藻谷浩介 その8『デフレの正体』角川oneテーマ21
藻谷浩介 その8『デフレの正体』角川oneテーマ21
この本について、日経『大機小機』H22.7.16は次のように批判しています。
最近、デフレの正体は人口動態だという議論…少子高齢化が生産年齢の減少をもたらし…構造的な供給過剰につながるために商品・サービスの単価下落につながっているという。
すぐに不思議に思うのは、なぜ生産年齢人口の減少は、供給ではなく需要を減らすのかということだ。…高齢者には欲しいものがないと想定…しかし…証明することは難しいので、この程度の「説明」では説得力が乏しい。
さらに不思議なのは、きちんとしたデータ分析の裏付けに乏しいことだ。少子高齢化と生産年齢人口の減少はほぼ世界じゅうで起きている。中国、韓国、北東アジア…韓国の高齢化のスピードは日本を上回っている。…世界中がデフレに向かっていなければならないだろう。先進国でデフレが起きているのは日本だけだ。…(OECD)諸国について…消費者物価上昇率と人口増加率、高齢化率の変化の関係を見てもほとんど相関は見られない。
…不思議なことに経済学やマクロ経済学を否定する人は、自分の議論は論理的で実証的だと考える。だとしたらなぜ…日本の高齢者だけが欲しいものがなくなるのだろうか。…供給の不足以上に需要の不足をもたらすのだろうか。
…人口動態…と…日本のデフレを結びつけるのは無理がある。
<デフレは日本だけ>
この『大機小機』で挙げられている論点についてです。 「デフレ」は先進国では日本だけに起こっている現象です。「生産年齢人口が減り、高齢者が増え、買うものがなくなった」では、論証になりません。
各国の高齢化率(65歳以上の全人口に占める割合)は、日本だけが突出して高い(高かった)わけではありません。2010年(推計値)によれば、日本の高齢化率は、各国を上回るようになりましたが、1990年はグラフのすべての国、2000年は、イタリアの方が、その率は高いのです。
グラフ出典 岩田克彦 労働政策研究・研究機構客員研究員『欧州の高齢者雇用対策と日本』
グラフ数字出典
http://www.pref.kumamoto.jp/sec_img/0024/200601105522018.pdf#search='全国の高齢化の現状と推移'
これらの国の、1990年~2010年(推計値)の、インフレ率、GDPデフレーター率です。
グラフ 世界経済ネタ帳
このように、同じように高齢者比率が増加しているにもかかわらず、日本だけがデフレなのは、なぜなのでしょうか?
藻谷浩介『デフレの正体』角川oneテーマ21
P99
所得はあっても消費しない高齢者が首都圏で激増
P102
…高齢者だった。彼らは特に買いたいモノ、買わなければならないモノがない。
P135
「昔ほど車を買わない、そもそも以前ほどモノを買わない、最近余り本や雑誌を読まない、モノを送らなくなったし車にも乗っていない、近頃あまり肉や脂を食べないし酒量も減った、水も昔ほど使っていない」ということです。これは正に退職後の高齢者世帯の消費行動そのものではありませんか。
P142
…「生産年齢人口の波」の減少局面に突入した日本。定年退職者の増加→就業者数の減少によって内需は構造的な縮小を始めました。
しかも、55歳~64歳の男性就業率は、これらの国の中ではダントツに高いです。
グラフ出典 岩田克彦 労働政策研究・研究機構客員研究員『欧州の高齢者雇用対策と日本』
フランスなど、「早く退職させろ」と、公務員がストライキする国です。理由は、年金額が、現役時代の6~7割、保障されているからです。以下記事参照
newsdigest.fr/newsfr/index.php?...&task=view&id=979&Itemid=7
sukuramu.at.webry.info/201005/article_5.html
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100624-00000871-reu-bus_all
日本の高齢者だけが、よく働き、「モノ」を買わない人種ということになります。
藻谷浩介『デフレの正体』角川oneテーマ21
P268
「経済を動かしているのは…現役世代の数の増減だ」。この本の要旨を一言でいえばそうなりましょう。…「生産年齢人口の減少と高齢者の激増」という日本の現実…。
これが、藻谷氏の主張する「デフレの正体」です。
では、本当の「デフレの正体」とは何か。供給>需要による、需給ギャップと、日銀の金融政策にあります。
2010-05-09記事 ブログ カテゴリ「デフレとは(6)」参照
この本について、日経『大機小機』H22.7.16は次のように批判しています。
最近、デフレの正体は人口動態だという議論…少子高齢化が生産年齢の減少をもたらし…構造的な供給過剰につながるために商品・サービスの単価下落につながっているという。
すぐに不思議に思うのは、なぜ生産年齢人口の減少は、供給ではなく需要を減らすのかということだ。…高齢者には欲しいものがないと想定…しかし…証明することは難しいので、この程度の「説明」では説得力が乏しい。
さらに不思議なのは、きちんとしたデータ分析の裏付けに乏しいことだ。少子高齢化と生産年齢人口の減少はほぼ世界じゅうで起きている。中国、韓国、北東アジア…韓国の高齢化のスピードは日本を上回っている。…世界中がデフレに向かっていなければならないだろう。先進国でデフレが起きているのは日本だけだ。…(OECD)諸国について…消費者物価上昇率と人口増加率、高齢化率の変化の関係を見てもほとんど相関は見られない。
…不思議なことに経済学やマクロ経済学を否定する人は、自分の議論は論理的で実証的だと考える。だとしたらなぜ…日本の高齢者だけが欲しいものがなくなるのだろうか。…供給の不足以上に需要の不足をもたらすのだろうか。
…人口動態…と…日本のデフレを結びつけるのは無理がある。
<デフレは日本だけ>
この『大機小機』で挙げられている論点についてです。 「デフレ」は先進国では日本だけに起こっている現象です。「生産年齢人口が減り、高齢者が増え、買うものがなくなった」では、論証になりません。
各国の高齢化率(65歳以上の全人口に占める割合)は、日本だけが突出して高い(高かった)わけではありません。2010年(推計値)によれば、日本の高齢化率は、各国を上回るようになりましたが、1990年はグラフのすべての国、2000年は、イタリアの方が、その率は高いのです。
グラフ出典 岩田克彦 労働政策研究・研究機構客員研究員『欧州の高齢者雇用対策と日本』
グラフ数字出典
http://www.pref.kumamoto.jp/sec_img/0024/200601105522018.pdf#search='全国の高齢化の現状と推移'
これらの国の、1990年~2010年(推計値)の、インフレ率、GDPデフレーター率です。
グラフ 世界経済ネタ帳
このように、同じように高齢者比率が増加しているにもかかわらず、日本だけがデフレなのは、なぜなのでしょうか?
藻谷浩介『デフレの正体』角川oneテーマ21
P99
所得はあっても消費しない高齢者が首都圏で激増
P102
…高齢者だった。彼らは特に買いたいモノ、買わなければならないモノがない。
P135
「昔ほど車を買わない、そもそも以前ほどモノを買わない、最近余り本や雑誌を読まない、モノを送らなくなったし車にも乗っていない、近頃あまり肉や脂を食べないし酒量も減った、水も昔ほど使っていない」ということです。これは正に退職後の高齢者世帯の消費行動そのものではありませんか。
P142
…「生産年齢人口の波」の減少局面に突入した日本。定年退職者の増加→就業者数の減少によって内需は構造的な縮小を始めました。
しかも、55歳~64歳の男性就業率は、これらの国の中ではダントツに高いです。
グラフ出典 岩田克彦 労働政策研究・研究機構客員研究員『欧州の高齢者雇用対策と日本』
フランスなど、「早く退職させろ」と、公務員がストライキする国です。理由は、年金額が、現役時代の6~7割、保障されているからです。以下記事参照
newsdigest.fr/newsfr/index.php?...&task=view&id=979&Itemid=7
sukuramu.at.webry.info/201005/article_5.html
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100624-00000871-reu-bus_all
日本の高齢者だけが、よく働き、「モノ」を買わない人種ということになります。
藻谷浩介『デフレの正体』角川oneテーマ21
P268
「経済を動かしているのは…現役世代の数の増減だ」。この本の要旨を一言でいえばそうなりましょう。…「生産年齢人口の減少と高齢者の激増」という日本の現実…。
これが、藻谷氏の主張する「デフレの正体」です。
では、本当の「デフレの正体」とは何か。供給>需要による、需給ギャップと、日銀の金融政策にあります。
2010-05-09記事 ブログ カテゴリ「デフレとは(6)」参照
theme : 間違いだらけの経済教育
genre : 学校・教育