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中谷 宇吉郎

雪を降らす話

読み手:成 文佳(2021年)

雪を降らす話

著者:中谷 宇吉郎 読み手:成 文佳 時間:5分32秒

 雪国に育った私たちには、お正月に雪がないと、どうもお正月らしい気がしない。吹雪で障子がばたばたいうようでも困るが、炬燵にはいって、硝子戸越しに、庭の松の木にこんもりと雪がつもっているのを眺めて、蜜柑でもたべながら、寝正月というのは、大変いいものである。もっともこれは日本の話で、私たちの理想というのは、この程度のことである。しかしアメリカならば、そんなことを理想とはしないだろう。雪がほしかったら、雪を降らすことを考えるであろう。
 実際のところ、アメリカでは、一昨年の秋頃から、人間の力で雪を降らすことを研究している。そしてそれはかなりの程度まで成功している・・・

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