楠山 正雄 作 くらげのお使い読み手:入江 安希子(2017年) |
むかし、むかし、海の底に竜王とお后がりっぱな御殿をこしらえて住んでいました。海の中のおさかなというおさかなは、みんな竜王の威勢におそれてその家来になりました。
ある時竜王のお后が、ふとしたことからたいそう重い病気になりました。いろいろに手をつくして、薬という薬をのんでみましたが、ちっとも利きめがありません。そのうちだんだんに体が弱って、今日明日も知れないようなむずかしい容体になりました。
竜王はもう心配で心配で、たまりませんでした。そこでみんなを集めて「いったいどうしたらいいだろう。」と相談をかけました。みんなも「さあ。」と言って顔を見合わせていました・・・