たしかに「またケモショタかよwwwwww」と僕たちオタクは好き放題彼の作風をイジってきたし、『竜とそばかすの姫』のときも「あーはいはいこの竜が喋るんでしょ?」と思ったら本当に喋ったので笑っちゃったし、『未来のミライ』は残念ながら見損ねてしまったんだけどもショタが尻尾バイブでアナル絶頂のCMが流れてきたときは「自重wwwwww」などと思ったわけだが、「よっしゃ、じゃあケモショタ抜きで作るぞ」という決意表明のもとお出しされた作品を見たときの感想は「ケモショタのほうが良かった……」という感じになってしまった。
そもそも僕は細田守にケモショタを捨ててほしいわけではなかったのだ。むしろ個人的には彼の描くショタや制服少女はすごく好きだ。監督を「またケモショタw」とイジるというのは、まあ愛情表現のようなものであって本気でやめるべきだと思っていたわけではない。彼に対してネット民が辛辣だったというのも、アンケートなどを取ったわけではないので実際に「皆」がどう思っていたかはわからないのだが、少なくとも増田としては「細田くん! 君に一般向けは向いてない! オタク向け作品を作ろう! ファミリー向けを取りに行くのはあきらめて、ポスト宮崎駿への色気も封印して、オタク向け作品で好きなだけ性癖(誤用)を描こう! ショタやケモノやケモショタやイケオジや可愛いけど薄味な女子高生の理想郷を作ろう!」というつもりだった。
要するに、「一般向けのつもりで作っときながらケモショタ出してんじゃねえよ」というのは「ケモショタ出してんじゃねえよ」という意味ではなく「一般向け作るのやめなよ」という意味だったのだ。しかし細田守は前者の意味に解釈したようで、今回は一切ケモショタ抜きの作品をお出ししてきた。国民的アニメ監督という立ち位置にありながら『すずめの戸締まり』で本気の足裏サービスカットをぶち込んできた新海誠とは逆方向への覚悟の決まり方だが、そういうことじゃねえんだよな~~~~~~~!!!1!!
ただ、「面白いと思ってこいつのことイジってたら、真に受けてほんとにやりやがったw」というのはまごうことなきいじめっ子のセリフであり、細田守監督がどれだけネットの声を気にしていたかはわからないが、彼の作風をイジっていた者の一人としては真剣に反省せざるを得ない。無神経にイジっててすみませんでした、監督。
で、本編の感想なんですが。
「日本のオタクからイジられすぎて海外向けに舵を切った?」という感想になりました。わかりやすいハムレットの導入(でもハムレット踏まえといてレアティーズのあの扱いは何なの!? 友として死ねよ!)、しかし主役は女性、途中で謎の多様性演出が挟まり(おお、DEIに栄光あれ!)(ちゃんとハワイ語やハワイ舞踊の監修入れてたのは偉いと思うよ。ハワイ文化が出てくる必然性を気にしないのであれば)、脈絡もなく歌って踊ってのシーンを挿入しコミカルでお間抜けな敵を配置し(このあたりはマジでディズニー感があった)、いわゆるアニメ絵的なキャラ造形を封印してものすごい迫力の映像美に力を入れる、というのは、従来の「日本のアニメ映画」だった細田守作品から脱却しようともがいているように思われた。それが良いか悪いかは価値観次第だが、「日本のアニメ映画」を期待していた者としては寂しいものがあるというか、僕は細田守作品のキャラデザ好きだったよ……という寂しさに襲われてしまった。
問題は海外向けアニメ映画だと割り切って見たところでストーリーの出来などが色々と厳しいというところで、ちょっと思ってた以上に脚本が支離滅裂というか、「これはきっと僕の理解力が低くて筋を追えてないんだろうな」と思いながら見てたけどネット上でも不評でちょっと安心した。『おおかみこどもの雨と雪』は今改めて見てもよく出来てたよ。やはり奥寺佐渡子……奥寺佐渡子はすべてを解決する……!
聖くんがあれだけ忌避してた殺人に手を染めたところに何のフォローもないのってどういうことかしら? あれだけ登場人物の気持ちを全部言葉に出しちゃうマンな細田守監督なのにこのシーンの聖くんの感情がいっちょんわからんので「???」ってなってしまう。彼はどういう決意でもってあのひとたちを射殺そうと思い至って殺したあとはどう考えていたの? いや、「お前そういうのはいちいち言葉にするもんじゃなくて表情や動作から読み取るものなんだよ。それが映像作品を見るうえでの読解力だろ」ってのはそれはそうなんだけど、上述のように「でも細田守はこれまでいちいち言葉にしてたじゃん」っていうのと、「すみません! 僕には読み取れませんでした!」っていうのが両方ある。みんなは読み取れましたか? 読み取れたひとは根拠を添えて教えてほしい。マジでわからんかったので。
最後のほうは「宗教の映画?」って感じでした。ラストの演説はもうしょーもない。主人公にそこまで言わせるなら共和政に移行させろよとしか言えないファンタジー作品ってままあるよね(『BASARA』の「それが、それこそが新しい国ぞ!」っていうセリフは今でも印象に残ってる)(『汝、暗君を愛せよ』はちゃんと主人公が共和政への道を敷いてる作品なのでみんな読もう!)(全然関係ないけど最近のプリキュアって主人公に意識高いこと言わせる割に王国とか女王とか王女とか出てきて彼らが(象徴的な君主制ではなく)実権を保持してる描写もあるので何でそこだけ封建的なんだよって言いたくなりません?)。
あとヒロインの名前がスカーレットでファンタジー風のPVだったので「なるほどヨーロッパ風のファンタジー世界なんだな!」と思って見始めたら16世紀デンマーク王国が舞台と冒頭で明言されててビックリ仰天。スカーレットって英語ですよね……? なんで歴史上のデンマーク王国の王女の名前に採用されてるんです……? 「たまたま異世界にデンマークっていう国があるんだよ」っていう逃げは本編の展開で潰されてるのでマジで現実世界のデンマークが舞台だからねこれ。正気? それとも「一度も現実世界の日本のことだとは言ってないです」って言い張る? っていうかクローディアス王の配下でコーネリウスっていうやつが出てくるんだけど「クローディウス」「コーネリウス」か「クローディアス」「コーネリアス」のどっちかに統一しろよって思った。もしかしてこの2つが同じ語尾の名前だと気づいてないんです? いやまさか、そんなそのへんに一山いくらで転がってるなろう作家並のファンタジー世界構築センスしか持ってないのに歴史ファンタジーの大作映画を作ろうなどと考えていたなどということはないだろう……ないよね? そもそも論で言うとさぁ、シェイクスピアの登場人物が日本では英語読みに基づいた表記をされてるのはシェイクスピアが英語で書いた前近代の作家だからであって、現代日本の作家が何でデンマークの人名を英語読みするんだよ!
あ、最後に目覚めてからの断髪スカーレットちゃん可愛かったね。身体のラインがピッチリ出るドレス姿、『おおかみこどもの雨と雪』での花の造形にも繋がるフェティシズムを感じて良き。もしかして細田守って腋チラ描写が好きだったりする? 新海誠の足フェチと違ってそこまでわかりやすくないから僕の節穴アイでは気づかなかった。反省。服を切られて恥ずかしがるスカーレットちゃんの声エロくて良かった。あと映像美はすごいよ。『サマーウォーズ』とか『バケモノの子』とか『竜とそばかすの姫』とかで見た浮遊する巨大生物演出が研ぎ澄まされていた。あれは映画館で見る価値があった。時間の都合で何も考えずにIMAXにして正解だったわ。これ『時をかける少女』で見た! みたいな感慨に襲われる演出もあったし「お前タイムリープしてね?」みたいな話の筋だったからもうなんか実質『時かけ』ってことで良くない? 良くないですかそうですか。
結論としては、万人向けではないけれども、まあ、オタクなので、話題作の情報を手に入れるために、そして同好の士と語らうために見に行っても、まあ、うん、数千円ぶんの損しかしないと思う。見たあとに同好の士と語らいたくなるという意味では非常に優れた映画だと感じた。映画会社はそろそろ懲りろよというか、スクリーン配分の見直しをしよう? な?
帝国と戦うのが王政の主人公な歪つな物語ってのは、世襲バンザイの日本では永遠に作られ続けるでしょうな
一般向け作品だからこそスクリーンを多く配分されスポンサーがついてやりたいことをやれる予算も確保できるわけだから 「一般向けのつもりで作っときながらケモショタ出してんじゃ...
ストーリー・キャラクター・脚本については他の増田達が書いているのでほえーなるほどーとしか言えないアホなんですけど見た感じ、絵作りというか演出というかの話書かせて。マジ...
スカーレットが見下ろす群衆は非現実的な数に見えます。彼女は平和を求める人類の女王として戴冠したということなのでしょうか。” https://nlab.itmedia.co.jp/cont/articles/3636099/ ウェンブリ...
しゃーない やっぱ0からオリジナル作るのは無理なんやろね 原作付きで既にカットが切ってあって台詞も出来上がってるもんを編集するのと0から構築するのとじゃ労力が桁違いやろ 時間...
いうてクリエイター系の人らって亡くなる前ももっと色々やりたかったとか言って生涯現役希望の人多そうだけどな 常人と同じ物差しで計ってもしょうがない気がする
やなせたかしとか宮崎駿はそんな感じだよなあ
精神と身体は別モノで本人の意欲に関係なく身体は衰える そいてクリエイターの老衰は作品中に本人の自覚なく表れる 今回は気力体力の衰えが増田の指摘した構図に表れたってことだろ...
うまくトラバできてなかった 釣りやディスではなかったとゆいたい https://anond.hatelabo.jp/20251124193656
https://saebou.hatenablog.com/entry/2025/11/28/015425 の ”これは作画の省力なのか何か演出意図があるのかはよくわからないのだが、とくに序盤でふたりの人間が会話している場面で、引きの画面...
細田くん脚本はダメダメだけどレイアウトは駿にも認められた天才っていうのがファンの最後の拠り所だったのにどうして・・・
細田守はデジモンが最大瞬間風速だった学説の支持者です スカーレットはPVの時点で説教臭かったので観る気がしません 彼はどこで間違えてしまったのでしょうか
細田の興行成績はバケモノの子からそばかすが最高なんだよ 自分が老害異常者だと自覚してね
売れてるものが正義とか昭和からタイムリープしてきたの?
みんながいいって言ってるから出資されるんだよ 細田アンチは異常者の集団
これはかなり頭の悪い詭弁。 ここでいう「みんな」って誰のこといってんの? 出資者が未来予知してまだできてもないものの興行成績から逆算して出資するか決めてるって理屈になって...