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小川 未明

すみれとうぐいすの話

読み手:加藤 供子(2024年)

すみれとうぐいすの話

著者:小川 未明 読み手:加藤 供子 時間:16分9秒

 小さなすみれは、山の蔭につつましやかに咲いていました。そして、いい香りを放っていました。
 すみれは、そこでも、安心をしていることは、できなかったのです。なぜなら、そのすみれをたずねてくるものは、ひとり、美しいちょうや、かわいらしいみつばちばかりではなかったからです。
「ここにも、すみれが咲いていた。とって香りをかいでごらんなさい。いい香りがするから。」と、山に遊びにきた、子供たちはいったのです。
 すみれは、自分ほど、不幸なものは、この世の中に、ないと思いました。小さな体で、しかも、ものの蔭に、つつましく咲いているのを、それすら安心ができなかったからです・・・

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