souの音楽感想日記

音楽好き社会人のコンサート備忘録です。

2/13 神奈川フィル第260回定期演奏会

冷たい雨が降る日でした。こういう時、みなとみらいホールは便利です。
ただ、マニアックな曲目であることも影響してか、客席の入りは7割ぐらいだったような。
最近、指揮者人気で満員になってたことを考えれば、今回演奏会にいらっしゃった方々こそが神奈川フィルコアなファンなのでしょう。

ゲスト指揮者として聖響さんの友人である下野竜也さんの登場。
演奏だけではなくプログラミングにも定評がある下野さんですが、今回のテーマは実は「フランス」とのこと。
フランス人というわけではなく、パリで研鑽を積んだ人で揃えてみたということだそうです。

神奈川フィル定期260回


●メンバーと曲目
指揮:下野竜也
演奏:神奈川フィルハーモニー

ピアノ:田村響
コンマス:石田泰尚


ラロ/歌劇「イスの王様」序曲
ショパン/ピアノ協奏曲第1番
矢代秋雄/交響曲


最初はラロ、スペイン交響曲ぐらいしか知らない作曲家です。
山本さんのチェロの独奏がさすがです!
記事を書いてませんでしたが、先週の諸田由里子さんとのカジュアルコンサートでも素晴らしい演奏を聴かせていただきました。

ショパンのピアノ協奏曲1番は、ピアニストが1度は弾いてみたい曲として有名とのこと。
ピアノの見せ場ばかりなのはさすがショパン。ですが、オケの伴奏は完全に脇役で、しかもかなり苦痛らしいです。
別に独奏曲でも良い曲だと思うんですが、ショパンもオーケストラとやりたかったのでしょう。
ちなみに、のだめカンタービレでのだめとシュトレーゼマンが競演したのはこの曲デス。なるほどと思いました。

ピアノ独奏は活躍めざましい田村響。3年前にも定期で聴いた田村君ですが、さらにどっしりと安定して風格が出ていました。同い年とは思えない…。
力強いタッチで華やかなのはもちろんですが、一方で指の動きも物凄い。
音の粒が弾丸のごとく客席に打ち込まれていました。

アンコールは同じくショパンで「華麗なる円舞曲」、ガッツリやってくれました。


休憩挟んで、今日のメインである矢代秋雄さんの曲へ。
下野さんのプレトークでは、「皆さんそれぞれのイメージを抱いてください」とのことでした。
私は、過去を回想しながら見ている“夢の世界”というイメージを抱きました。
様々な情景が移ろいながらも、何かモヤモヤしてる感じがしたので。

第1楽章冒頭の弦によって奏でられる不穏な序奏から不思議な世界へ。
金管の勇壮な動機で幕を開けます。

「テンヤ、テンヤ、テンテンヤ、テンヤ」の変拍子が耳に残る第2楽章。
祭囃子からインスピレーションを受けたリズムらしく、日本のテイストを加える1つの方法でしょう。
打楽器奏者が奮闘!
特にマリンバとティンパニーはお疲れ様でした。あれだけ打楽器の見せ場があるのは20世紀の作品だからでしょうか。

第3楽章はコラール、コールアングレのメロディーが印象的。

そして、盛り上がるフィナーレの第4楽章。
弦や金管がメロディーを掛け合いながら高潮していき、夢から目覚めたかのように断ち切られていきなり曲が終わる。


アンコールはまさかの第2楽章繰り返し。
まさかここをやるとは思ってませんでした。団員の皆さんも困惑してたし。
さすがにオケもへたっていて、やや精彩さが欠けていましたが。

来た人は楽しめたであろう演奏会だと思います。
矢代秋雄さんは寡作ながら良い曲ばかりとのことで、下野さんも拍手を受けながらスコアを掲げ、「良いのはこっちこっち」というアピールをしてました。
いやいや、この曲を取り上げてくれた下野さんにも感謝ですよ。
矢代さんはピアノ協奏曲やチェロ協奏曲も書いているらしく、これらの曲も聴いてみたくなりました。

3月からの神奈川フィルは、しばらく聖響さんが続きます。まずは音楽堂。


さて、これから新国立劇場でワーグナー「ジークフリート」を聴いてきます。
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コメント

ナイス下野~

こんにちは。
昨日もお世話になりました。
ユニークなプログラムに堪能した一夜でした。
初聴きの矢代作品が、あんなにいい曲だとは知りませんでした。
神奈川フィルもさすがと思いましたが、初下野も、私には驚きでした。
いい指揮者ですね。もったいない(笑)
 今頃はジークフリート開幕直前でしょうか!

>yokochanさん
昨日もありがとうございました。
下野さんにはまた知らない曲を紹介して頂きたいですね。

ついさっき新国立劇場から帰宅しました。
奇抜な演出に唖然しながらも、歌手の腕は確かで大満足!
ワーグナーは楽劇を聴かずには語れない作曲家ですね!
バックステージツアーも当選してたっぷり堪能してきましたので、また後日記事をアップします。

お世話になりました!

どうも一昨日はお世話になりました。楽しかったですね!!記憶に残る素晴らしい演奏会で、矢代秋雄の交響曲は主演者の渡邊曉雄の名演に迫るものでした。
無理して聞きに行って良かったと、心から思いました。下野竜也氏は要注目ですね。音楽堂でもよろしくお願いします。

>Schweizer_Musik先生
先生も評価なさるほどの素晴らしい演奏会に立ち会うことができて嬉しいです(^^)
音楽堂では“下野さんの友人”がロマン派をいかに振るか。
お手並み拝見ですね。

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矢代秋雄の交響曲を聞いてきた

昨日は神奈川フィルのコンサートに出かけた。前半はエドゥアール・ラロの「イスの王様」序曲と田村響氏のピアノによるショパンのピアノ協奏曲第1番である。ショパンは誰によるものかは知らないけれど、オーケストレーションはかなり変更されていて、よく響くものだったが...