フランスのメディアの報道によれば、同国のバンドデシネ(BD)の巨匠メビウス(本名:ジャン・ジロー)氏が、2012年3月10日に73歳でなくなった。同氏は最近、闘病生活を続けていたという。 バンドデシネはフランスのコミックアートを指すもので、大人向けから子ども向け、さらに様々なジャンルを網羅する。日本のマンガや米国のコミックスに相当する。メビウス氏はそのなかで特に際立った存在で、世界的に知られた作家である。 日本でも多くのファンを持ち、日本のマンガやイラストレーション、アニメーションにも多大な影響を与えた。本国だけでなく、日本でもその逝去を惜しむ声が広がりそうだ。 メビウス氏は、1938年フランス生まれ。1960年代よりメビウスの筆名で創作を開始した。独特な世界観と作風で、高い評価を受けてきた。日本では2010年末に翻訳出版をされ注目された『アンカル』、『アルザック』などの代表作がある。 一方、その活動はバンドデシネだけにとどまらない。映画やアニメーションの創作にも深く関わった。『エイリアン』や『トロン』、『フィフス・エレメント』などの歴史に残る映画にデザイナーとして参加した。アニメーションでは、ルネ・ラルー監督のSF作品『時の支配者』のデザインが代表作となっている。 また、日本のクリエイターへの影響についてもしばしば言及される。大友克洋氏、松本大洋氏などメビウス氏からの影響を語る作家は少なくない。アニメ監督の宮崎駿氏と交流もよく知られている。ふたりは2004年にフランス・パリで二人展を開催し、話題を呼んだ。メビウス 公式サイト /http://www.moebius.fr/