小川 未明 作 どじょうと金魚読み手:緒方 朋恵(2017年) |
ある日、子供がガラスのびんを手に持って、金魚をほしいといって、泣いていました。すると、通りかかったどじょう売りのおじいさんが、そのびんの中へ、どじょうを二匹いれてくれました。
子供は、喜んで、びんに顔を押しつけるようにして、ながめると、ひげをはやして、こっけいな顔に見えるどじょうは、
「坊ちゃん、あのきれいなばかしで、能のない金魚よりは、私のほうがよっぽどいいのですよ。ひとつ踊ってみせましょうか?」といって、一匹のどじょうは、びんの底から水の上まで、もんどり打って、こっけいな顔を表面へだし、またびんの底に沈みました
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