2/26に東京(初台)で開催された、サムライ・インターナショナル株式会社主催のセミナー「究極のマネタイズ!?アプリの事業売却方法とグロースハック!」の参加レポート(その2)をお送りします。
本記事では株式会社Nagisaさんの講演をまとめています。バグレポート、プッシュ通知などに使える、海外のお役立ちツール、また「49人目の少女」はどこの広告サービスからいくらくらい収益があがっているのか、具体的なeCPMなどの収益額、貴重な情報がたくさん公開されました。
Nagisaについて
株式会社Nagisa(http://nagisa-inc.jp/)という会社で、設立は3年ほど前で、今15名くらいでやっております。
一番最初に出したのはメッセージアプリのBaloonというアプリで、それは失敗に終わってしまったのですが、そこからいくつかアプリを出していて、今累計300万ダウンロードという状況です。
日記アプリのリブリ、写真から動画をつくるアプリのSLIDE MOVIESなどがメインで、月間で50〜60万ダウンロード増え続けています。
プロジェクトの役割
プロジェクトの役割としては、基本的にはディレクターは全部担当して進めていく、デザイナーはUI/UXとマーケティング(グロースハック)を担当、プログラマーは開発、運用、マーケティング(グロースハック)を担当しています。
企画~デザイン・運用の進め方
企画の進め方としては、まず1つのテーマを必ず決めて徹底的に調査とアイデア出しをしています。国内の事例を調べたり、国内外の総合ダウンロード数規模、UI/UXの調査をしていたり。
デザインから開発運用まで、どんなツールを使って開発してるのかというと、UI、UXについてはペーパープロトで紙に書いてつくっています。
ユーザーテストの配布はiPhoneではTest Flight、AndoroidではDeploy Gate、
今はこの2つを使ってユーザーさんにテストしてもらったり社内のデバッグを行っています。
あと、Crashlyticsという公開しているアプリのバグレポートを送ってくれるサービスがありまして、弊社の場合、一日に全アプリで数10件〜100件くらいレポートが送られてきます。
Crashlyticsのレポートが本当に便利で、プログラマーがこのレポートを見るだけで、どんなバグで落ちているなどが分かるので、それを基に改善しています。
(※Crashlytics:クラッシュレポート報告サービス、無料で利用可能。square、paypalなども導入)
運用面ではGoogle AnalyticsとPush Wooshというサービスを使っています、Google Analyticsはご存じのとおりアクセス・ユーザー分析で、Push Wooshは海外のプッシュ通知サービスです、プッシュ通知は眠ってしまっているユーザーをゆすり起こすという目的で使っています。
(※Push Woosh:30000以上の導入があるプッシュ通知サービス。月39ドル~)
Push Wooshは毎月3000円でプッシュ通知が打ち放題だし、国内外のセグメントでプッシュ通知を出し分けたり、プッシュ通知の音を変えられたり、かなり融通がきくのでオススメです。
弊社のアプリは約300万ダウンロードくらいの規模ですが、全アプリに入れて使っています。例えば、プッシュ通知は日本国内だと10~20万円かかるサービスが多いですが、海外に行けば本当に安いサービスがあったりと、ツールは安くて良いものを積極的に使った方がいいと感じます。
6つのマーケティング手法
最後にマーケティング、やれることは妥協せずに徹底的に全部やるみたいなところで、本当に地べたを這うようなことをやっています。
1、アプリのストア最適化。
これはアプリのネーミングキーワード、ディスクリプションのところ。レビューの星の数とかそういうところも気にしながら最適化をしていて、一見アプリに関係ないワードでも、検索すると2〜3位にくるようなワードは取り入れていたり。
1日2,000ダウンロードされているアプリでも、ASO対策をちゃんとやらないと例えば2分の1とか3分の1にダウンロード数が減ってしまいます、
特にiPhoneでアプリを開発していて、1日500ダウンロードくらいあるけどASO対策やってないという場合は、ASOで2~3倍まで自然に数字が伸びるはずなので必ずやったほうがいいと思います。
2、メディアやレビューサイトへのPR。
アプリに特化したレビューサイトに掲載してもらうと数1,000ダウンロード伸びる場合もあるので、ここもお願いするような形でメールを送るのは良いと思います。
3、ユーザーがユーザーを呼ぶ仕組み。
アプリをやる中でユーザーがストレスを感じるところを逆にうまく利用しながら、ソーシャルメディアを介した、ユーザーがユーザーを呼ぶ仕組みを用意しています。
4・5、自社リワード、自社間送客。
自社リワードというのは「このアプリダウンロードしてくれたらアイテムを無料であげるよ」という感じで自社アプリ間でユーザーを送客しています、
自社間送客はこれもアプリの設定画面に「その他のおすすめアプリ」というボタンを押すと自社のアプリが全部一覧で見れるようにしていたりということです。
6、他社アプリと相互送客。
他社アプリとバーターで相互送客をしています、世界700万ダウンロードされているFatorというカメラアプリと、自社のSLIDE MOVIESというアプリでクリックを交換して海外プロモーションを行っています。
SLIDE MOVIES⇒Fator 30,000クリック
Fator⇒SLIDE MOVIES 60,000クリック
国内でも相互送客については、お金をかけずにプロモーションをするという意味で、ランキングを上げてさらに人数を増やせる便利な手法なので積極的にやっています。
この6つを徹底的にやるということをうちは心がけていて、ここがちゃんと出来れば10万ダウンロードぐらいはあっという間です。
ケーススタディ(ゲーム):49人目の少女
49人目の少女っていうアプリ、田舎から来た少女がアイドルになるために、秋葉原のオタクのファンたちに投資をしてもらって、どんどんきれいになっていくみたいな放置ゲームです。
リリースから50日間でダウンロード数が約40万、DAUは1.5万となっていますが、シリーズ全部含めるとDAUは10万くらい。
PVはメインの1画面で100~200万PVくらい、全画面での累計PVでいくと1億PVは超えていると思います、
収益としてはリリース50日で1500万円くらい、今の段階の収益は累計2000~3000万円という状況です。
ソーシャルメディア上で、リリース50日で12万6000回シェアされています。シェアの割合は、高校生や大学生ユーザーが多かったのでTwitterが90%くらいです。ここが結構ポイントで、先ほどお話した「ユーザーがユーザーを呼ぶ仕組み」を入れていることでたくさんの人にシェアされています。
アプリの中でファン(オタク)が9秒に1回発生するのですが、ユーザーにその9秒という時間的拘束を与えて、ストレスポイントを意図的に盛り込んでいます。
そして、アイドルが進化したあとにシェアをしてくれたら、ファン(オタク)が自動的にボーナスでもらえるという仕組みにしています。
ゲームをクリアするのに大体9時間かかるのですが、Twitterなどでシェアをすることで、2~3時間クリアまでの時間が短縮できるようになっています。
ケーススタディ(ゲーム以外):SLIDE MOVIES
SLIDE MOVIESという写真に好きな音楽を追加して動画を作成するアプリ。12月12日にリリース(iPhoneのみ)して、現在累計70万ダウンロードくらい。
1日10,000~1,5000ダウンロードされていて、
動画の作成数が100万動画以上、シェア数が30万回以上されています。シェアされている割合はLINEが多くて65%くらい、残りはそれぞれ10%程度です。
このアプリは写真を10枚選択してそれを動画に変換する。動画に変換した際に音楽を選択するのですが、最初は選べる音楽が5個しかない。
ユーザーは5個でも満足はするのですけど、「音楽がもっと欲しい」という心理を利用して、シェアをすることで選べる音楽が倍に増えるという仕組みを入れています。
1日数100回は、Twitter、LINE、Facebook上がメインでシェアされていて、そこでシェアされていることでダウンロード数も安定的に伸びています。
プロモーションは基本やっていないのですが(1回だけ1万ダウンロードほどブーストをうった)、AppStoreのカメラカテゴリのトップ10以内、良い時は2~3位をキープしていて、かなりシェアの施策が効果的だと感じています。
(参照:AppAnnie)
マネタイズ:49人目の少女
最後マネタイズの話です、「49人目の少女」はマネタイズポイントをもりもりに入れています。
まず一番右上の「ゲームをしながらオタクを待つ」というボタンは、AppliPromotionという広告サービスで、ボタンがクリックされると29円入るみたいな感じです。
画面上部の真ん中にあるアイコン型の広告はGAMEFEATを入れていて、アプリが1インストールされると220円くらい収益が入ります。我々はカジュアルゲームを提供してるのでゲーム広告との相性が良くて、高い収益性になっています。
一番下のバナーがAmoAdとNendを、eCPM(広告1000回表示したときの収益額)の高い方を優先して最適化をして出しています。大体eCPMが350〜500円くらいです。
他は自社でつくった、テキストポップアップ型の広告、CPI型(インストール課金型)の広告案件を回していて大体1インストール150円~500円くらいの収益になります。
ユーザーがアプリを5回開いたときに1回だけ広告を出すとか、どこかの画面から戻ってきたタイミングで広告を出すとか、ユーザー行動を意識して広告を表示しています。
「49人目の少女」では課金アイテムも入れています。ここまで広告がたくさんあると、課金は全然されないんじゃないかと半信半疑だったのですが、2〜3000万円の全体収益のうち300万円くらいは課金収益という結果だったので、課金も入れてよかったという感想です。
収益経路別のデータとしては以下です。(※12月末までの数字なので全体収益が1500万円になっている)
AmoAdとNendのバナーが一番大きく、アプリ内課金+自社広告(テキストポップアップ広告)も貢献しています。
特徴としてはAmoAdとNendのバナーの部分、放置ゲームのためユーザーの滞在時間が長くなるので、CTR(クリック率)が高く、その先でのCVRも高いのでeCPMが350〜500円も出ている。(※効果が良いメディアは良い単価がもらえる)
多分ここまで収益性が高くでるアプリってあまりないと思いますが、本当に育成(放置)ゲームはユーザーに受けられるものをつくることができれば、大きくマネタイズができると思っています。
ゲームエンジン
「49人目の少女」のゲームエンジンを無償で提供して、IP(コンテンツ権利)を持っている人たちと組んでアプリをつくる取り組みを行っています。
有名なIPじゃなくても全然大丈夫で、イラストやコンテンツを持っていれば無料でアプリがだせる。コンテンツを持っている人と、おもしろい企画のアプリを一緒にやろうというスタンスで取り組んでいます。
ポイントは5つ、
1、イラストだけ提供いただければ大体1週間で完成します。
2、広告の申請・運用は全部Nagisaで代行します。
3、プロフィットシェアは6:4。(Nagisa6:コンテンツ提供者4)
4、Nagisaの300万ダウンロードのアプリ群から送客します。
5、Nagisaのアプリからリワードで送客します。
ゲームエンジンの問い合わせについては以下のメールアドレスまでご連絡ください、またエンジニアの採用も積極的に行っていますので、もし興味がある方がいたらお気軽にメールいただけたらと思います。
Nagisa問い合わせ先:
[email protected]
取材協力:株式会社Nagisa、サムライ・インターナショナル株式会社
聞いてみて感想:
海外の良ツールの情報など参考になった方が多いのではないでしょうか。それにしても放置ゲーム1本で2~3000万円稼ぐことが出来るという世界はすごいですね。
最近も放置ゲームつくってAppStoreでブーストかけるというようなアプリもちらほら見る気がします。海外でも放置ゲームのジャンルが流行り始めたら、すごいことになりそうです。
別のパートも以下からご覧いただけます。
レポート1:数1,000万円でアプリの売却に成功!アプリM&Aが成立するまでの半年間の記録。