- 心にナイフをしのばせて/奥野 修司
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読了!
「28年前の酒鬼薔薇事件」とされている
同級生に高校一年生の男子生徒が滅多刺しにされて殺されたという事件後の
被害者家族のルポタージュ。
被害者サイドに立った取材とルポの為に
非常に偏った内容でした。
家族にとっては、息子・兄が同級生に惨殺されるという事件に遭っただけでも辛いのに
母親はノイローゼになり
妹は執拗なマスコミや近所の眼に悩まされ
父親は必死に家族を立て直そうとして癌で64歳の若さで亡くなり
借金を抱える状態。
それなのに加害者の少年Aは更生して弁護士になり
財を築いていて謝罪をする気がないという。
被害者の家族は
加害者少年Aからの謝罪と
それ相応の対価を求めたいようですが
それは被害者側が間違っていると感じる。
なぜならそこに「いじめ」があったから。
少年Aは被害者とその友人たちにいじめに遭っていた。
被害者の友人は
からかったりしたが
「殺意まで抱かせたというのは信じられない」
と言う言葉。
この言葉は
今いじめで自殺した子をいじめていた子の言う台詞と同じじゃないのだろうか。
「○○君をからかっては居たがまさか自殺するとは思っていなかった、そんなつもりはなかった」
私は少年Aは偉いと思う。
今いじめられている子は是非この本を読むべきだと思う。
少年Aが自殺か、被害者少年を殺すかで迷ったかは分からないが。
いじめられて深刻に悩んでどうしようもなくなってしまった子は
自殺をしてしまう。
いじめられる事によって自殺をする子にとっては
からかったり遊んでいると思っている行為が
その子にとって「殺意」なのだ。
少年Aは自殺を選ばず
被害者少年を刺した。
そして少年院で更正して立派な弁護士となった。
すばらしい生き方だと思う。
この被害者家族は謝罪を求めているそうだが
まったくその必要性は感じない。
少年Aは正当防衛だったと私は思う。
被害者家族のルポを読んでいると
被害者が生きていても非常に歪んだ家族だったように見受けられる。
どこにでもある、歪んだ家庭。
相手に殺意を抱かせるような息子に育ててしまったのが
そもそものこの家族の間違いだったのであり
だから殺されてしまった事を恨むのは間違いであるし
(この家族は憎んでは居ないようですが)
謝罪を求めるのも間違っている。
今は少年法も改正され
ネットも発達して
このような事件を起こしてしまった子が
少年Aのような道を選べる事は難しくなってしまっているが
それでも
今いじめに遭っている子は読んだ方がいい本。
被害者サイドの言い分に読んでいてだんだん気分が悪くなってくるが
この元いじめられっこでいじめっこを殺し現在は弁護士として活躍する
少年Aにきっと勇気づけられるんじゃないかと思う。