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楠山 正雄

和尚さんと小僧

読み手:海老 実穂(2020年)

和尚さんと小僧

著者:楠山 正雄 読み手:海老 実穂 時間:9分32秒

   一

 大そうけちんぼな和尚さんがありました。何かよそからもらっても、いつでも自分一人でばかり食べて、小僧には一つもくれませんでした。小僧はそれをくやしがって、いつかすきを見つけて、和尚さんから、おいしいものを召し上げてやろうと考えていました。
 ある日和尚さんは檀家から、大そうおいしいあめをもらいました。和尚さんはそのあめをつぼの中に入れて、そっと仏壇の下にかくして、ないしょで独りでなめていました。
 ところがある日、和尚さんは、用事があって外へ出て行きました。出て行きがけに、和尚さんは小僧にいいつけて、
「この仏壇の下のつぼには、だいじなものが入っている・・・

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