2025-09-04

年収は「住むところ」で決まる

年収は「住むところ」で決まる ─ 雇用イノベーション都市経済学』(原題:The New Geography of Jobsエンリコモレッティ著)の内容を、以下に要点を絞って解説します。

本書の主要ポイント

1. 都市の「集積効果」が年収を左右する

イノベーションが起こりやす都市(例:シリコンバレーニューヨークボストンなど)には、以下の3つの要素が整っています

• 厚みある労働市場:高度なスキルを持つ人材が多く、企業個人がより良いマッチングを実現できる  

• 発達したエコシステムベンチャーキャピタル法律会計など専門サービスが密接に連携し、企業の立ち上げ・成長を支える  

知識の伝播がスムーズ:対面での交流アイデアを生む場となり、オンラインでは代替しにくい価値がある  

2. 「乗数効果スピルオーバー効果)」による波及

イノベーション産業の発展は、そのまちの全体的な雇用を押し上げます

例えば:

イノベーション産業で1つの雇用が生まれると、およそ 5つの地元雇用が創出される(うち3つは大卒でない労働者向け) 

フォーブス誌でも、FacebookAppleなどの大手企業雇用効果関連産業を通じて広がる実例が紹介されています

3. 地理的格差が生む「勝者」と「敗者」

• 勝者:知識経済都市に住む人々は、高い賃金と安定した雇用に恵まれる(例:サンノゼボストンオースティン)  

• 敗者:製造業依存都市(例:デトロイトクリーブランド)が衰退し、中間層雇用が減少、失業格差が拡大する傾向あり  

4. 社会的文化的側面にも影響が及ぶ

「住む場所」は年収だけでなく、教育健康離婚率、政治参加といった社会的要素にも関わります

都市部に住むことで、これらの生活の質が上がる傾向があることも指摘されています 。

5. 移住課題デメリット無視できない

• 高生活コスト問題シリコンバレーなどでは、年収が上がっても家賃物価の上昇に追いつかず、実際の生活満足度が下がる場合もある 。

移住という選択肢限界コストだけでなく精神負担も大きく、「地方に留まった方が、むしろ可処分所得が多くなる」という見方もある 。

6. 政策的な示唆限界

政策としての重要性:教育インフラ整備、移民受け入れなどを通じて、地方都市の立ち直りやイノベーション化を促すことが求められる 。

• ただし「魔法解決策」ではない:高水準な人的資本産業集積が既にある都市と比べ、ゼロからの再建は極めて困難という見解もあります 。

総まとめ:「住む場所」がキャリアにも人生の質にも大きく影響する

年収は「住むところ」で決まる』は、個人スキル努力だけでは説明しきれない、「地理」の重要性を鮮やかに示した一冊です。都市の違いが年収雇用さらには人生設計にまで深く影響していることを、多面的理解する上で非常に示唆に富む内容となっています

  • はいはい、日本だったら地元産業が活発で東京も大阪も出勤圏内で物価も安い愛知が最強ってなる本でしょ わかってるから

    • イノベーションの話をしてるんじゃない?ドングリの背比べみたいな都道府県の最低賃金格差の話じゃなくて。

      • でも日本でイノベーションが起きるなら自動車周りくらいしかないんじゃね IT周りはもう地盤が完全に外国に抑えられてるからそこからイノベーションは無理でしょ

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