小川 未明 作 こま読み手:植田 恵子(2018年) |
赤地の原っぱで、三ちゃんや、徳ちゃんや、勇ちゃんたちが、輪になって、べいごまをまわしていました。
赤々とした、秋の日が、草木を照らしています。風が吹くと、草の葉先が光って、止まっているキチキチばったが驚いて、飛行機のように、飛び立ち、こちらのくさむらから、あちらのくさむらへと姿を隠したのでした。
けれど、一同は、そんなことに気を止めるものもありません。熱心に、こまのうなりに、瞳をすえていました。
この時刻に、学校の先生が、この原っぱを通ることがあります。みんなは遊びながらも、なんとなく、気にかかるのでありました。見つかれば、しかられやしないかと思うのであるが、また、こんなことをしたっていいという考えが、みんなの頭にもあったのであります・・・