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そろそろ化学物質過敏症の話を

さて、僕は化学物質過敏症患者と広言して執筆をしています。
そこで、そろそろ皆さんに、化学物質過敏症とは何かを知ってもらいたいと思います。
以下長文ですが、我慢して読んでいただけると幸いです。

化学物質過敏症とは、微量な有毒物質で体に不調を起こす病です。
反応する物質は人それぞれ、解剖学的にあり得ないほどの微量でも発症するのが特徴。さらに、まったく未体験の物質でも反応することもあります。そして反応にも個人差があり、人それぞれという感じです。
僕の場合は塗料やインクに含まれるトルエン、農薬を含む殺虫剤、煙草の煙などに強く反応します。
そして症状としては倦怠感、目眩、呼吸不全となっていきます。
時折目の粘膜が痛くなることもあります。

とても曖昧模糊としていて、二重盲検法での再現性がないなど、科学的に立証されておりません。
ゆえに多くの医師から「心因性だ」と言われて、無意味な精神療法を強いられる患者も少なくありません。

二重盲検法とは、患者に知らせず物質を与えて反応を見る方法で、有害とされる物質と無害とされる物質をそれぞれ与え、反応を見る検査です。
これは患者に事前情報を与えず、純粋な肉体反応を見るための検査法として確立しています。
そして化学物質過敏症患者は、この検査法だと「反応するはずの濃度」でも反応しないことがあるのです。

ではなぜ自覚しないと反応しないのに、自覚すると説明できない微量でも反応するのか?

これはパブロフの犬で説明できます。

wikipediaから参照します。

パブロフが行なった実験は、以下のようなものである。
イヌにメトロノーム(ベル・ホイッスル・手拍子・足踏みと言う説もある)を聞かせる。
イヌにえさを与える。イヌはえさを食べながら唾液を出す。
これを繰り返す。(上記の二つのプロセスを条件付けという)
すると、イヌはメトロノームの音を聞いただけで、唾液を出すようになる。
これがいわゆる学習と異なるのは、唾液の分泌が無意識的で自動的な調節に依存している点である。

以上で、患者が意識すると反応するが、意識しないと反応しないことが説明できるのです。

患者が意識する場合、多くは嗅覚によります。
嗅覚は最も原始的な感覚器官で、原生動物が環境の良し悪しを判断するためにそなわった器官です。
ゆえに脳よりも先にあったので、脳の有害物質フィルタは、嗅覚情報だけは通してしまいます。
そして嗅覚は非常に敏感で、有害物質が体に悪影響を与える前に警告を発してくれるのです。

匂いと体調悪化が条件付けされているから、実際に体調を悪くする濃度未満でも、体が反射反応を起こすのです。

「科学的に証明できない」と主張する医師は、おそらく「パブロフの犬」を知らないのでしょう。

21世紀の新たな疾病を説明するのに、19世紀の手法を取り上げねばならないとは、まだまだ医学は未開の分野です。
二重盲検法は万能ではないのです。

化学物質過敏症は、精神的なものではなく、有害物質により条件付けされた体の防御反応なのです。
だから治療するには、条件付けが消えるほど長い間、化学物質から離れていなければならないのです。

そして、化学物質過敏症が緩解しても、依然として化学物質は体を害し続けるのです。
化学物質過敏症を克服して「本屋にも入れた」と喜んでいる人もいます。
確かにその人にとっては嬉しいことでしょう。物書きである僕が本屋に入れないなんて、拷問に等しいです。
でも、条件付けが解かれただけで、化学物質が依然として体に害を与えていることは忘れないでもらいたいです。
化学物質からは離れる、それが人生で一番大事なことなのですから。

石油は元々有害物質です。それを原料にして、完全に無害な物質など作れるのでしょうか?
自然界にさえ有害物質はいっぱいあるのに。
人間は嗅覚で有害物質を避けてきた動物です。
だから嗅覚が最も鋭敏に反応するのです。

僕は喫煙者が通った跡なら、50メートル離れても分かります。
喫煙所なら、風下でも100メートル離れても苦しいです。(駅端にある喫煙所から反対の端にいても駄目)

そして化学物質過敏症患者は今後さらに増えていくでしょう。

なにしろ複合汚染だからです。
ひとつの物質だけなら無害でも、無数の発生源がある現状では、人間はおよそ健康ではいられません。
なんらかの不具合が生じていることでしょう。自覚があるかないかは別にして。

最近は化学系企業が「天然成分配合」をうたう商品を出すようになりました。
企業は知っています。自分たちの製品が有毒物質であることを。
だから「口に入れないでください」とか書かれているのです。
もし有害な製品を流通させていたことが公になったら、全世界がパニックになるでしょう。
だから少しずつ天然成分の割合を増やしているところでしょう。今は過渡期です。

僕にできることは警告だけです。

化学物質から離れましょう。

できれば僕の著書も、トルエンを使わないで大豆インクにしてもらいたいです。
いつかはそう要求できるだけの大物になりたいと願っております。

長文をお読みいただきまして、ありがとうございました。
少しでもあなたの健康に役立てれば幸いです。

なお、医学的に間違いなどがあったら、よろしくご指摘くださると幸いです。
少しでも正確にこの病気のことを知ってもらえるなら歓迎します。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

まず、「化学物質から離れましょう」という結論には反対です。

ブラインドテストの必要性
http://members.jcom.home.ne.jp/natrom/blindtest.html

それは社会復帰の可能性を絶つ方向に誘導するものだからです。
「自分は文明と隔絶した暮らしをする」とすれば良くても、
他人に対して「科学文明から遠ざかりましょう」とするのは誤りです。
あくまで個人が知りうる情報を知ってから、自ら選択することです。


現代医学が正しい、正しくない、二つの立場から考えてみます。

1.現代科学(医学)が正しい場合、二重盲検法による証明ができない
つまり、化学物質過敏症は化学物質が原因ではない可能性が極めて高い。

2."パブロフの犬"理論が正しい場合
"化学物質がある"という状態に反応するというのは、化学物質が原因なのではなく
医学的に解釈すると心の問題であると考えるのが極めて合理的です。
(医学用語で身体表現性障害といいます)
これは肉体的には問題が無いので、精神医学的な手法を用いて治療するべきです。

また"匂い物質が原因である"というのは極めて疑わしいと思います。
化学物質過敏症支援センターにもその記述は見当たりませんし、
化学物質過敏症を公的に支援しようという性格の機関がこの説を採用していない
というのが逆説的にこの仮説の不確実さを立証しているように見えます。
ちなみに、精神疾患患者が感覚鋭敏になることは広く知られています。

なお、"身体症状ある"ということに疑いはありませんが
最初に選択するべきなのは現代医学による治療であると考えますし、
その原因の解明には客観的に反証可能な、科学的手法を用いるべきです。

「自分の目で見たものしか信じない」などと言ったり思うのはよしなさい
http://blackshadow.seesaa.net/article/116634963.html

「私は実際に見た/体験した、だから○○は正しい/△△は効く/□□は存在する」
というニュアンスの言葉を口にする人をちょくちょく目にする。
(略)
「自分の経験・体験」を絶対視する考え方というのは、
ナイーブを通り越して危険ですらある考え方だ。
(略)
日常体験から乖離した「○○という体験/現象」を経験させた後で
「都合のいい考え」を刷り込むというのは初歩的な洗脳のテクニックである。
(略)
たとえ疑問を抱いたとしても、その「体験/現象」を説明する言葉が
自分の中に存在しなければ相手の言葉に反論することは出来ず、
それを鵜呑みにするしか無いからだ。


臨床環境医学と化学物質過敏症
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20060621

臨床環境医の主張
http://members.jcom.home.ne.jp/natrom/pathologicalscience.html

また、化学物質過敏症を唱えている学者は
科学的根拠の無い人や、ホメオパシー、メガビタミンなどの
トンデモを主張する人、まともでない人が多いです。
これは疾病自体を直接否定する材料にはなりませんが、
化学物質過敏症に対する世間的な信頼は低下します。
これと非常に類似性が高い言説として、ホメオパシーが挙げられます。

ホメオパシーがようやく英国から追放されそうな件について
http://blackshadow.seesaa.net/article/142410002.html

ホメオパシーの危険性は、そのイデオロギーが、「既存の科学、現代医療のことごとくを
否定した上にしか成立しないように構築されている」という点にある。
(略)
ホメオパシーは自らの理論を信用させるために、
他者(この場合は通常医療や科学)を貶し信用に傷を付けることで、
相対的に自分の地位を高めるという手段をとる。
もちろん真に実力があるのであればそんなことをする必要はない。
単に自身の効能を売り込めばよいだけなのだが、
ホメオパシーにはプラセボ以上の効能は全くない。
そこで現代医療を貶めることができるネタには、
その真偽なぞお構いなしに端から飛びついて信者の不安を煽るための材料とするのだ。


もう一点、天然、天然と言われていますが。
「化学物質は危険で天然成分は安全」というのは全く根拠がありません。
同じ効用を持つものは天然・合成に関わらず基本的に同じ問題を持ちます。
また化学物質過敏症の患者の中には天然素材、無垢材であっても
その匂いが更に化学物質過敏症を誘発させたと書いている人もいます。

少し離れますが、コエンザイム、マイナスイオンなど
大企業も広く用いているものでも根拠のないものもあります。


科学を否定する立場を取ることで、
客観的に理論を構築することは困難になります。理論は科学的な思考だからです。

>ますくわーどさん

コメントありがとうございました。

まず最初に。
僕は原因不明の体調不良に襲われたときに内科へ行きました。
しかし異常はありませんでした。
次に精神科へ行きました。
心因性だとして薬をもらいました。
飲んでもまったく改善しませんでした。
化学物質を遠ざけました。
劇的に体調が回復しました。

以上を踏まえていきましょう。

>ブラインドテストの必要性

知人に杉花粉症の人がいます。
その人は杉花粉が飛ぶ映像を見ただけでくしゃみをします。
ではその人は杉花粉症ではないのか?
あなたの挙げたのは特例の普遍化という詭弁です。

>現代医学が正しい、正しくない、二つの立場から考えてみます。

現代医学とおっしゃいますが、二十年前は杉花粉症も心因性にされてましたが?

>"化学物質がある"という状態に反応するというのは、化学物質が原因なのではなく
医学的に解釈すると心の問題であると考えるのが極めて合理的です。
>(医学用語で身体表現性障害といいます)

なんら根拠が示されていないのに合理的と言われても困ってしまいます。
実際化学物質過敏症患者は有害物質を浴びている訳です。
それで体調がおかしくなったのを心因性と言われても、どこが合理的なのでしょう?

などといちいちツッコミを入れていたら切りがないので、ラストに飛びます。

>科学を否定する立場を取ることで、
>客観的に理論を構築することは困難になります。理論は科学的な思考だからです。

僕は科学を否定していません。
どこで否定していますか?
ところで科学では「飛行機が飛べることを証明できない」という事実をご存じですか?
あなたは科学的に立証できないから「飛行機は飛べない」と言いますか?
人類はいまだに空気の物理的挙動さえ科学的に説明できず「理想気体」という架空の気体をもって公式に当てはめているに過ぎません。
科学を知っている人間なら「科学的に証明できないから間違いだ」などとは言わないはずですが、いかに?

私は化学を専攻する大学院生です。
半年前くらい前までは、化学物質過敏症?何それ?って感じでした。本当にそんな病気あるのか知らないけど、自分は有機合成する時に溶媒をガンガン使うから、そんな病気になったら就職も出来ないし学校にも行けなくなるから相当やばいよな〜とは思ってましたが、最近それが現実になりました。

最初は症状が出ても気のせいだろうと思いました。でも、本を読んでてもインクの臭いで気持ち悪くなるし、薬局って臭い嗅ぐと、動悸と不整脈が数日間止まらなくなり、噂のあの病気になっちゃったんだと確信しました。1ヶ月間、山奥にこもり避難生活をしたおかげで今はほとんど完治に近い所まで回復していますが。。

私も最初は親にも信じてもらえませんでしたよ。理解してもらえないのはつらいですよね。

ネットで色々調べていると化学物質過敏症に大してやたらと否定的な人がいて腹がたつ事がしばしばあります。
そういう人は心因性だと言い張る人がほとんどですが、言いたい人には言わせておきましょうよ。

私も心因性も少しはあると思いますが、完全に心因性じゃない事は私達患者がよくわかっていますよね。

知らないくせに、それこそ大した根拠にもならない理屈をたくさん並べていちいち人が不快になるような意見を書く人は相手にしない方がいいと思うんです。

どうせ、いくら反論したってそういう人を納得させるのは無理なんですよ。

そういう人達は、完全に心因性だと思いこんでるのだから。。
そういう人達は、医者なのか、科学者なのかは知りませんが、もしそうだとしたなら、どうせ大した医者でも、科学者でもありませんよ。優秀な専門家なら、同様な条件で不定愁訴を訴える人達が大勢いるのに、軽々しく過敏症の存在を否定したりせず、もっと慎重に物を言うと思います。

言わなくても同じ事を思っていると思いますが、そんな人を相手にする必要も価値もあまり無く、エネルギーの無駄遣いじゃないでしょうか?それに、難しい事ばっかり言われても、役に立たない事ばかりで理解するの面倒ですしね。

私はそう思います。


塩ビのニオイで長期微量に蓄積、そして改装した所に引越して、今までの原因不明、二つに物が見える、激痛をともなう腰痛で仰向けに眠れない、1歳と2歳の子供達も、鼻血、かたちのあるウンチが出た事がない、鼻詰まり、全てがシックハウス症候群、化学物質過敏症と判明しました。私は母子家庭です。生んだ子供達をこんな風にしたくなかった。悲劇です。改装したてに2回入って発症しました。二回目の引越しは、冬場で電気マットで揮発を上げて寝て、引越し1週間で救急車を呼びました、今は化学物質過敏症と診断してくれた病院で解毒中です。発症したてで、数々の症状が出る位毒が溜まっているので、大変です。嗅覚がとても過敏になっていて、今の寒さの空気が胸奥深くに入ってきて、とても怖いです。南極の氷がゴボゴボって感じで、多分、喋れないだけで子供達も一緒に曝露で、昨夜も活性炭のマスクを付ける様に、ずっとそんな感じで眠れてないし、家族からは避難中ですが、理解がなく、ニュービーズを平気で自分達は使うと…。心を落ち着けて住める家がありません。
益々、酷くならないには、どうすれば良いでしょう?今、葵東さんは、体調は大丈夫ですか?

>大阪ママさん

返事が遅くなって申し訳ありません。
今日の書き込みのように、化学物質過敏症でダウンしてました。
そちらみたいに入院するほどではありませんが、日常生活はかなり制限されますね。

嗅覚が敏感になるのは有害成分を早期に検知して体が防衛反応を起こすためだと僕は思っております。
化学物質過敏症の症状の多くが身体機能を低下させる方向に働きます。
呼吸を低下させて有害物質をそれ以上入れないようにしてるんじゃないでしょうか?

合成化学物質が川に垂れ流しになっていた時代、魚に悪影響がありました。
魚は水で呼吸しています。
最近は合成香料が増えましたね。
気化した合成化学物質は肺から血液にとけ込みます。
現代日本の人間たちは汚染された水に住んでいる魚と同じ状況なんです。

おかしいのは僕ら患者じゃない。
周辺環境の方なんです。

まず敏感な人間たちが反応して防衛します。
その人たちは有害物の摂取を避けるので後世に悪影響は残しません。

問題は鈍感な人間たちです。
汚染された川では奇形魚が増えました。
合成化学物質を危機意識なくとり続けている人たちは、子孫に悪影響を残すでしょう。

そうなっては遅いんです。

一度傷ついた遺伝情報は二度と戻りません。
だから今から警鐘を鳴らさなきゃならない。
だから僕は山火事に立ち向かうハチドリのように声をあげるのです。

石油という有害物質から無害な物質ができると思いますか?
今使っている洗剤や柔軟剤には注意書きにきっと「口に入れないでください」と書いてあるでしょう。
口に入れたら危険な洗剤や柔軟剤が気化した成分を吸い込んでも無害だと本当に思いますか?

メーカーは言うでしょう。
「商品の有害性は問題にならないほど軽微だ」と。
でもその商品がそこら中にあったら?
複合汚染の害はまったく検証されてません。

大阪ママさんへ

僕に言えることは「汚染地域から逃げろ」だけです。
悪影響はないと思った郊外ですらダメでした。
僕の認識でさえまだまだ甘いんです。

町から離れると不便になるでしょう。
でも汚染されていない空気は何物にも代えられません。
東京とか大阪から離れるべきなんです。

経済的理由で僕はさらに空気がきれいな場所へ引っ越すわけにはいきませんが、できるなら車も農地もない地域に移住したいです。
農地がダメなのは最悪な化学物質である農薬を使うからです。
さらに野焼きでビニールを焼いたりもします。
松林も避けましょう。
松食い虫の殺虫剤を空中散布しますから。

家は木造は止めましょう。防虫剤で汚染されてます。
建築基準法でシロアリ駆除剤の使用が義務づけられてるんです。
もし避けたかったら我が家の様に下回りを全部檜材にしなければなりません。
もちろん接着剤の塊である集成材なんか論外。
全部無垢材です。
メチャクチャ高いです。
住宅ローンが凄いことになりました。

この病気、離島にでも避難できなければ「お金で健康を買う」しかないんです。

だって周囲の人間も家も全部汚染源なんですよ?
そこから逃げられなければ空気を浄化するしかないんです。
僕は逃げるのに失敗したので、あとは空気を浄化するだけです。

ひとりでも多くの患者を救いたい。
ひとりでも患者にならないようにしたい。

そしてなにより、子孫にツケを回したくない。

大阪ママさんとお子さんたちがこれ以上悪くならないように祈っております。

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