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新美 南吉

売られていった靴

読み手:水谷 ケイコ(2020年)

売られていった靴

著者:新美 南吉 読み手:水谷 ケイコ 時間:2分10秒

 靴屋のこぞう、兵助が、はじめていっそくの靴をつくりました。
 するとひとりの旅人がやってきて、その靴を買いました。
 兵助は、じぶんのつくった靴がはじめて売れたので、うれしくてうれしくてたまりません。
「もしもし、この靴ずみとブラシをあげますから、その靴をだいじにして、かあいがってやってください。」
と、兵助はいいました。
 旅人は、めずらしいことをいうこぞうだ、とかんしんしていきました。
 しばらくすると兵助は、つかつかと旅人のあとを追っかけていきました。
「もしもし、その靴のうらの釘がぬけたら、この釘をそこにうってください。」
といって、釘をポケットから出してやりました・・・

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