸にいたアベックを手当たり次第に連れてきたということでもないでしょう。
少しでも「進展」するのは良いことですが、拉致問題についてはこれまでの警察の対応に過ちがあったことは当然です。もちろん、当時の国内の状況は警察の責任だけに押しつけられるものではなく、それ以前に政治の責任があることは間違いないのですが、いずれにしても、どこに問題があったのか、今何が足りないのかは一刻も早く国民の前に明らかにすべきではないでしょうか。責任に関わる部分だけを抜いて情報を出しても全体像は見えません。
もちろん、それができなかったとしても警察が平壌に踏み込んでこの2人を逮捕してきて自白させればいいのですが。
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