フランツ・カフカ 作 大久保 ゆう 訳 道理の前で読み手:由良 瓏砂(2017年) |
道理の前でひとりの門番が立っている。
その門番の方へ、へき地からひとりの男がやってきて、道理の中へ入りたいと言う。
しかし門番は言う。
今は入っていいと言えない、と。
よく考えたのち、その男は尋ねる。
つまり、あとになれば入ってもかまわないのか、と。
「かもしれん。」
門番が言う。
「だが今はだめだ。」
道理への門はいつも開け放たれていて、そのわきに門番が直立している。
そこで男は身をかがめて、中をのぞいて門の向こうを見ようとした。
そのことに気づいた門番が笑って、こう言った・・・
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◇翻訳者:大久保 ゆう
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