ハンス・クリスチャン・アンデルセン 作 菊池 寛 訳 醜い家鴨の子読み手:つかさ(2021年) |
それは田舎の夏のいいお天気の日の事でした。もう黄金色になった小麦や、まだ青い燕麦や、牧場に積み上げられた乾草堆など、みんなきれいな眺めに見える日でした。こうのとりは長い赤い脚で歩きまわりながら、母親から教わった妙な言葉でお喋りをしていました。
麦畑と牧場とは大きな森に囲まれ、その真ん中が深い水溜りになっています。全く、こういう田舎を散歩するのは愉快な事でした。
その中でも殊に日当りのいい場所に、川近く、気持のいい古い百姓家が立っていました・・・