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小川 未明

学校の桜の木

読み手:中田 真由美(2021年)

学校の桜の木

著者:小川 未明 読み手:中田 真由美 時間:6分54秒

 ある、小学校の運動場に、一本の大きな桜の木がありました。枝を四方に拡げて、夏になると、その木の下は、日蔭ができて、涼しかったのです。
 子供たちは、たくさんその木の下に集まりました。中には、登って、せみを捕ろうとするものがあれば、また、赤くなったさくらんぼを取ろうとするものもありました。
 桜の木は、ちょうどお母さんのように、子供たちのするままに委していました。そして、子供たちの、楽しそうに遊ぶようすを見下ろしながら、いつも、にこにこと笑っているように見受けられました。
「太い木だなあ。」といって、無邪気な子供たちは、小さな両手を開いて、太い幹に抱きついて、見上げるものもあれば、・・・

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