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私事ですが、いくつか小説を書いたことがあります。楽しいですよ、本当。アイデアを思いついた瞬間の高揚感、少しずつ文章を積み上げていく苦労、そして目指したラストを書き終えた瞬間の、あの戸惑いと喜び。
そうそう、一瞬「ほんとに完成したのかな?」って思うんですよね。
そんな僕のように、創作(特に一次創作)を経験したことある人なら見逃せない4コマ漫画が、kashmir「ななかさんの印税生活入門」です。
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本作は月刊誌「まんがタイムきららMAX」に連載中、先日には単行本第1巻が発売されました。公式サイトでは試し読みが可能です。
登場人物紹介
ななか
本作の主人公です。漫画家の両親を持つ高校二年生の彼女が、ラノベ作家を目指そうとするところから物語が始まります。微妙に世の中を斜めに見ているようでいて実際は純真な良い子。きちんと処女作を書き上げる頑張り屋なあたりも好印象です。
みき
ななかの幼なじみ。ちょっと抜けたところのあるななかのお守役をする、しっかりした女の子です。彼女は特に創作をしませんが、ななかのラノベ談義にのんびり付き合う様は楽しそうで、ああ友達って良いなあとか思ったり。あと地味に強烈なお兄ちゃんっ娘です。kashmirはこういうところで露骨にポイント稼ぎに来るから困るよね(にこにこ)。
まい
学内唯一の美術部員。ななか達と同じ同級生なのに、思わず「さん」付けで呼ばせてしまうほどの圧倒的お姉さんオーラを醸し出しています。彼女の絵に対する情熱は本物。何かピンとくる事柄に直面する度、さっとスケッチブックを取り出します。こういう人が大成するんだろうなと、思ったり思わなかったり。あと彼女はいわゆる百合脳の持ち主で、やけに距離の近いななかとみきの姿を見ては妄想スケッチを捗らせています。kashmirはこういうところで(略)
永山先生
美術部の顧問である彼女は、まいのことを非常に気にかけています。黙々とひとり絵を書いているまいに声をかけたり、サンドイッチの差し入れをしたり。そこにななかとみきがやってきて、賑やかになった現状にほっと優しい息をつく彼女は、きっと良い先生なのだと思います。ちょっと甘すぎる気もするけれど。
ラノベ漫談
本作はkashmir作品としてはもっとも読みやすい部類に入ります。前作「○本の住人」では山ほどつぎ込まれていた、常人には理解しがたい突飛なギャグが、本作にはあまり見受けられません。代わりに書かれているのはラノベ漫談とでも言うべき、あるあるネタとその派生です。そのいくつかを見ていきましょう。
ラノベの挿絵あるある。髪が長いと誌面が埋まって良いと言ったのはどの漫画家でしたっけ。
53万ルーメンだとたぶん目が潰れますね。
むしろ国家権力と結びついてるまである。(勝手なイメージです)
これ、「邪道だ!」って怒る人もいそうなんですが、そのあたりどうなんでしょうか。
意外にまともなアドバイスもあります。
このようなネタがわかりやすくも矢継ぎ早に描かれる作品になっていますので、ラノベ好きにはもちろん、聞きかじった程度の知識しかない(自分のような)読者も十二分に楽しめることでしょう。
しかし、本作の真価はこれらのギャグとは別のところにこそあると僕は思っています。
創作をするということ
本作のいちばんの読みどころは、「創作者あるある」です。小説を、漫画を、イラストを書いたことがある人には確実に「ああっ!」と胸に刺さるネタが、そこかしこに挿入されているのです。そしてそれはそのまま、ななかの創作者としての成長描写にもなっています。
ああ、わかるなあ。こういう夜、絶対にあるんですよ。ゾーンに入るっていうか、ノリにノッて手がどんどん動いてくという。
自作を他人に見せるときに要らぬ前置きをしてしまう、これ本当にあるあるすぎてもう。
自作を見てもらうときって、どんな感想が飛んで来るのか、そわそわ体が動いてしまいます。作者にも同じ経験があるのでしょう。 「なぜおどるの」とギャグにしているのは、きっと作者の照れ隠しなんだろうと思います。
ななかは曲がりなりにも第一作を書き上げ、そしてネットに公開しました。そこからどのように彼女の世界が変わっていくのか、それは2巻以降に描かれるのでしょう。楽しみでしかたありません。
(水池亘)