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小川 未明

ものぐさじじいの来世

読み手:堀口 直子(2021年)

ものぐさじじいの来世

著者:小川 未明 読み手:堀口 直子 時間:6分30秒

 あるところに、ものぐさじいさんが住んでいました。じいさんは、若いときから、手足を動かしたり、人にあって話をしたりすることを、ひじょうにものぐさがって、いつもじっとしていることが好きでありました。
 花が咲いても、どこかへ見物に出かけるでなし、お祭りがあっても、わざわざいってみるという気持ちにもならず、一日、じっとして背中を円くしてすわっていました。
 年をとってからは、ますますものぐさになって、倒れている火ばしを直すのもめんどうがったのであります。けれど、おじいさんは徳人とみえて、みんなから愛されていました。また暮らしにも困らずに、終日、日のよく当たるところに出て、ひなたぼっこをしていました。
 おじいさんは、あまり口数はきかなかったけれど、それは根がいい人でありました・・・

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