村山 籌子 作 十五夜のお月様読み手:海老 実穂(2020年) |
大きい森のむかふから、ブルブルブルと小さい音が響いて来ました。木の上でねてゐた真黒な小人はそれを聞くと、とびおきて、青い着物をきて、赤い帽子をかぶつて音のする方へ飛んでゆきました。
「お月様、今晩は。ずゐ分早くおでかけですね。」と、小人が申しました。ブルブルと音をたててゐたのは赤いお月様でした。
「たくさんの子供たちが、あなたのいらつしやるのをどんなに待つてゐるでせう。さあでかけませう。」と小人は言つて、お月様と二人で森を出て、野原をとほりすぎて、街にまゐりました。
「お月様。街の灯はどうしてあんなに赤くてきれいなんでせうね。家にはみんな窓がついて、きれいだなあ・・・