11月21日に開催された、
「アグリビジネスサミット featuring Women in ひょうご」
に、パネルディスカッションのパネラーとして参加しました。
まずは、基調講演。
無農薬のカラフル野菜やミニ野菜を栽培、販売する
「近藤けいこナチュラルベジタブル」の代表 近藤けいこさんと、
野菜の直売および加工品の販売を行っている
「ファーマーズマーケット中西」の中西 恵子さんから、
農業経営に関するお話をうかがいました。
その後、耕作放棄地の再生と地域の活性化を目指す
「みわ・ダッシュ村」の清水 流美さんと、私 サリーも加わり、
「農業の成長」「女性の活力を農業に取り込む」というテーマを中心に
ディスカッションを実施しました。
パネルディスカッションとは言いつつも、パネラーだけでなく
来場している農業関係者の方々も巻き込みながら、
会場全体でのディスカッションに。
・これからの農業経営について
・現在農業が抱えている課題について、
・さらには、農業を始めて間もない人たちの悩み などなど
様々な話題についてやり取りを行いました。
私自身は、農学部・農学研究科で6年間学んだものの、
実地の農業についてはまったくの素人です。
今回は、農業とは違う視点から食を考える立場として、
また、消費者に近い立場としてお呼びいただきまして、
問題を提起し、意見を述べました。
ディスカッションの中で、印象に残ったことや雑感を、
下記に記しておきます。
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私自身は農業についての話をすると、つい、作物や食品など、
「作られるもの」の方が気になってしまいます。
商品の品質や栄養価、食べるときの安全性、などなど。
あくまで「消費者の立場で、農業を考え、議論」しています。
しかし、今回のサミットでは「作る人たち」側の視点に多く触れることができました。
農業従事者の方々の考えること、農業法人としての経営といった側面。
この視点の違いは、非常に重要かつ大きいものだと思います。
また、どちらが重要、偉い、というよりも、
今、自分は、相手は、どの立場からものを見ているのか、
ということを正確に認識して議論をすることが大切なのでしょう。
特に印象的だったのが「農薬の使用と安全」に関する話題です。
国内で使用が許可されている農薬というのは、
使用方法・使用量を守りさえすれば、安全であるということが確認されています。
しかしながら、かつてのイメージから「農薬=危険」という認識は、
今も根強く残っており、私はとても残念なことだと思っています。
どうしても「無農薬」や「有機」がもてはやされるけれども
無闇に農薬を避けるのではなく、
適切なタイミングで、適切に使用されていることが重要なのであって、
そういう地道な「安全性」をきちんと知らせていくことができるといいですよね、
というお話をさせていただきました。
さて、ここから派生した話題なのですが、
実は、前述の「安全」というのは
「農薬を適切に使用した農作物は、食べても安全」の意味です。
しかしながら、農薬について考えるためには
「それを現場で使用する際の安全性・危険性」も無視できません。
つまり、農薬の散布が、農業従事者の健康や生命を脅かさないか、ということです。
仕事をすることで健康を損なう可能性がある、というのは、
その仕事を継続する上で、また、その職業全体が成り立っていく上で、
かなり深刻なネックになり得るでしょう。
言われてみると当然の話ではあるのですが、
「消費者」側からはなかなか思いを巡らせることのできなかった視点でした。
また、こんな話も。
「珍しい品種・新しい品種を育てようとすると、
農薬の適切な用法用量が分かっていないため、無農薬でやるしかない。」
「従って、メジャーな品種を大量に作るなら、
農薬を適切に使って栽培するのが良いけれど、
マイナーな品種を少量ずつ多品種栽培するなら無農薬が良い。」
これも目から鱗の話でした。
農薬の使用・不使用には、自分の知らなかった、
様々な特徴や課題があるのだなと、発見の多いディスカッションでした。