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上村 松園

帯の巾が広すぎる

読み手:坂井 あきこ(2024年)

帯の巾が広すぎる

著者:上村 松園 読み手:坂井 あきこ 時間:3分35秒

 只今では帯といっておりますが、慶長時代では巻物と申しておったようでございます。絹羽二重は二つ割りにして、又支那から渡来いたしました繻珍だの緞子などと申しますものは、三つ割りに致して用いておりました。その後鯨帯と申しますものが出来、これが変化して今日の帯となったのでございます。確かなことは申せませんが、享保年間の帯巾は五、六寸位であったと思います。そして元禄時代の振袖は一尺七、八寸からせいぜい二尺位でございましたでしょう。
 振袖は男女ともに元服以前につけたものが、だんだん若いお女中に用いられたものでございます。昔はこの振袖も至って短かく寛文時代で女の振袖の長さが一尺五寸、左右合わせて六尺となっております・・・

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