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小川 未明

こま

読み手:植田 恵子(2018年)

こま

著者:小川 未明 読み手:植田 恵子 時間:7分11秒

 赤地の原っぱで、三ちゃんや、徳ちゃんや、勇ちゃんたちが、輪になって、べいごまをまわしていました。
 赤々とした、秋の日が、草木を照らしています。風が吹くと、草の葉先が光って、止まっているキチキチばったが驚いて、飛行機のように、飛び立ち、こちらのくさむらから、あちらのくさむらへと姿を隠したのでした。
 けれど、一同は、そんなことに気を止めるものもありません。熱心に、こまのうなりに、瞳をすえていました。
 この時刻に、学校の先生が、この原っぱを通ることがあります。みんなは遊びながらも、なんとなく、気にかかるのでありました。見つかれば、しかられやしないかと思うのであるが、また、こんなことをしたっていいという考えが、みんなの頭にもあったのであります・・・

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