小川 未明 作 心は大空を泳ぐ読み手:池戸 美香(2023年) |
いまごろ、みんなは、たのしく話をしながら、先生につれられて、知らない道を歩いているだろうと思うと、勇吉は自分から進んで、いきたくないと、こんどの遠足にくわわらなかったことが、なんとなく残念なような気がしました。
しかし、家のようすがわかっているので、このうえ、父や母に、心配をかけたくなかったのでした。
「おまえがいきたいなら、お父さんは、なんとでもして、つごうをつけてやるから。」と、父はいいました。けれど、彼は、頭を強く横(よこ)にふりました。
そのとき、これを見た母は、なんと感じたか、目に涙をためていました・・・