2025-01-19

散文詩(書きかけ)

東京への手紙

今の私の肉体の状態を、言葉にして東京に観察させる、というのがこの本のコンセプトだ。

さあ、聞きなさい私の街。

私の肉の言葉を。

じわじわと滲む汗。

こんなに人がいて良いはずがないのであるひとつの、小さな箱型の部屋に!

それは電車という名前で呼ばれているが、羊羹箱の方が多分正しい。カステラ箱とか。

我々乗客はお行儀良く並び、スマホカステラの白い紙みたいにぴったり身体にひっつけて、何か心理的しんどいものから身を守っているつもりらしい。

いやいや、それは自傷行為だ。

こんな狭い箱に乗り込まないと、生活が成り立たないって?東京よ、あなたの上に築かれたこ都市、それはあなたとは縁深く、しかし異ななった存在だけれど、あまりにも罪なものだ。

かわいそうな都会生活者たち。

私の身体は逼迫し、今すぐここから出してくれとドンドンと我が胸を内側から殴って抗議しているようではないか。ここは、動物の居場所ではない!出せ!不当だ!扱いの改善要求するぞ!と。

いやはや身体よ、まったくその通りであるしかし我々はこの小箱に乗り込まないことには生活というものをやっていけなくてね?…と、胡乱な紳士のようなでっぷりした「運営者」なんかが、葉巻を燻らせながら私の肉体に応じるが、まったく持ってコイツの言うことなんざ聞く必要はない。往々にしてするべきこと、正しいこと、生きること、定め、そんなものはクソである。しこうして美しい。だから大抵人生クソッタレで震えるほど美しい。やるせないな。

美女電車のサイネージに現れて、私を窒息させる。微笑みは商品として完璧等級だ。

ありえないくらい憎らしい。

うそ東京、何度も言うが君の上に築かれている街は最悪の代物だよ。

そうして私は生活するための目的地に辿り着く。池袋という駅だ。降りるので筆を止める。

13:19

東京

私の思いを聞いてくれるかい

草原に吹き渡る風だ 爽快感

美しい歌を一息に歌ったあとの、胸の激しい息切れ幸せを含む苦しさ、風が冷たく汗を冷やして吹き渡る、大変、大変schönなお時間

中村先生から和声のレッスンを受けたんだ

和声体育会系なのだよ、と先生は言って、私は押忍と袂を締めて…schön!

冷たく美しい高原の風!せせらぎと同じ色の、風

schönで爽快な、たまらない快適さ 人生と言う舟はその風を帆に受けてえっちらおっちら筋肉を糧にじりじり泥臭く進んでいくべきものなのだ

頑張ろう 中村先生は言った、頑張ってくださいね

そうだ、和声体育会系なのだからね!頑張っていこう、この風はずっと吹いていてほしいな

13:29

大変不思議だ 時はなぜ移ろう

同じ駅に私は停まる 電車に、山手線に乗って

それなのに同じ時はない 一度も同じにはならない

私はもうサイネージを憎まない なぜなら和声への希望と走り出したいこの身体一心に持って電車に乗っているか

私はもう電車を厭わない なぜならもうすぐ家に帰り、教科書を開く私が滋養に満ちた笑顔こちらに微笑みを向けているからだ

同じ時はない………おや、友人からLINEだ 頑張らねば 社会生活というのはとても難しいな

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