高村 光太郎 作 自分と詩との関係読み手:水野 久美子(2019年) |
私は何を措いても彫刻家である。彫刻は私の血の中にある。私の彫刻がたとい善くても悪くても、私の宿命的な彫刻家である事には変りがない。
ところでその彫刻家が詩を書く。それにどういう意味があるか。以前よく、先輩は私に詩を書くのは止せといった。そういう余技にとられる時間と精力とがあるなら、それだけ彫刻にいそしんで、早く彫刻の第一流になれという風に忠告してくれた。それにも拘らず、私は詩を書く事を止めずに居る。
なぜかといえば、私は自分の彫刻を護るために詩を書いているのだからである・・・