新美 南吉 作 二ひきの蛙読み手:室 由美子(2018年) |
緑の蛙と黄色の蛙が、はたけのまんなかでばったりゆきあいました。
「やあ、きみは黄色だね。きたない色だ。」
と緑の蛙がいいました。
「きみは緑だね。きみはじぶんを美しいと思っているのかね。」
と黄色の蛙がいいました。
こんなふうに話しあっていると、よいことは起こりません。二ひきの蛙はとうとうけんかをはじめました。
緑の蛙は黄色の蛙の上にとびかかっていきました。この蛙はとびかかるのが得意でありました。
黄色の蛙はあとあしで砂をけとばしましたので、あいてはたびたび目玉から砂をはらわねばなりませんでした・・・