燈火節
著者:片山 廣子 読み手:野見山 丹李 時間:7分49秒
先日読んだ話のなかに 燈火節 といふ字が出てゐた、二月の何日であつたか日が分らないまま読んでゐたのを、今日辞書で探してみると、燈火節二月二日、旧教にては、この日に蝋燭行列をなし、一年中に用ひる蝋燭を祓ひ清むる風習あるを以てこの名あり、とあつた。先日読んでゐたのは聖女ブリジツトの物語で、彼女は二月に生れた人で、古いゲエルの習慣では、聖ブリジツトの日に春が来ると言つて、ちやうどこの燈火節の日に春を迎へる祝ひをしたものらしいが、特に蝋燭だけではなくブリジツトはすべての火を守る守護神でもある・・・