1990年に開催された「
アニメシンポジウム・制作現場の危機を考える」(主催は、のちの
アニメコンとなるアニメーション労働組合、経営者団体、日俳連、市民団体など)。参加者に配布された
日俳連の資料の中に、以下のような試算が掲載されています。当時のアニメ番組の予算と声優の収入の平均を物語るデータのひとつです。
当時の主な要求相手であった放送局は、毎年のように営業収入をのばしていたので(下の新聞の切り抜き参照)、アニメーションの制作現場(
下請企業・
各労働組合)の制作費引き上げ要求もふくめて、決して法外な要求内容ではなく、生活できるだけのあたりまえの要求であったことがわかります。
平均的アニメ出演料に関する試算(30分テレビアニメの場合) (※1990年当時のものです)
Ⅰ、30分アニメ1本あたり出演料(現状)
①1本平均出演料 27万5000円 (※編集部注:1話あたり声優に支払う予算)
②1本平均出演者数 約15名
③1本平均出演料(1人あたり) 約1万8000円
④1本平均出演料(手取り額) 約1万2960円 ※事務所手数料20%、源泉税10%
Ⅱ、30分アニメ1本あたり出演料(要求)
①1本平均出演料 80万0000円
②1本平均出演者数 約15名
③1本平均出演料(1人あたり) 約5万3000円
④1本平均出演料(手取り額) 約3万8160円 ※事務所手数料20%、源泉税10%
Ⅲ、アニメ出演の機会(一ヶ月)
①テレビアニメの製作本数 週40本×4=160本
②1本あたり平均出演者数 15人
③一ヶ月あたりの出演機会(①×②)2400人(回)
④俳優の人数 800人
⑤1人あたりの平均出演回数(③÷4)月3回
Ⅳ、平均月収
①現状: 1④×3= 3万8880円
②要求: Ⅱ④×3= 11万4480円
↓ 1990.7.13付「民間放送」(発行:社団法人・日本民間放送連盟)
↓1975年に発行された「アニメれぽーと・第1号」より
※1965年(昭和40年)「ジャングル大帝」のアフレコ・タレント料は6万円。1973年(昭和48年)「ワンサくん」のアフレコ・タレント料は15万円という記録が残されています。
↓1992年「テレビアニメ制作条件改善3・15アニメデモ」(通称・銀座デモ)でまかれた日俳連のチラシより。「磯野波平 年収180万のため カツオ・ワカメ養えず…」などの文章が。「サザエさん」の声優の出演料は1話につき・4万4800円(当時)でした。
生活苦しい、テレビアニメ制作費を2300万円に
現場制作条件改善を訴えた、幻の銀座アニメデモのビラ見つかる
アニメ声優のストライキとデモ行進を伝える1991年の記事から