竹久 夢二 作 朝読み手:水野 礼子(2020年) |
ある春の朝でした。
太陽は、いま薔薇色の雲をわけて、小山のうえを越える所でした。小さい子供は、白い小さい床の中で、まだ眠って居りました。
「お起き、お起き」柱に掛った角時計が言いました。「お起き、お起き」そう言ったけれど、よく眠った太郎は何も聞きませんでした。「私が起して見ましょう」窓に近い木のうえに居た小鳥が言いました。
「坊ちゃんはいつも私に餌を下さるから、私がひとつ唄を歌って坊ちゃんを起してあげよう」
好い子の坊ちゃんお眼ざめか?・・・