小川 未明 作 いちょうの葉読み手:高橋 ユミ子(2019年) |
幸ちゃんと、清ちゃんは、二つちがいでしたが、毎日仲よく学校へゆきました。いつも幸ちゃんが迎えにきたのです。
「もう、幸ちゃんが、迎えにくる時分だから。」と、清ちゃんは、早くご飯を食べて、机の上の本や、筆入れをランドセルに入れました。すると、
「清ちゃん。」と、いって、はたして、幸ちゃんが、迎えにきました。
「いますぐ、待っていてね。」と、いうより早く、清ちゃんは、家から駆け出して、二人は、話しながら、学校へいったのであります。
ある日、いつも幸ちゃんがくる時分なのに、どうしたのか、こなかったから、清ちゃんはこちらから、幸ちゃんの家へ迎えにゆきました。すると、幸ちゃんは、かぜをひいて、昨夜から熱が高くて、床についているのでした。
「じきなおりますから迎えにきてくださいね。」と、幸ちゃんのお母さんはおっしゃいました・・・