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ハンス・クリスチャン・アンデルセン  矢崎 源九郎

マッチ売りの少女

読み手:アン荻野(2023年)

マッチ売りの少女

著者:ハンス・クリスチャン・アンデルセン/矢崎 源九郎 訳 読み手:アン荻野 時間:12分51秒

 それはそれは寒い日でした。雪が降っていて、あたりはもう、暗くなりかけていました。その日は、一年のうちでいちばんおしまいの、おおみそかの晩でした。この寒くて、うす暗い夕ぐれの通りを、みすぼらしい身なりをした、年のいかない少女がひとり、帽子もかぶらず、靴もはかないで、とぼとぼと歩いていました。
 でも、家を出たときには、スリッパをはいていたのです。けれども、そんなものがなんの役に立つでしょう! なぜって、とても大きなスリッパでしたから。むりもありません。おかあさんが、この間まで使っていたものですもの。ですから、とても大きかったわけです。それを、少女ははいて出かけたのですが、・・・

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