少々遅くなりましたが、注目されていた27日の橋下市長の外国人特派員協会の会見について書き留めておきましょう。
橋下氏は、元慰安婦のハルモニ達を己の謝罪ショーに利用しようと言う目論見が外れてしまったので、かなりハードルは高いけれど外国人特派員協会の記者会見を起死回生の場にしたいと考えていたことでしょう。
サポートチームも結成して準備万端、プレスリリースまで用意してきました。
その全文がこちら
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橋下徹氏:「私の認識と見解」 日本語版全文これまでの言い訳(「誤報」だ、強制連行の証拠は無いのに「性奴隷」は不当、日本だけじゃなくよそもやった)を延々と書いてあるだけで目新しい事は何もないのですが、虫酸が走るのは、まるで自分が人権を守るために先頭に立って闘っている旗手であるかの如くふるまっている所です。
・・・発言の一部が文脈から切り離され、断片のみが伝えられることによって、本来の私の理念や価値観とは正反対の人物像・政治家像が流布してしまっていることが、この上なく残念です。・・・
私は、21世紀の人類が到達した普遍的価値、すなわち、基本的人権、自由と平等、民主主義の理念を最も重視しています。また、憲法の本質は、恣意(しい)に流れがちな国家権力を拘束する法の支配によって、国民の自由と権利を保障することに眼目があると考えており、極めてオーソドックスな立憲主義の立場を採(と)る者です。・・・
大阪府知事及び大阪市長としての行政の実績は、こうした理念と価値観に支えられています。・・・
私は、疑問の余地なく、女性の尊厳を大切にしています。
日本には独裁が必要と言い、各方面からの多数の抗議声明を断固無視して違憲の君が代条例、教育、職員基本条例、労組アンケート、入れ墨調査を強行した人のどこが、「21世紀の人類が到達した普遍的価値、すなわち、基本的人権、自由と平等、民主主義の理念を最も重視」する人なのですか。
憲法96条を改定して立憲主義を反故にしようとするひとのどこが、「極めてオーソドックスな立憲主義の立場を採(と)る者」なのですか。
「集団買春は中国へのODAみたいなもの」と放言したり、ドーンセンターを縮小してDV等に悩む女性のための法律相談、女性医師によるからだの相談の廃止したり、DV相談所であるクレオ大阪を廃止したりする人のどこが、「疑問の余地なく、女性の尊厳を大切」にする人なのですか。
会見の最中も自分が人権尊重する人間であることを強調している様は、まるでヒトラーが人権と民主主義の尊さを訴えているような非常な気持ち悪さを感じました。
もしこれが石原氏や平沼氏だったら「人権派」を装ったり、現憲法の価値観、理念を尊重するフリをするのは信念とプライドが許さないでしょう。
でも節操のない橋下氏は平気です。ある意味石原氏ら以上に恥知らずですね。
そこまで自分が人権尊重する人間だと強調したいのなら、「軍に売春はつきもの」の石原氏、「(元慰安婦の)化けの皮が剥がれた」の中山氏、「慰安婦は戦地売春婦」の平沼氏に対し何らかの処分したらどうでしょう?
そうでなければ説得力はゼロ以下のマイナスです。
さて、会見ですが、女性を性処理の道具としか見ていない橋下氏の人権感覚の無さに対する非難からなんとか目をそらさせようとした試みは失敗に終わりました。
報道はみな一様に橋下氏に厳しいものとなりました(のちほど垂れ込み部屋13に色々記事を投稿する予定です)
国内メディアになら通じるいつもの「橋下テクニック」によるすり替えは海外に通用する訳がないのです。
というか国内で今までそれが通用してきたことが本当に情けないことなのですが・・・。
「自分の真意がマスコミにより誤報されてしまった」との懸命の力説も、特派員達には端っから相手にもされずスルーでした(苦笑)
記者会見の動画はこちらでご覧いただけますが、もしご覧になるのでしたら全部で2:30もあるので、飛ばし飛ばしご覧になることをお勧めします。
http://www.youtube.com/watch?v=uAicqg59ca4&feature=player_embedded
どの口で言うか!橋下が向き合わない飛田新地との過去
http://gendai.net/articles/view/syakai/142582
「各国も女性蹂躙の事実を直視せよ」
<イタリア人記者の追及はぐらかし…>
ある外国人記者は会見20分後にメモを取るのをやめ、1時間後には途中退席する記者が相次いだ。27日、日本外国特派員協会で行われた日本維新の会の橋下徹共同代表(43)の記者会見の一コマだ。
300人超の報道陣を前に、橋下は慰安婦発言の「真意」を延々しゃべり倒した。会見は実に3時間にも及んだが、中身はスカスカ。質問には正面から答えず、得意の論点すり替えの連発に外国人記者もドッチラケ。恐らく「聞く価値なし」と判断したのだろう。冒頭のように、うんざりムードが漂っていた。
「何を聞かれても、〈慰安婦問題を正当化する意図はない〉〈だが、日本以外の国々も、(戦場で)女性の人権を蹂躙(じゅうりん)した過去と向き合わなければいけない〉〈河野談話は強制連行の有無が曖昧で、きちんと明確に表現すべき〉という『3点セット』を繰り返すばかり。とにかく持論をまくし立てるだけで、まるで質疑応答が成り立たなかった」(参加した香港メディアの記者)
かみ合わない問答を象徴したのが、イタリア人ジャーナリストのピオ・デミリア氏とのやりとりである。
ピオ氏が橋下にブツけたのは、茶髪弁護士時代の過去だ。かつて大阪・飛田新地にある150軒ほどの「ちょんの間」を束ねる組合の顧問をしていたという一部報道を取り上げ、「あなたも違法な売春シンジケートに関与していたのではないか」と問いただした。
すると、橋下は「顧問弁護士だったのは事実」と認めた上で、不敵な笑みを浮かべながら、こうはぐらかした。
「ただ、あくまで飛田の『料理』組合の顧問です。日本において(組織売春のような)違法なことがあれば、捜査機関が適正に処理する。料理組合自体は違法な組織ではありません」
ジャーナリストの田中龍作氏が「飛田が売春の街であることは、大阪のマセた中学生なら誰でも知っている。なぜ詭弁(きべん)を弄するのか」と追及しても、「違法であれば捜査機関が適正に処理する。以上です」とマトモに取り合おうとしなかった。改めて田中氏は言う。
「自分の過去を直視できない政治家が、どの口で『世界各国も女性を蹂躙した過去と向き合え』などと言えるのか。あんな不実な態度では、慰安婦発言の見解も『単なる言い逃れ』と外国人記者に見透かされてしまう。世界中に『日本の政治家はこの程度か』と見下され、ひいては日本人全員への不信にもつながりかねません」
頼むから橋下はこれ以上、世界に恥をさらすのをやめてくれ!
私もリアルタイムで見ていましたが、ふてぶてしい開き直りは『料理組合』の顧問弁護士時代、そこで働く女性達の人権を守るべく働いたとはとても思えません。
記者達の反応は次のようなもの
橋下市長「外国人記者」に弁明!海外メディア冷ややか「誠意のない謝罪」
http://www.j-cast.com/tv/2013/05/28175987.html?p=1
(前略・引用開始)
海外メディアの記者たちの反応はどれも冷ややかなものだった。「3時間近かったが、繰り返しが多くて1時間で十分。河野談話については本心とは異なるあいまい発言」(英・エコノミスト)、「最終的には何もいっていない。『他の国も同じ』と責任回避で印象は悪くなった」(ドイツ・FAZ)、「アメリカでは『穴にはまったら掘るのをやめろ』というが、彼は掘るのはやめたが、穴から抜け出ていない」(米ジャーナリスト)、「各国の話を持ち出してきて、まさに弁護士だな。論点を変えてる」(韓国・JPNEWS)、「見出しは『橋下が誠意のない謝罪』。論点は女性蔑視だ。彼は海外より日本のマスコミを相手に男尊女卑を修正しましたよ、選挙で1票をと…」(米・ニューズウィーク)。橋下の会見は海外メディア向けというより、参院選を意識した国内向けのパフォーマンスだったというのだ。
(引用ここまで)
確かにこの<三点セット>の繰り返しで、私も途中からうんざりしてきました。
質問に対する回答もくどくどと長くて支離滅裂、何をいいたいのかさっぱりわかりません。この三点セットのどれかを繰り返してるだけでした。
あそこの会見場ですし詰めになってた記者さんはさぞかしうんざりだったろうと同情してしまいます。
例えば、橋下氏は河野談話について
「国家の意思としての拉致、国家の意思としての人身売買を裏付ける証拠はなかった」と繰り返しましたが「河野談話は否定しないし、修正もしない、すべきことは明確化だ」とも繰り返しました。
これに対し香港の記者が
「あなたの言っている事の方が不明確。強制性ないと思っているのに河野談話修正・否定しないのは矛盾」」と突っ込みました。
しかし橋下氏は
「これも核心的な論点。河野談話について、書かれている事実を変える必要はないと思っている。しかし、表現については、もっと付け足さないといけない。表現を付け足すことを『修正』というのか『明確化』というのか、これは言葉の問題。まさに『強制性』の言葉をもっと丁寧に記述すべきだと思う」
という訳のわからない回答。
記者は
「私は、国による強制性があったかどうかを聞きたかったが、それをはっきり言わなかった。橋下市長が言うように、これが核心的な問題なら、なぜはっきり言わないのか。安倍1次内閣の(07年の閣議決定の)ように『強制性はない』と橋下市長は思っているようだが、河野談話は修正・否定はしないと言っている。すごく矛盾している」
また、NYTの記者の
「人身売買(human trafficking)の定義には3つある。だますこと、組織的移送、意に反して働かせること。世界ではすべて人身売買を指すといわれている。少なくとも移送に関して軍の関与を認めてるのであれば、それは国による人身売買ではないのか」
という質問にも
「日本の責任否定してるわけではない」「国家の意思として拉致があったのかどうかはっきりさせる必要がある」と完全に的外れな繰り返し。
最近河野談話の継承を言わざるを得なくなった安倍自民党とのカラーの違いを出すため「右派」に媚びた強制連行の否定をしてみたものの、「左派」にも「日本の責任は免れない」「河野談話を否定はしない」と媚びようとしたため、支離滅裂になるのは必然です。
これでは途中で退出する記者が出るのもむべなるかな。
鎮火は完全に失敗です。成功するわけがないのです。
橋下氏は来月の訪米を中止せざるを得なくなりました。
しかし発生するキャンセル料180万円は公費で支払うつもりでいるようです。
どこまで図々しいのでしょう、これこそ自己責任。尻ぬぐいは市民の税金でなく自腹で行ってください。
早速市民からも住民監査請求が出ています。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130529-OYT1T00780.htm 橋下氏の問責決議案も市議会で可決されます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130529-00000179-jij-pol#橋下氏に対してはすでに各方面から辞職を求める声明が出されていますが、橋下氏は自分から市長を退くことは20000%しないでしょう。
もし参院選で敗北したら代表を退く可能性もあることを示唆しましたが、これは世間の様子をうかがうためにフッただけ、決して退くことはしないと思います。
というか党代表を退くことは市民や国民に対する責任の取り方ではそもそもありません。
しかし、ここで彼に責任を取らせないと、海外からの評価はますます下がり孤立化が進んでしまうでしょう。
彼には必ず責任を取らせましょう。
そして、慰安婦問題について正しい知識を得て、歴史修正主義の総理でもある安倍氏にも同じくらいの強さで批判を向けていきましょう。
ここで橋下氏をリコールしなかったら、もう日本の民主主義は死んでしまうと思います。
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