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伊藤 左千夫

守の家

読み手:水野 久美子(2021年)

守の家

著者:伊藤 左千夫 読み手:水野 久美子 時間:18分4秒

 実際は自分が何歳の時の事であったか、自分でそれを覚えて居たのではなかった。自分が四つの年の暮であったということは、後に母や姉から聞いての記憶であるらしい。
 煤掃きも済み餅搗きも終えて、家の中も庭のまわりも広々と綺麗になったのが、気も浮立つ程嬉しかった。
「もう三つ寝ると正月だよ、正月が来ると坊やは五つになるのよ、えいこったろう……木っぱのような餅たべて……油のような酒飲んで……」・・・

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