グリム兄弟 作 楠山 正雄 訳 かえるの王さま読み手:田中 真稚子(2020年) |
一
むかしむかし、たれのどんなのぞみでも、おもうようにかなったときのことでございます。
あるところに、ひとりの王さまがありました。その王さまには、うつくしいおひめさまが、たくさんありました。そのなかでも、いちばん下のおひめさまは、それはそれはうつくしい方で、世の中のことは、なんでも、見て知っていらっしゃるお日さまでさえ、まいにちてらしてみて、そのたんびにびっくりなさるほどでした。
さて、この王さまのお城のちかくに、こんもりふかくしげった森があって、その森のなかに一本あるふるいぼだいじゅの木の下に、きれいな泉が、こんこんとふきだしていました・・・