麻生総理の集団的自衛権容認論に再び危機感を抱く(若干の修正あり)
- 2008/10/01
- 01:07
http://www.asahi.com/politics/update/0926/TKY200809260073.html
麻生首相、集団的自衛権容認へ「憲法解釈変えるべきだ」
【ニューヨーク=田伏潤】麻生首相は25日夜(日本時間26日午前)、国連総会での演説後、記者団に対し、集団的自衛権の行使について「基本的には(憲法の)解釈を変えるべきものだと、これまでずっと同じことを言っている」と語った。憲法の解釈を変更して、集団的自衛権の行使を容認できるようにすべきだとの持論を説明したものだ。
ただ、首相は「集団的自衛権の解釈を今すぐ直ちに変える必要はないと思う」とも述べ、当面は政府見解を変更しない方針も示した。
集団的自衛権の行使をめぐっては、安倍元首相が置いた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)が憲法解釈の変更を福田前内閣に求めたが、棚上げされていた。衆院選の結果次第で、再び焦点となる可能性もある。
http://mainichi.jp/select/today/news/20080926k0000e010024000c.html
(引用終)麻生首相:「集団的自衛権の憲法解釈見直しを」国連演説後
国連総会の一般討論を終え、国連内で記者会見に応じる麻生首相=2008年9月25日、小倉孝保撮影 【ニューヨーク西田進一郎】麻生太郎首相は25日午後(日本時間26日未明)、ニューヨークに到着し、第63回国連総会で一般討論演説を行った。首相は演説後、集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈について「基本的に変えるべきものだ。ずっと同じことを言っている」と記者団に述べ、行使を可能にするよう見直すべきだとの考えを示した。
演説で強調したインド洋での給油活動の継続との関連については「補給活動は憲法違反ではなく、ただちにこのために変える必要はないと思う」と指摘した。
集団的自衛権をめぐる憲法解釈見直しは安倍晋三元首相が表明。首相官邸に設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が行使を認める報告書をまとめており、首相は報告書を尊重する考えを示していた。
しかし改憲まで待ちきれないの安倍元総理は、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」という御用会議まで作って、現憲法下でも集団的自衛権はOKだと無茶な解釈をしようとしました。君たちなんとかして集団的自衛権は現9条でもOKだという理屈を考えなさい!という無理難題の指令を出したのですね。
無理を通すには道理を引っ込ませるしかありませんから、一読して、?な報告書が今年6月に懇談会から提出されました。
福田内閣はこれを棚上げにしたのですが、麻生さんはこの懇談会の報告を尊重する、と言い出しました。国民の9条改正に対する警戒心は根強く、実際に9条改正にこぎつけるのは容易なことではないので、しびれをきらしてあせっているのでしょう。
その‘新たな憲法解釈’である平成20年6月24日の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書を読んでみましたが、
現在の国際情勢から、いかにアメリカとの連携が大事か、集団的自衛権を認める必要性があるかについてとうとうと語ってはいるものの(ほんとはこの分析にも?がつくのですけど)、一番肝心のメインの『9条を改正しなくとも、現9条のもとで、いかに集団的自衛権が認められるのか、の文言解釈、法解釈』は、実に粗雑でお粗末。第三部の3の中のたった数行でおわっています。
しかもこれ、とっくに通説により否定された論をそのまま蒸し返しているだけで、通説からの反論に対する再反論すらありません。
そして集団的自衛権が9条の文言といかに矛盾しないかの理論的解釈は無し。
その後は集団的自衛権が認められることを前提として、公海でのでの米艦の防護、アメリカに向かうかもしれないミサイルの迎撃、などあれもこれも認めるべきだと、安倍さんの希望をひたすら書き記しただけの報告書になってます。
(この報告書は自衛隊派遣違憲判決のあとに出されたんですが、裁判所の見解は、いずこ……フル無視?どうも日本の司法の判断は軽視されてるようです)
この報告書のどこが新たな憲法解釈なんだ?というのが正直な感想です。
9条下でも集団的自衛権はみとめられる理論的根拠を構築しろとの安倍さんの指命は、残念ながら果たせていません。
なぜ現9条でも集団的自衛権が文言と矛盾することなく認められるか、納得できるだけの文言解釈がされておらず、単にそうしたいからするんだって言ってるようにしか見えません。
こんなお粗末な報告書を根拠に集団的自衛権が容認されたらたまりません、憲法の条文など存在しないに等しいです。
いくら集団的自衛権がのどから手が出るほど欲しいから、その必要性があるからといっても、解釈には越えられない限界、縛りという物があります。こんな解釈といえない解釈で憲法の条文が持つ意味を好き勝手に変えることができるんなら、とても法治国家とはいえないでしょう。
9条改正しない限りは集団的自衛権は逆立ちしても無理です。どうしても集団的自衛権を認めるというなら、9条改正する手続きを踏んでからにしてください。そうでない限りは違憲です。それが筋というものでしょう(もちろん私は改正には反対ですが)
それをしないで、およそありえない解釈をごり押しできると考えるのは、わがまま坊ちゃんが法の重みをわかってないことの現れかも…。
こういう法を軽視する発想がでてくるのも、上から目線が染みついた世襲議員の特徴かもしれません
(全ての世襲議員がそうではありませんが)
安倍さんにしろ麻生さんにしろ、集団的自衛権をごり押ししようとする態度は、金と権力があれば憲法ぐらい好きにできると勘違いしている、二世三世ボンボンの駄々こね、思い上がりでしかないと思うのは私だけでしょうか?
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- 2008/10/04(21:25)
- Because It\'s There