草野 天平 作 詩人といふ者読み手:成 文佳(2019年) |
詩のやうなものをただ書きさへすれば、それでもう詩人だといふやうなことは絶対に云へない。志を持つ人、といふと少し固く道徳的な感じがするが、少くともその感じに非常に近い、或る充実して爽やかな気持を得るために歩く人、又は歩き得た人、これこそ間違のない真の詩人だといふ気がする。
詩といふのは、この綺麗な道中の無言の姿であるか、或ひは真の一声であるべきで、それは寸分の隙間もないその物のやうな本当さでなければならない。恐らく純粋といふものはかうした道のその都度その都度の極つた気息といつたもので、只これしか無いといつた感じのものではないかと思ふ・・・